• MV_1120x330
  • MV_1120x330

おすすめ映画サントラ名盤10選

加藤広大 加藤広大


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

soundtrack_eye

5. Cadillac Records/キャデラック・レコード音楽でアメリカを変えた人々の物語

シカゴの名門レコード・レーベル「チェス・レコード」の隆盛、50年代から60年代にかけての数々のロックン・ロール、ブルース伝説を見事に描き出したのが、2008年公開の映画「キャデラック・レコード」です。

Reference:YouTube

こちらのサウンドトラックはもちろんチェス・レコード所属のアーティストが世に放った楽曲で構成されているのですが、演っているのはオリジネイターではなく、劇中に出演した俳優・ミュージシャンたちが歌っています。

エタ・ジェイムスはビヨンセ、マディー・ウォーターズはジェフリー・ライト、チャック・ベリーはモス・デフ、リトル・ウォルターはコロンバス・ショートが演っているんですが、これがもう、当人たちのジャンルの垣根を超えて「あれ? 本物じゃないの?」と聞き間違うほどのクオリティなんですね。なんなら顔まで似てます。

モス・デフなんてラッパーなのに、畑違いのチャック・ベリーを見事に演じて、歌ってみせるんです。これは他のアーティストも同様ですが、現代のアメリカにおいて活躍しているアーティストがどれほどルーツ・ミュージックを大事にしているのかということの証明でもあります。

そして、何より素晴らしいのはビヨンセ。私、この映画を観るまでビヨンセってぜんぜん聴いたことなかったんですけど、エタ・ジェイムスに歌わせたら上手いのなんの。あまりに感動して飲み屋でずっとビヨンセの歌の上手さについて話していたら、会う人会う人に「今更何言ってんだこいつ」という顔をされたのは今ではよい思い出です。

中でも、最後のシーン『i’d rather go blind』を歌うシーンはまさに鳥肌モノ。音楽映画史上に残り続ける素晴らしい演奏シーンであると断言できます。

6. Super 8 Stories/スーパー8

「ビギナーズ」と同様に、つい2011年公開のJ・J・エイブラムス「スーパー8」のほうがすっかり有名になってしまい、「ああ、あの宇宙人の映画でしょ」といわれがちな隠れた名作が、エミール・クストリッツァ監督が2001年に制作した「スーパー8」です。紛らわしいですね。

Reference:YouTube

監督自らがギタリストとして参加しているバンド、ノー・スモーキング・オーケストラを追ったドキュメンタリータッチのこの作品、厳密に選曲と言うとちょっと違うかもしれませんが、ひとつのバンドの中で選曲をしたということでご容赦願えますと幸いですし、こんな時でないと紹介できないんです。

このノー・スモーキング・オーケストラ、現ボスニア・ヘルツェゴビナはサラエボで結成されたバンドでして、いわゆるバルカンビートというバルカン半島の伝統音楽を下敷きとして、ロック、スカ、レゲエ、ジャズ、その他雑多な民族音楽を一緒くたにぶち込んでかき混ぜたような音楽です。何といいましょうか、ミクスチャーと言ってしまえばそれまでなのですが、まあ何でもあり、何でもござれなんですね。

芸歴は意外と長く、原型となったバンドは1980年に結成されています。一度国内でプチブレイクを果たすも、当時のチトー政権を批判してしまったために活動休止状態に追い込まれてしまいます。86年にクストリッツァが参加し、再びカムバックするもボスニア紛争による治安の悪化や、メンバー同士で政治的対立が起こってしまい、一旦解散してしまいます。

現在のブラスを取り入れたスタイルになったのは98年頃からで、2000年より「ノー・スモーキング・オーケストラ」を名乗り、活動を続けています。

音楽が活動を政府に禁止されたり、紛争に巻き込まれて活動休止を余儀なくされたりなど、不運続きのバンドですが、それだけに彼等の持っている音楽の力は素晴らしいの一言です。これだけ聞くとつい恨み節のような音楽を想像してしまうかもしれませんが、ところがどっこい、彼等の曲は底抜けに明るく、極上のダンスミュージックで、そして胸を締め付けられるほど哀しいのです。

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP