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『Hurt』/Johnny Cash

お次は米国が生んだ「伝説の」とか「偉大なる」などという言葉すら軽薄に聞こえてしまう、万の言葉を費やして賛辞してもし足りないほどのシンガー・ソングライター、Johnny Cash（ジョニー・キャッシュ）がカバーするNine Inch Nails（ナイン・インチ・ネイルズ）の『Hurt（ハート）』です。

収録アルバムは『American IV: The Man Comes Around』。この他にも『In My Life 』、『Desperado』などなど、秀逸なカバー曲が目白押しですので、もうできれば全曲聴いてみてください。

その涙と鼻水と、場合によっては身体中の穴という穴から水分が出て止まらなくなるほど素晴らしい『Hurt』のMVはこちら。

映像の監督を務めたのはマーク・ロマネク、MV製作で数々の受賞経験がある方です。このMVも2004年のグラミー賞「最優秀短編ミュージック・ビデオ賞」を受賞しています。

元ネタの曲も聴いてみましょう。原曲は先程も書きましたNine Inch Nailsが1994年に発売した『The Downward Spiral（ザ・ダウンワード・スパイラル）』に収録されています。

この曲も割りと原曲に忠実ではありますが、ジョニー・キャッシュの歌声一発ですべて持っていかれてしまった感がありますね。

もし私がNine Inch Nailsのトレント・レズナーだった場合、たぶん余りの衝撃にバンドを解散してしまいそうですが、彼曰く「涙が出た。背中を押された気持ちになった」そうで、当時のスランプをぬけ出すきっかけのひとつとなったそうです。

ジョニー・キャッシュには数々の逸話や、まことしやかに囁かれる伝説が多々ありますが、この原作者すら歌で救済してしまったエピソードも、またそのひとつであると言えるでしょう。