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ミステリー小説入門編10選

街クリ編集部 街クリ編集部


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7. 『深追い』
横山秀夫(2007年)新潮社

作家横山秀夫と言えば、直木賞候補になった『半落ち』(2002年、講談社)や映画にもなった『64(ロクヨン)』(2012年、文藝春秋)で知られた警察小説の名手ですが、この『深追い』もまた、地方都市の警察署に起こる、警察組織特有の人間模様が描かれた7編の短編集です。

本作は、交通課主任の秋葉が事故で死亡したある男の妻が元恋人であることを知り、その後その男が落としたポケットベルを拾うところから、元恋人明子に気持ちが傾いてゆく様子が描かれます。明子への愛情から事情を探る秋葉ですが、明子にとっての秋葉はどういう存在なのかを考えさせられます。

この他に、鑑識係の三枝達哉が15年前の事故の当事者に会い真実を知る「又聞き」、ホームレス死亡事件の真相に隠された画策を描いた「仕返し」等、警察組織の中で生きる者達の悲哀と気概を描いていて読み応えがあります。ミステリー色は薄いかもしれませんが、いずれも人の内面の謎に挑み、それを紐解く楽しみが味わえます。

 

8. 『冬のフロスト』
R・D・ウィングフィールド(2013年)東京創元社

イギリスでは「フロスト警部」としてテレビドラマ化もされた、イギリス田舎町の名物刑事ジャック・フロスト警部シリーズの第5作目。下品でおやじジョークを飛ばしながらも、人情味があってなぜか憎めないフロスト警部は、今回も無能な部下をあてがわれ、休む暇もなく働き詰めます。幼女行方不明、娼婦連続殺人、怪盗枕カヴァー等の事件が次々と起こり、その間にもスーパー強盗、何十年前もの人骨の発見など、署はてんてこ舞い。フロスト警部の捜査方法も至って行き当たりばったりで、天敵でもあるマレット署長からは報告書や犯罪統計資料の提出、経費削減等の小言を言われつつも、事件を解決に導いていきます。ドジで失職寸前の部下やおとり捜査に傷ついた部下への気遣い、犯罪者に対しても法でがんじがらめにするのでなく、人として最良の解決法を探すフロスト警部の人間臭さが愛されるシリーズです。

 

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