• MV_1120x330
  • MV_1120x330

【真面目からおバカまで】おすすめB級映画10選

加藤広大 加藤広大


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「Money Man(マネーマン)」

ドキュメンタリーはB級映画に入れて良いのか? という疑問もありますが、1時間ほどの短い映画ですし、B級=まがい物と考えた時に、この人のやっていることは非常にB級的なので勘弁して下さい。

話の筋は単純で、“偽札を作る”アーティストのJ・S・G(ジェームズ・スティーヴン・ジョージ)ボッグスが、自身の作品、つまり偽札で購入したバイクにまたがり、彼が言うところの『取引(Transaction)』をしながら旅をし、最終目的地である財務省の偽造摘発部門のオフィスに向かう様子を追ったドキュメンタリーです。

これだけ聞くと完全に犯罪の匂いしかしませんが、ボッグスの作品は表面だけが精巧に作られ、裏面には彼のサインが入っています。ですので、一見して偽札だと分かります。

しかしボッグスは、通常生活で生じる支払いを当たり前のように偽札で払います。もちろん相手は気付きます「お客さん、このお金は使えませんよ」と、しかしボッグスは「このお札は絵だ。お札じゃないからお金としての価値はない、けれども絵としてはどうか?」と取引を持ちかけるんです。

そして、彼のアートを気に入ってもらった場合、額面通りや、時折額面以上の値段で『取引(Transaction)』は成立し、レシートなどと一緒に額に入れて飾られ、彼のアートは完成となるのです。

お金の価値とは何なのか? そしてアートとは? 世の中の当たり前を問う、痛快な作品です。

残念ながらトレイラー映像は見つからなかったのですが、彼が作品を取引しようとしている映像がありましたので、以下に動画を貼っておきます。

Reference:YouTube

「L’ANGE(天使)」

「すごい」という表現には、「(理解/共感できて)すごい」「(理解/共感できないがなんだか)すごい」の2種類が存在します。観てもまったく意味不明で、理解も納得もできないが「なんだかすげえもんみちまったなあ」と思った時、人は新しい価値観に出会います。

私もこの映画を観た時、何がなんだかまったく分かりませんでした。どんな気持ちだったかと言えば、デレク・ジャーマンの「BLUE」をはじめて観た時のような気持ちでしょうか。

Reference:YouTube

シュルレアリスムや実験映画だと断定してしまえば話はそこで終わりですが、そう簡単にはいきません。本当にさまざまな解釈ができる映画です。「現代のフェルメールとカフカが創造した、光と音による鮮烈なイメージ!」なんて解説もされていました。光と影、怪しげな音楽、どの箇所を切り取っても1枚の写真として成立する美しさ。B級なんて言うと怒られるかもしれませんが、今でもパッケージの写真は鮮烈に記憶に残っています。

この映画、82年のカンヌ映画祭批評家週間出品作品で、フランスのマスコミ各紙からは最大級の賛辞が送られたそうです。また、制作にあたり特殊効果撮影に5年が費やされたということですから、ある意味B級映画というよりは、映画の枠を飛び出したひとつの芸術作品として捉えられるべきかも知れません。

私はVHSで所持しているのですが、何度観ても未だに理解できません。理解できたら素っ裸で外を疾走して逮捕されてしまうかも知れません。何度観ても分からない。でも、何度観ても違った解釈ができる。発見がある。それがまた楽しいのです。

「Cry Baby(クライベイビー)」

ドキュメンタリー、実験と続いたので楽しい映画にいきましょう。ボルチモア出身のキチ◯イ映画監督ジョン・ウォーターズの「Cry Baby」です。彼の監督作品と言えば、良く引き合いに出されるのがカルト映画の雄「ピンク・フラミンゴ」ですが、こちらの作品も最高です。

Reference:YouTube

何と言っても今や押しも押されぬ大スター、ジョニー・デップの初出演作品ですし、お馴染みミンク・ストールも通常運転の大怪演。そして何より、最高にキュートでアブない魅力を放つトレイシー・ローズ演じるワンダ嬢が可愛くて可愛くて、だってトレイシー・ローズは・・・これ以上書くとアレなのでやめますが、話の方は単純明快、高校で繰り広げられる山の手のお嬢様と不良の恋、そしていいところのお坊ちゃんと不良の対立を描いた青春映画なのですが、ジョン・ウォーターズが監督した作品が単なる青春映画で終わるわけはありません。

全編に鳴り響くロカビリー、ヒルビリー、ロックン・ロール、ドゥーワップ、オールディーズをアレンジした名曲の数々、そしてウェイド・ウォーカー(ジョニーデップ)の育ての父親役はなんとイギー・ポップなのですが、かつてイギー・ポップの前座にジョニーデップが出ていたりしましたね。その繋がりなのでしょうか?

他にもとにかくスーザン・ティレルの顔が怖い、ポリー・バーゲンは相変わらずお美しいなど書きたいことはいろいろあるのですが、とにかく一見の価値ありです。大好きな映画です。

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP