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(おまけ付き)日本語ロックの名盤10選

加藤広大 加藤広大


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10. いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー『アワー・コネクション』

ここまで9枚紹介しましたが、女性ボーカルが1枚も無いことに気付いてしまいました。女性が歌う日本語ロックの名盤、そりゃもうたくさんあります。その中で1枚、シティ・ポップというくくりにはなりますが、自分の中では立派な本物のロックだと思います。完全にティン・パン・アレイ関連で申し訳ありませんが、いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリーの77年リリース作品『アワー・コネクション』より、『私自身』です。

Reference:YouTube

バックの演奏技術は言わずもがなですが、アイドルであり、歌手であり、そして女優であるいしだあゆみも決して無理をせずに、囁くような歌声ながら、細野晴臣のベースに負けないくらいの妙な説得力があります。いわゆる「ええ声」というやつですね。ちょっぴり昭和を感じさせながら(というか昭和なんで当たり前なのですが)今聴いても懐かしくはありますが、まったく古臭くない楽曲です。この古臭くないというのは非常に重要で、77年に歌われたこの名曲のDNAが、姿形は変われども、現代のアーティストに受け継がれているという証拠でもあります。

負けず劣らずの名盤を、オマケ的にさらっとご紹介

さて、ざっと10枚いきまして、続けざまにどんどん紹介していきたいのですが、「やれ」と言われれば延々と紹介できるため、このままではいつまで経っても原稿が終わりません。〆切りも近づいています。ですので、妥協案ではありますが、せっかくの機会ですしオマケとして、他にもおすすめの名盤を最後に列挙させていただきます。

ちなみに、下記は選に漏れたというわけではなく、上述した作品群と同等、もしくは日によってはそれ以上のお気に入りですのでご了承ください。優劣はありません。どれも名盤です。

INU 『メシ喰うな!』

日本が誇るパンク、ニューウェイブの筆頭格「フェイド・アウト」の後に、ザ・スターリンの『ロマンチスト』を繋げるのが一時期ロックDJ界隈で流行っておりました。一度聴けば口中に広がるテイスト・オブ・苦虫。

浅草ジンタ『ゼロの空 -SKY “ZERO”-』

日本人なら誰しも遺伝子に刻まれているであろう「祭りのビート」が呼び覚まされる素晴らしき楽曲群。落語芸術協会客員ロックバンドの肩書は伊達じゃありません。日本より海外での評価が高く「もっと評価されるべき」という言葉を今一番使いたいバンドです。

忌野清志郎『GOD』

説明不要。講釈無用。と8文字で説明が終わってしまうのですが、先日命日でした。酔っ払って帰り道で聴く『JUMP』は何年経っても何回聴いても泣いてしまいます。

RCサクセション『雨上がりの夜空に』

ここだけはシングル盤でいかせてください。日本の素晴らしいロックン・ロール。『トランジスタラジオ』を聴いて自主的に学校の屋上で授業をサボった方も多いのではないでしょうか。または『スローバラード』を聴いて車の中で寝た方も多いのではないでしょうか。どちらも名曲ですが、一番おすすめしたいのは、『雨上がりの夜空に』のB面に収録されている『君が僕を知ってる』です。

麗蘭『麗蘭』

清志郎、RCと来たのでチャボのバンドも少しだけ。「ストリート・スライダーズ」の蘭丸とのユニット『麗蘭』も日本語ロックの名盤中の名盤だと言えるでしょう。おすすめは『今夜R&Bを・・・』をです。くわしくはこちらを参照してください。

尾崎豊『壊れた扉から』

こちらもいろいろと講釈を垂れるのは野暮天というものですし、好きな曲が多すぎて1枚、1曲には絞りきれませんが、最近聴き直して気に入っているのは『壊れた扉から』です。聴くときによって好きな曲が変わる。これも音楽のひとつの楽しみ方ですよね。

THE ROOSTERS『THE ROOSTERS』

めんたいロックの雄、THE ROOSTERSも日本語ロック界では外せないバンドのひとつです。もちろんTHE MODS、TH eROCKERSなども忘れてはいけません。何バンドも聴くのが面倒くさいという方は映画「爆裂都市」にて、THE ROOSTERZとTH eROCKERSがニコイチにされて「バトル・ロッカーズ」というバンドで出演しておりますのでそちらをどうぞ。

