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「シン・ゴジラ」放映間近! ゴジラシリーズをおさらいしてみた

加藤広大 加藤広大


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昭和ゴジラシリーズ

1954年11月3日。第五福竜丸がビキニ環礁にて水爆実験に巻き込まれて被爆したのと同年、「ゴジラ」が誕生しました。監督は本多猪四郎(本編)円谷英二(特撮)、音楽は伊福部昭大先生。全員書き出したいほどですが、とにかく今となっては 伝説級のスタッフが勢揃いしております。まずは予告編をどうぞ。

Reference:YouTube

モノクロが不気味さと恐怖を加速させますね。初代ゴジラの体長は50メートル、体重は2万トン、今と比べて随分とこぶりなサイズです。「シン・ゴジラ」との共通点としては、手が短めなことなどが指摘されています。

この初代「ゴジラ」から、15作目「メカゴジラの逆襲」までを一般的に“昭和ゴジラシリーズ”と言います。

さて、映画のヒットを受けて、翌年にはすぐさま続編の「ゴジラの逆襲」が公開されます。今から酷いネタバレをしますが、前作の「ゴジラ」でゴジラはオキシジェンデストロイヤーによって死亡します。よって、「ゴジラの逆襲」で登場する個体は2匹目(二代目)となります。

Reference:YouTube

見ればすぐに顔の違いが分かります。首も長いのが特徴ですね。以後、ゴジラシリーズのゴジラはスーツを使いまわしたり、補修したり、新造したりと、ころころと表情や形を変えていきます。この違いを楽しんだり、お気に入りを見つけたりするのもゴジラシリーズの楽しみ方のひとつです。

次作は「キングコング対ゴジラ」。本家キング・コング(と言っていいかは分かりませんが・・・)とゴジラが闘う企画物的存在ですが、初回興行時の観客動員数はなんと1120万人、ゴジラシリーズ最大のヒットとなります。

ここでもゴジラの造形は大きく変化し、首が太く、腕が大きくなり、全体的にどっしりとした印象になりました。バランスが取れていて個人的には大好きなスーツです。

Reference:YouTube

そして「キングコング対ゴジラ」から約2年後の1964年、「モスラ対ゴジラ」が公開されます。私が観たゴジラ映画の原体験はおそらくこの作品だったかと思います。子どもながらにインファント島という“未知の島”への憧れ、極悪興行師の立ち回り、モスラの幼虫が地味で地味で仕方なかった(子どもだから仕方ないですね)などなど・・・いまでもうっすらと思い出せます。

中でも印象深かったのはインファント島に住んでいる双子の妖精、ザ・ピーナッツが演じる小美人で、名曲『モスラの歌』は今でもソラで歌えます。かのフランク・ザッパが来日時に「モスラなら知っている。これは米国に紹介された日本のメロディの中では最高だ」と太鼓判を押していたエピソードも、主に私の中だけで有名ですね。

Reference:YouTube

「モスラ対ゴジラ」のゴジラは、手のひらが前向きになっていて眉毛があることから、どことなく可愛い印象です。ちなみに、このゴジラは9作目「怪獣総進撃」までのベースになっています。ですので、“昭和ゴジラシリーズ”を中心に観ていた世代の方は、ゴジラと聞くとこのタイプを想像する方が多いのではないでしょうか。

また、同年に5作目「三大怪獣 地球最大の決戦」も公開。シリーズ最大の悪役である「キングギドラ」がはじめて登場した作品であるとともに、ゴジラが比較的善玉として書かれたエポックメイキング的な作品でもあります。

Reference:YouTube

“三大怪獣”とは、ゴジラ、ラドン、モスラのことを指します。子どもの頃はモスラの幼虫と同じく、ラドンが地味で地味で仕方なかったのですが、今観てみるといい味出していますね。ラドンが単品で出る「空の大怪獣ラドン」を観て、「でけえ鳥が出てくるだけじゃん」と映画レビューサイトに「鳥が地味でした。☆1つです」と投稿するようなクソレビューをしていた自分に小一時間説教を食らわしたい気分ですが、これが大人になるということなのでしょう。分からなかったことが分かって、分かっていたことが分からなくなるのです。

