ジェム・ファイナー『Longplayer』
人間宇宙のことを考えると、自分が随分とちっぽけな存在に思えてくるものですが、何も宇宙でなくとも、音楽にそれを見出すことが可能です。なぜなら、この『ロングプレイヤー(Longplayer)』という楽曲は、タイトルに偽りなし、曲の尺はなんと1000年。2001年1月1日にはじまった演奏は、今なお続いているようです。
Reference:YouTube
もちろん、間が1000年も演奏するのは不可能ですから、1つのベースの曲をコンピューターがアルゴリズムに基いて処理を行い、これをバリエーションで演奏することにより、1000年もの長大な時間鳴り響き続ける音楽を奏でているそうです。
ベースの曲を作曲したのは、イギリスのパディ・ビートバンド、「ザ・ポーグス」の初期メンバーであるジェム・ファイナー。ケルティックパンクバンドに在籍していた彼が、なぜこんな現代アートのような音楽を書くに至ってしまったのか、それはきっと世の中に絶望してしまったからでしょう。
曲の方も説明するまでもないので、ぜひとも聴いてみてください。きっと「あ、なるほどこれ絶望」と心がざわつき始めるはずです。
実際は「1000年後も音楽が変わらずに演奏されているような、平和な世の中に」という願いが込められているようですが、聴いていると非常に不安な気持ちになります。1000年後と言えば、嫌な上司もいけ好かない同僚も、理不尽全開のクライアントもこの地球上には存在していません。そう考えると、ある意味諸行無常を感じられ、前向きになれる曲ではあるかも・・・んなわけないですね。絶望しましょう。
かちかちと刻まれる一瞬一瞬が退屈な一日を作り上げるけれど
お前は何の準備もせずに時間を潰し無駄にする
Pink Floyd『Time』