山下達郎(の作品すべて)

山下達郎に関しては、すべての作品が名盤です。説明の必要もないでしょう。どうしても今、一曲推せと言われたならば、おすすめはライブ・アルバム『JOY』に収録されている『蒼茫』です。ライブ盤だからちょっと音いじってるんじゃないの? と思うなかれ、ライブを生で観ても本当にあのクオリティです。

EGO-WRAPPIN’『〜Midnight Dejavu〜 色彩のブルース』

エゴラッピンも最近のバンドだよねと思いつつ、よく考えたら結成20週年でした。中学校の頃から聴いていたのでさもありなんですが、時代の流れを感じますね。が、こちらもいつ聴いてもまったく古臭くありません。これは先日ライブに参戦して確認して来ましたので間違いありません。おすすめは『〜Midnight Dejavu〜 色彩のブルース』に収録されている『かつて..。』のライブバージョンです。

fishmans『宇宙・日本・世田谷』

厳密に言うとロックではないかも知れませんが、個人的にはロックに入れても良いと考えているのでご紹介を。というかもう何回もご紹介していますが、fishmansでございます。おすすめアルバムはその日の精神状態によって変わるのですが、そうですね、今日なら『宇宙・日本・世田谷』です。

ヒカシュー『夏』

ニュー・ウェーブと言うよりは、むしろそのまま「新しい波」、またはジャンル・ヒカシューと表現した方が良いようなバンド、ヒカシューも日本語ロックの範疇に入るのではないでしょうか(その範疇では狭すぎるとも考えられますが)。アルバム『夏』に収録された『パイク』演奏時の超絶的な紙芝居はぜひとも一度はご覧頂きたいエンターテイメントです。

アンジー『溢れる人々』

独特の世界観を持った日本語詞が特徴的なバンドと言えばアンジーも思い出されます。「テレ東」という言葉は果たして本当に水戸華之介が作ったのでしょうか。それはさておきストレートな青春ど真ん中のメロディは、いつ聴いても初心を思い起こさせてくれるものです。おすすめは『溢れる人々』に収録の『天井裏から愛を込めて』です。

ギターウルフ『ジェットジェネレーション』

段々個人的な趣味が多分に入って来ておりますが、ギターウルフも紹介せずにはいられません。『カンフーラモーン頂上作戦』『島根スリム』『冷蔵庫ゼロ』『マグマ信長』など、独特な言葉選びのセンスが光ります。メロディの説明は敢えてしませんが、とにかく爆音で鳴らしていただければ幸いです。

頭脳警察『頭脳警察7』

今や伝説だらけになっているバンドですが、単純に音を聴いて詞をなぞってみれば、非常に正統なロックバンドであることがお分かりいただけるかと思います。イメージ先行で聴かないのは非常に勿体無い、ある意味隠れた(隠されてしまった)日本語ロックバンドが頭脳警察なのではないでしょうか。おすすめは『頭脳警察7』に収録の『万物流転』です。

PANTA『マラッカ』

頭脳警察が出たので、PANTAのソロも1枚紹介しておきましょう。こちらも頭脳警察ありきで先入観を持ってしまっている方が多いかも知れませんが、それで弾いてしまうのはやはり勿体無いアーティストです。ルーツの深さ、音楽に対する姿勢、ボキャブラリーが貧困で申し訳ございませんが、敢えて言うなら半端じゃない。ということです。

BO GUMBOS『ボ&ガンボ』

元ローザ・ルクセンブルグのどんと、永井利充を核として1987年に結成されたBO GUMBOSも日本語ロック、日本ロック史を語るうえで無くてはならない存在です。まあ、語らなくても曲を聴けばそれは明らかなのですが・・・おすすめは『ボ&ガンボ』の9曲目『トンネル抜けて』です。

THE BLUE HEARTS『STICK OUT』

余りに思い入れがありすぎると、何を書いていいのかわからない。ということが今わかりました。

フラワーカンパニーズ『深夜高速』

ライブバンドのお手本のような存在。当たり前のように出てきて、当たり前のようにクオリティの高い演奏をこなし、当たり前のように楽しませてくれる。これが日常的に出来るというのはもう伝統芸能の域でもあり、落語家のような凄みすら感じさせます。

