• MV_1120x330
  • MV_1120x330

ミステリー小説入門編10選

街クリ編集部 街クリ編集部


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

5. 『犯人に告ぐ』
雫井脩介(2004年)双葉社

第7回大藪晴彦賞受賞、「週刊文春ミステリーベスト10」第1位に輝いた警察小説で、劇場型捜査が描かれています。川崎市の男児連続殺人事件で捜査指揮を任された巻島史彦警視は、6年前の幼児誘拐殺人事件で犯人逮捕に失敗、人質を殺害され、マスコミ相手にも暴言を吐くという失敗を犯してしまいます。当時の上司の曽根は、1年以上も捜査に進展がない男児連続殺人事件を劇場型捜査という新しい手法で解決すべく、左遷されていた巻島に白羽の矢を当てました。ここからテレビのニュース番組を通じて、捜査官が犯人に訴えかけ、さらに市民が捜査情報に呼応する捜査が始まります。終盤、植草を欺く形で犯人逮捕の誤報を招く、巻島側の情報操作は見ていて痛快です。期限ギリギリでの犯人逮捕までの、警察、マスコミの内部を描き、また事件の被害者家族の気持ちも描いたテンポのよい作品は、上等なエンターテイメントとなっています。

 

6. 『天使のナイフ』
薬丸岳(2005年)講談社

第51回(2005年)江戸川乱歩賞受賞作です。妻を少年達に殺され、4歳の娘と暮らす桧山に殺人の嫌疑がかけられるところから物語は始まります。事件直後、「国家が罰を与えないなら、自分の手で犯人を殺してやりたい」と口走った桧山ですが、その後その少年達が事件後更生できたのか、更生とは何かを探っていきます。少年法、被害者感情について丁寧に説明・読者に問いかけ、さらに幾重にも重なった伏線が提示され、最後まで思いもしなかった事実が暴かれる読み応えのある社会派ミステリーです。重い題材を扱ってはいますが、読後感が暗くないことにも希望が持てる作品です。

 

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP