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(おまけ付き)日本語ロックの名盤10選

加藤広大 加藤広大


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4. Varna Ghita『Varna Ghita LIVE』

「詩」と言えばもうひとつ、名盤と銘打っておきながら多少マイナーなものを挿入することで「おれは音楽知ってるぜ感」を醸し出そうと言う姑息な思想はないのですが、隠れた日本語ロックの名盤ということで箸休めにご紹介させてください。日本、もといヤポネシアが産んだミュージシャン内田ボブのバンド、Varna Ghita(バルナギータ)の『Varna Ghita LIVE』です。

Reference:YouTube

この中に『そして旅が終わったら』という歌があるのですが、こちらの作詞は60年代後半にナナオサカキや山尾三省らと伝説のコミューン「部族」を立ち上げたナーガこと長澤哲夫の詩に曲を付けたものとなっております。

歌には曲先、詩先というものがありますが、それを超越して「詩先過ぎ」ということですので、詩があり、それに曲を付けたこの曲は『日本語ロック』として扱うには充分すぎるほどの強度です。世の中にはたくさんのミュージシャンがいますが、これほど「歌」に優しい力がある音楽家はなかなかおりません。

先程も書きましたが、日本で「詩」というと難しく考えられがちですが、ナナオサカキや長澤哲夫など、ヒッピー、フーテンの先人たちが遺した素晴らしい詩は、時代を経ても重要なメッセージ性を持ち続けています。それが歌になり、世界中の何処かの誰かに歌い継がれる。これはもう、ロックを通り越して現代の民族音楽と言っても良いのではないでしょうか。特に都会の生活に疲れたときに、ぜひともどうぞ。

5. 鈴木慶一『ヘイト船長回顧録』

鈴木慶一のキャリアを端から説明するのは難しいですが、私たちの年代、大体30代くらいの方にはゲーム『MOTHER(MOTHER2)』の音楽を手がけた人と聞くと通りが良いでしょう。日本語ロックの先駆者として、今も第一線で活躍している鈴木慶一、はちみつぱいやムーンライダーズ、もちろん火の玉ボーイもご紹介したいところですが、ここは2011年に発売したアルバム『ヘイト船長回顧録』をセレクトしてみました。こちら動画が見つかりませんでしたので、ジャケット写真を掲載させていただきます。


鈴木慶一『ヘイト船長回顧録』(出典:Amazon

このアルバム「ヘイト船長三部作」という世界三大三部作のひとつでして、ちなみに他にの三部作はトム・ウェイツの「フランク三部作」とミケランジェロ・アントニオーニの「愛の不毛三部作」です。これは今考えたので残念ながら嘘八百なのですが、『ヘイト船長回顧録』は本物です。

地中から発見されたヘイト船長が録音したテープを、ラブ航海士が復元したというコンセプトのこのアルバム、非常に物語じみていまして、そう、なんだか冒険を感じさせるところが非常に『MOTHER』っぽいんですよ。少し違うところと言えば、すべての楽曲にそこはかとなく「フォーサイド感」が漂っているくらいでしょうか。個人的にははじめて聴いたとき「あ、これMOTHERからの音楽制作の歴史が全部入ってるのでは」と思い、少しだけ涙してしまいました。『MOTHER』の音楽が好きな方にも、そうでない方にも非常におすすめの1枚です。ぜひとも、薄暗い部屋の中で、漂うくらいのボリュームでお聴きください。

6. ROLLIE『19 1/2の街角で』

今時、ROLLIEとか言ってもほとんどの方は頭に「ローリー寺西?」と疑問符が浮かぶことでしょうが、それはROLLYですので注意が必要です。もちろん、すかんちも素晴らしいバンドですが、話を戻しまして、こちらのROLLIEは、ザ・コルツ、そしてマックショウでお馴染みの岩川浩二、TOMMY神田がその昔ワオワオ演っていたバンドでございます。

今しがたお馴染みと書きましたが、正直ほとんどの方が馴染みがないかと思います。説明に窮してしまうのですが、赤いサスカッチみたいな化物と、恐怖の緑恐竜人間が所狭しと暴れまわる良く考えたら結構カオスだったテレビ番組「ポンキッキーズ」の中で流されていた囚人服を着ているバンドのことだと言えば、おそらく一番分かりやすいのではないでしょうか。アルバムは3枚(たぶん)出ておりまして、今回ご紹介するのは『19 1/2の街角で』です。

Reference:YouTube

1曲目からノリノリのロックンロールですが、若干20歳ほどにも関わらず、洋邦ロックの勘所をしっかり抑えつつ、初期衝動もたっぷり盛り込んだ才能とクオリティに若干の嫉妬を禁じえません。これより、岩川浩二氏は現在に至るまで、職人芸とも言うべきロックンロールをさまざまなバンド、またはソロ活動で連発しています。

ロックの要素を上手く取り入れて「ありそうでなかった」境地を見出した金字塔的名盤であると共に、ここから彼の作品を聴いていけば、1人のロック少年が本物のロックンローラーになる過程が音を通して感じられる。という長大なる一代記の、偉大なるスタート地点、第一幕でもあるのです。

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