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(おまけ付き)日本語ロックの名盤10選

加藤広大 加藤広大


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jpmeiban

1. はっぴいえんど『風街ろまん』

「匙加減を変えてセレクト」とか言いながらいきなりやっていることが違って正直自分でも驚いていますが、これは紹介せねばいけません。というか、紹介せずとも問答無用、説明不要な名盤ですし、もう私が説明すべきことなど何もないのですが、だからこうやって文字数を稼いで・・・。それはさておき、誰が何というと、何とも言ってませんが、日本語ロックの歴史を彫り込んだ記念碑がもしあったとしたならば、永遠にデカデカとバンド名が刻み込まれるであろう大名盤が、はっぴいえんどが1971年11月20日に世に放った『風街ろまん』なんです。

Reference:YouTube

このアルバム、セカンドアルバムでして、前作『はっぴいえんど(通称ゆでめん)』ももちろん大傑作で素晴らしいんですが、私はこちらを推させていただきます。というか、大名盤、大傑作とか雑なことしか言ってませんが、これは敢えてボキャブラリーの貧困を撒き散らすことにより、「そんなに凄い凄い言うなら一度くらい聴いてみようか」という効果を狙ったものだと言いたいのですがそんなことはございませんでした。すみません。

一小節一小節切り取っても野上眞宏の写真のように、どことなく不思議で、少しだけ懐かしい風景が目の前に広がります。良い映画のように、一瞬一瞬を切り取っても成立してしまうのです。と、曲の説明をしようが、歌詞の説明をしようが、私が何を言っても説得力はございません。説得力は歌の中にあります。

一応、YouTubeを貼り付けてありますが、動画サイトでは10分の1も魅力は伝わりません。ぜひとも購入してお聴きください。CD屋に行くのが面倒くさかったらiTunesストアでも販売しています。今すぐこの記事を読むのをやめて購入すれば2分後には素晴らしい音楽体験と、心のなかに広がる「風街」を感じることができるはずです。
 

2. CRAZY KEN BAND『Punch! Punch! Punch!』

「時代の最先端を爆走しナウなフィーリング・エイジ達の度肝を抜く東洋一のサウンドマシーン」でお馴染み、日本語ロックと言えば思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか? クレイジー・ケン・バンドが1998年に発売したデビュー・アルバム『Punch! Punch! Punch!』です。

Reference:YouTube

昨年アナログが再発でしょうか? やっとこさ発売されまして、喜々として購入した自慢話は置いておいて、ロックンロールからジャズ、ソウル、ファンク、ブルース、果てはヒップホップまで、古今東西津々浦々東浦和の音楽エッセンスがたっぷり詰め込まれた異様にクオリティの高い楽曲群は、まさに、はっぴいえんどが風街ならば、クレイジー・ケン・バンドは『クレイジー・ケン・バンド』という名の中華街を形成し、門をくぐってちょっと横道にそれたら最後、青龍刀やチャカが飛び交う逃げ場のない裏路地だらけの少々危ない魅力たっぷりのネオン輝く一丁目にリスナーを迷い込ませます。

通常、何かの「良いとこ取り」や「寄せ集め」というやつは、得てして陳腐になってしまったり、最近流行りの「まがいもの」扱いされてしまいがちですが、ところがどっこい、クレイジー・ケン・バンドは違うんですね。本当に音の細部までこだわりが感じられますし、聴く度に新たな発見があります。それは歌詞も同様です。神は細部に宿る。と言いますが、まさしく職人魂、そして見せ方、エンタメ性、ふらふらしているように見えてもキッチリ計算されている。これこそ芸能事、そして粋ってもんではないでしょうか。

3. 佐野元春『BACK TO THE STREET』

お次は現代のビート詩人というともう手垢の付いた言い方でしょうか? こと日本語で歌うことにかけては右に出る人はいないでしょう。佐野元春のファースト・アルバム『BACK TO THE STREET』です。

Reference:YouTube

全作詞・作曲は佐野元春が行っていますが、編曲の多くは伊藤銀次によって手がけられています。またまたはっぴいえんど、ナイアガラ関連の方が出てきてしまいましたが、これは仕方ありません。それほど彼等の影響力たるや。ということです。全10曲、ファーストだとは思えないクオリティで佐野元春の世界観が垣間見える作品です。私事で恐縮ですが、10代の時に聴いてぶっ飛びました。

ときに、佐野元春はビート、特にジャック・ケルアックがお好き。ということを良く見聞きしますが、ケルアックを読んでから佐野元春を聴くと、また違う世界が広がります。ロックン・ロールは肉体言語ですし、ミュージシャンのバックグラウンドを調べてから聴くということは、ともすれば野暮な聴き方かもしれませんが、まるでポエトリーリーディング、つまり詩を朗読しているかのような歌い方はまさしくケルアック以下、ビート詩人のDNAを感じさせます。

日本で「詩」というと取っつきにくいイメージがあるでしょうが、ストリートの次元まで詩を引きずり出した佐野元春の功績はもっと認められるべきなのではないでしょうか。ちなみに、ジャック・ケルアックもジャズをバックに詩を朗読したCDがあるのですが、それはそれで非常に趣きがありますので、ご興味がある方はそちらもぜひ。おすすめは『メキシコシティブルース』の朗読です。

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