どんどんいきましょう。翌年の年末(1965年12月19日)には、「怪獣大戦争」が公開されています。登場する怪獣はゴジラ、ラドン、キングギドラ。ゴジラが「シェー」をする場面で有名な映画ですね。

Reference:YouTube

とは言っても現代の文明が発達した日本国において「シェー」と言っても意味不明な若者も多いことでしょう。ちょうどWikipediaの「シェー」の項目に分かりやすい「シェーの一例という画像があったので貼っておきます。

出典:Wikipedia

画像に突っ込むのは控えますが、「シェー」を撮ろうと言い出したのは、何を隠そう円谷英二その人らしく、これもまた誰も突っ込めません。

スーツは「モスラ対ゴジラ」の型から新規に造形、キャラクター色を強めています。段々といいもんになっていくゴジラの造形も興味深いですが、劇中に登場する宇宙人、X星人のファッションも非常にテクノでして、今観ると逆に新しいのではないか? という逆行現象も楽しめます。

その翌年、もう凄いペースです。春日太一氏が著した『あかんやつら』にも詳述されていますが(こちらは東映京都撮影所ですが)、昔の映画の制作ペースたるや、半端じゃありません。ビジネスは「スピードが大事」とよく言われますが、今も昔も変わらないんですね。

そんな凄いペースで制作された作品が、「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」です。南海だからでしょうか、ゴジラがやけにコミカルで加山雄三の物真似をしたり、美女に色目を使ったりしています。もっとも、これは当初キングコング主演で制作予定だった本作をゴジラに置き換えて撮ったものの名残であるとされています。が、ゴジラも南国の陽気に誘われて、ついついはしゃいでしまったのでしょう。

Reference:YouTube

予告編を観ても分かる通り、『天国と地獄』がバックで流れる中、ゴジラやエビラが喋っているようなテロップは、椅子から崩れ落ちるほど脱力しますし、なんなら曲のせいで「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大運動会」みたいな感じになってしまっていますが、それもそのはず、音楽担当が伊福部昭から佐藤勝へ変わったからなんですね。あ、佐藤勝も後述しますが、素晴らしいです。悪しからず。

そしてまた翌年(1967年)には、「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」にて、ゴジラの息子、ミニラが登場します。登場怪獣はゴジラ、ミニラ(息子)、カマキラス、クモンガ。えー、説明の必要もないと思いますが、カマキラスはバカでかいカマキリの姿形をした怪獣で、クモンガはやたらでかいクモの姿形をした怪獣です。

Reference:YouTube

ゴジラの息子ミニラの、その父親よりおっさん臭く、競艇場の片隅でイカ焼きを食ってそうな風貌は、当時誰しもが困惑したのではないでしょうか。でもすごく、愛嬌があって可愛いんですよね。

そんなわけで、ゴジラの顔も若干おっさん臭く調整されています。スーツもだいぶたるんでるので、幸か不幸か中年太りを再現出来ているのもポイントが高いですね。

また、劇中流れるインスト曲(特に予告編で流れる曲)が素晴らしいんですよ。舞台であるゾルゲル島の雰囲気がよく現れています。

やっぱり翌年の1968年、怪獣ブームに陰りが見えはじめたご時世でしたが、今までのシリーズと東宝怪獣を一同に集結させたオールスター戦とも言える「怪獣総進撃」が公開されます。

これにて、「ゴジラ対モスラ」の型から取られた最後のスーツとなります。お腹のたるみが気になっていたゴジラも一気にシェイプアップ、ガッチリ絞っての参戦です。

Reference:YouTube

破壊する建物のほうも、オールスターだけにワールドワイド。パリにモスクワ、ニューヨークなど、国連ビルからクレムリン宮殿まで、爆破されるわ吹き飛ぶわ、大盤振る舞いとなっています。

もちろん総勢11体の怪獣が並ぶ様も壮観で、子ども心に手に汗握った記憶があります。

翌年来る年、1969年には「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」が公開されます。またオールスターものです。本作ではシリーズで唯一、怪獣の存在しない現実世界の舞台を描いている一風変わった設定の作品です。

Reference:YouTube

こちらもゴジラ、ミニラ、ガバラ、カマキラス、クモンガと、さまざまな怪獣が登場するのですが、大人の事情で使い回しの部分が多く、過去の映像が流用されています。制作費の都合上、仕方がないですね。

そしてなんと、2年の超空白期間ののち、“公害”という社会問題をテーマに制作された異色作「ゴジラ対ヘドラ」が公開されます。皮膚が焼けただれたり、白骨化したりなど、テーマとともに残虐さや暗さが際立つ作品ですので、トラウマになった方も多いのではないでしょうか? 