フリッパーズギター『DOCTOR HEAD’S WORLD TOWER -ヘッド博士の世界塔-』

シャレオツなイメージが先行しておりますが、個人的にはロックン・ロールはもちろん、アズテック・カメラからプライマル、英国クラブカルチャーまで、さまざまな音をグッと詰め込んで作品に仕立てあげた骨太ロックだと考えています。それを骨太に感じさせずに、楽々とこなしてみせるというテクニックはまさに唯一無二の一言です。

岡村靖幸『DATE』

だいたいにおいて「天才◯◯」とあると「◯◯」の部分が安っぽく見えてしまうものですが「天才岡村靖幸」と聞くと妙に納得してしまうのはなぜでしょうか。もちろん天賦の才だけではありませんが、岡村ちゃんと同じ時代を生きている。それだけで私たちは後世に自慢できるでしょう。

PSY・S『Non-Fiction』

岡村靖幸は「シティ・ハンター」に曲を提供していましたのでその繋がりでPSY・Sもご紹介しておきましょう。このバンド、プリンセス・プリンセスと同等に評価されても良いと思うのですがいかがなものでしょうか。有名な割にはあまり話題にあがらない、ちょっぴり隠れた名バンドであります。

JITTERIN’JINN『DOKIDOKI』

ついでにもうひとつ女性ボーカルのバンドをひとつ。『プレゼント』、または『夏祭り』のオリジネイターというと通りが良いでしょうか。シングルでヒットを飛ばした曲ももちろん素晴らしいのですが『相合傘』や『Don’t let me down』など、シングルのB面が良いんですよ。これは良いアーティストの必須条件でもあります。

LAUGHIN’ NOSE『LAUGHIN’ NOSE』

まだまだ現役。「続けること」はこんなにカッコいいんだ。と私たちにゲットザグローリーしてくれます。日本のパンクロックバンドでここまでのミュージシャンズ・ミュージシャンはいないでしょう。「世界勝ち抜きバンド対抗パンク合戦」なるものがあったら、まず間違いなく日本代表に選ばれるであろうバンド、それがラフィン・ノーズです。

遠藤賢司『満足できるかな』

武道館で戦った方はたくさんいらっしゃいますが、「武道館と戦った男」と言えば、おそらく日本で遠藤賢司くらいのものでしょう。それだけで「ロックだ」と言えますが、楽曲もニール・ヤングのフィーリングしかり、しっかりロックです。『カレーライス』が有名過ぎるゆえ、フォークと捉えられがちですが、それだけではない「何か」はアルバムを通して聴けば充分過ぎるほど伝わります。

久保田麻琴と夕焼け楽団『ディキシー・フィーバー』

またまた時代が引き戻されてしまいましたが、久保田麻琴と夕焼け楽団も日本語ロックを歌う行為に対して、異国情緒漂いながらも、もしかしたらこの世界は日本のどこかにあるのでは? と思わせるような、メロディと詩、双方にひとつの回答を出したバンドであるでしょう。

Char『CHARACTER』

日本を代表するロックギタリストと言えばCharですが、歌の方もこれまた素晴らしい作品を多く作っています。『天邪鬼 AMANO-JACK』に収録の『Piano(Japanese Version)』なんかも大好物なのですが、丁度これを書いている今雨が降ってきましたので、『CHARACTER』より『空模様のかげんが悪くなる前に』をおすすめさせていただきます。

まだまだ紹介したいのだけれども、今回はこの辺でお開きに

我ながらバラッバラなセレクトだなと若干反省していますし、これだけでは日本語ロックの1万分の1も拾いきれていません。まだまだ挙げたいバンド、シンガーソングライターがたくさんいます。が、現実とは残酷なもので、そろそろ〆切りの時間(という言い訳)が近づいて参りましたし、行きつけの飲み屋が開く時間も迫っています。手も震えてきました。ので、後ろ髪を引かれながらとなりますが、この辺で一度お開きにしてみたいと思います。

今回紹介できなかった、またはすっかり忘れている名盤は、またの機会にでもご紹介できればと考えていますので、その際はまたお付き合い願えますと幸いです。

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