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【真面目からおバカまで】おすすめB級映画10選

加藤広大 加藤広大


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「Six-String Samurai(シックス・ストリング・サムライ)」

「マッド・マックス」とマカロニ・ウェスタンを鍋に入れて、「子連れ狼」と「座頭市」そして「エル・マリアッチ」などのエッセンスを振りかけて3日3晩煮込んだら大事なものは全て蒸発してしまい、後に残ったのは『ホローボディシックスストリング1957年モデル』という仕込み杖ならぬ“仕込みギター”を抱えたバディ・ホリーフォロワーの主人公だけだった。という、荒廃した世界で繰り広げられる荒唐無稽SFアクションが、この「Six-String Samurai(シックス・ストリング・サムライ)」です。

Reference:YouTube

舞台はソ連に占領された戦争後のアメリカの荒野。人類に残った最後の希望、自由の砦ロスト・ヴェガスは、キング・エルヴィスの死後、新たなる統治者を求めていました。数多くの無法者たちが権力を求める中、主人公もまた、道中助けた子どもと共に、ロスト・ヴェガスを目指します。道中に出くわす数々のロックン・ローラー達との戦い、そして悪の化身であり、ベタ過ぎる名称が強烈なインパクトを残す“デス”との対峙・・・。好きモノにはたまらないストーリー展開です。

殺人ボーリング集団、食人一家、謎の宇宙服野郎、弾がないロシア軍の残党、登場人物はどいつもこいつも個性派揃い。まともな人間が1人として出てきません。このあたりは「マッド・マックス」などに似ていますが、すべてにおいてそこはかとないチープさが醸しだされており、より一層“荒野感”を演出します。これは逆に撮影・編集技術の稚拙さが生み出した怪我の功名だとも言えるでしょう。この絶妙な雰囲気が、この映画をB級足らしめている大きな要因のひとつです。

やれパクリだのなんだのと言われていますが、バディ・ホリーが仕込みギターでカンフーアクションをするという設定は唯一無二の存在感ですし、主演のジェフリー・ファルコンが繰り出す武術は本場仕込みの本物です。何より、この作品は監督のランス・マンギアが卒業制作で作り始めたもので、言えば初期衝動の塊なんですね。まさに海外版「狂い咲きサンダーロード」と言ったところでしょうか。ただの馬鹿映画と評するには余りにも勿体無い、隠れた名作です。

「Straight to Hell(ストレート・トゥー・ヘル)」

アレックス・コックス監督と言えば、ご存知「シド・アンド・ナンシー」や「レポマン」など、当時のパンクシーンを描き出した、音楽好きにはたまらない監督の1人ですが、70年代後半〜80年代にかけてのパンク愛好家におかれましては、こちらの「Straight to Hell(ストレート・トゥー・ヘル)」がお好みの方も多いのではないでしょうか?

Reference:YouTube

名だたるミュージシャン、名優を揃えてウェスタンの世界に放り込み、どこか間の抜けたギャングたちが銃を撃ちまくるという設定に、もちろん話の筋なんてありません(ちょっとだけありますけど)。脚本も非常にアナーキーなこの映画、撮影期間はなんと4週間、そして低予算と、まさに往年のB級映画の定義にピッタリとハマっています。

これ、The CLASHのジョー・ストラマーが出演していまして、もう彼の一挙手一投足を観ているだけで「かっこいいなあ」と思わず溜息をついてしまいます。ジョーと言えば、アレックス・コックス監督作品では「シド・アンド・ナンシー」のサウンドトラックを数曲手がけていますし、「ウォーカー」でも音楽を担当していますね。

元はといえばこの映画、アレックス・コックスがジョー・ストラマーとエルヴィス・コステロ、そして『THE POGUES』などを帯同してツアーを行い、その模様をフィルムに収める予定だったのが、人数が多すぎたため予算が足りず、その代わりに撮られた映画だそうで、そう考えると「よくぞ予算が足りなかった」と思わざるを得ません。

先程も書きましたが、劇中ではジョー・ストラマーの他にも、エルヴィス・コステロ、ポーグスの面々、カートの嫁さんコートニー・ラブ、ジム・ジャームッシュにグレイス・ジョーンズ、そしてデニス・ホッパーと、本当に豪華な面々が動きまわります。あまり指摘されることがないのですが、個人的にはエドワード・チューダーポールというテンポール・チューダーというバンドのメンバーが出演しているのがツボです。このチューダーポール、映画「ビギナーズ(Absolute Beginners)」にもいきなり出てくるテディーボーイズ役で出演してまして、これがまた良いんです。こちらも映画、サントラ共に素晴らしいので、機会があればぜひご覧ください。

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