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横山秀夫のミステリー小説まとめ

街クリ編集部 街クリ編集部


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4. 『クライマーズ・ハイ』
(2003年)文藝春秋

第1回本屋大賞第2位、2003年『週刊文春ミステリーベスト10』第1位に輝いた本作は、1985年の御巣鷹山日航機墜落事故をめぐる地方新聞記者達の奮闘と葛藤を描いた作品です。2005年にテレビドラマ、2008年に映画化され、いずれもが賞を取る等、高い評価を得ています。

主人公の悠木和雅は、北関東新聞最古参40歳の記者。過去に部下が事故死した葛藤を抱え、また自身の生い立ちから息子との距離の取り方が分からず、仕事でも部下を統括することを拒否していました。しかし、ジャンボジェット機墜落という未曽有の大事故に際し、日航全権デスクを命じられた悠木は突然多くの記者を動かす立場を強いられます。悠木のデスクとしての采配は社内の嫉妬や妨害あるいは自分の力不足により多くが不発に終わり、最後に押し切った投書掲載により閑職に追いやられることになります。事故からの怒涛の数日間に並行して、悠木はまた、人食い山の異名を持つ谷川岳衝立岩にともに登ることを約束したまま植物人間になった販売部員・安西が倒れる直前に残した謎解きを果たします。

最後に描かれた、17年後、やっと衝立岩に挑戦することになった悠木の心境が清々しく、著者・横山秀夫が新聞記者としての実体験を昇華させて描いた本作は、ミステリーの枠を超えた心揺さぶる人間賛歌になっています。

 

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