Reference:YouTube

私も幼少の頃鑑賞してトラウマになりました。サイケデリックなカットや、ヘドラの目が本当に怖いんですよね。思えば本作が生まれてはじめてのトリップ体験だったのかも知れません。勧善懲悪で終わらず、メッセージ性も非常に強いので、大人の方も未見の方はぜひ、ご覧になってみてください。

さあ、再び撮影ペースが戻ります。1972年には「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」が公開されています。公開時のキャッチコピーは「宇宙のわるもの怪獣をやっつけろ! ゴジラがんばれ地球をまもれ!」。随分といいもんになったものです。

Reference:YouTube

予告編のテロップではこう流れます。

「謎の宇宙からやって来た、新怪獣ガイガン、悪い仲間キングギドラ」

もうほとんどチンピラの扱いですが、いま観てもガイガンのフォルムはサイバーな感じがしてカッコいいですね。造形の美しさがあると思います。

また、「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」より補修を重ねて使われてきたスーツは、ガイガン戦にてその役目を終えます。合唱。

もう翌年、という言葉を十年分くらい書きましたが、案の定翌年、1973年には次作「ゴジラ対メガロ」が公開されました。ここからまた、ゴジラの造形は大きく変わります。

Reference:YouTube

目は大きく親しみのある感じに。いい人感が出ています。ゴジラは電子ロボット、ジェットジャガーの要請をうけて出動する怪獣として描かれていて、立派に就職しています。

何はともあれ、やっぱり低予算かつ実質的な撮影期間が非常に短いなど、制作陣は不遇をかこったようですが、その中でもメガロがダムを破壊するシーンは一見の価値ありです。「予算がないならどう使うか考える」大人の事情と職人魂のせめぎあいに、大人になった今涙が止まりません。

さてさて、やっとゴジラが誕生20週年になりました。1954年から20年の時を経て、1974年、「ゴジラ対メカゴジラ」が公開されています。私も大好きな作品です。

Reference:YouTube

舞台は当時返還されたばかりの沖縄で、景色もさることながら、佐藤勝による沖縄音楽を基にした楽曲が華を添えます。ベルベラ・リーンが歌う『ミヤラビの祈り』も作中で重要な要素を果たしています。あまりに重要な曲なので、もちろんフルコーラスで歌われます。

本作、ゴジラ、メカゴジラの他にキングシーサーなる怪獣が登場しまして、守り神として沖縄のフィーリングをグッと上昇させてくれるわけなのですが、この怪獣が弱くて弱くて、満を持して登場してきた割には大して活躍しないんですよ。が、長い間眠りについてしまったために、怪獣業界ではインフレが起こり対応できなかったと考えると、感慨深いものがあります。

壮絶な戦いを繰り広げた「ゴジラ対メカゴジラ」から数えること1年後「メカゴジラの逆襲」と題された映画が公開され、再びゴジラとメカゴジラは対峙することとなります。

Reference:YouTube

人気者はシリーズ化される。怪獣業界も人気商売なのですね。なのでキングシーサーは登場せず、代わりに新怪獣、チタノザウルスが登場します。

「メカゴジラの逆襲」では、メカゴジラ人気にあやかりつつも、大人向けとして初期のゴジラ作品のような雰囲気を描き出すことを目標に、監督には再び本多猪四郎、音楽には伊福部昭を起用するものの、観客動員数では奮わず、ゴジラシリーズは本作をもって、ゴジラが毎回地球のどこかで眠りにつくように、一時休止となってしまいます。

以上15作品、駆け足というよりは全速力でつまみ食いして参りましたが、伝説と歴史はまだまだ続きます。次はいわゆる“平成ゴジラ(vsシリーズ)”です。

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