世界のクリエイティブニュース

ジョン・ケージ『0’00″』

ジョン・ケージで有名な曲と言えば、無音の音楽『4分33秒（4’33″）』ですが、この『4分33秒』の2番として作られたのが『0分00秒（0’00″）』です。かと言って、何も0分00秒で曲が終わるわけではなく、「独奏として、誰が何をしてもよい」という記述の基に成り立っている楽曲です。

演奏者は、字を書く、ヴァイオリンを磨く、タバコを吸うなど、「自身が習熟している日常的な行為」を行わなければなりません。そして次回に演奏する際には、一度行ったことがある行為はしてはならないという鉄の掟が存在しています。

ケージ自身、初演の際には自分のメガネや万年筆、灰皿などにピックアップを装着し、その「行為」で生じた音によって『0’00″』の演奏としました。

「『0’00″』なのにある意味しっかり演奏してるじゃないか」と思わずクレームを入れたくなりますが、その難解な解釈、言ってしまえばジョン・ケージにしか理解できない『0’00″』の理不尽さは、突拍子も無い無茶なことを平気で言う上司やクライアントのようなものなのかも知れません。これを鵜呑みにして解釈を間違え、実際に0分00秒で曲を終わりにしてしまえば、「0分00秒だとは言ったがそういう意味ではない」と、妙に納得のいかない戻しが返ってくるのです。絶望しましょう。

終わりに

さて、ざっと5曲ご紹介させていただきましたが、どれもこれも素晴らしい音楽たちです。新社会人の皆様におかれましては、上記の曲を聴きこんで、早めに社会に耐性を付けておくことで、どうかご無事に、この世知辛い世の中を飄々とサヴァイブしていってくださいませ。