漫画家のやってることって、広告を作る人間のやってることと一緒じゃないか!?
番組の中では、キャラクターの表情に命を注ぎ込むことに命を懸ける、漫画家たちの奮闘を見ることができます。ストーリー(ネーム)を練って練って練る、物語を作る難しさに直面しながらも、作業場で孤独で戦う姿におこがましくも「わたしと一緒じゃないか・・・」という気持ちになってくるのです。
『漫勉』の中では、漫画家の“ペン先の音”というのもひとつテーマにあります。漫画家によって、線のスピードは違います。ワンストロークでペンを滑らせる人もいれば、細かい線を積み重ねて仕上げていく人もいる。やり方はまさに、十人十色です。
そんなクローズアップされたペン先と、その音を聞いていると知らず知らずのうちにチラシの裏紙を手にとり、おもむろに何かを書き始める自分がいる。
確実に、ロックオンされた瞬間です。
パソコンの画面の中で何かを生み出すことに慣れすぎてしまっている時に、改めて自分の文字で、自分の絵で何かを紙に書き落とすという作業は、明らかに違う脳みそが使われている感じが分かります。
「何かできる気がする、面白そうなやつを作れそうな気がする!」と、衝動を抑えきれなくなります。「俺はこんなもんじゃねえ、違うんだ! もっとできるはずなんだ!」と、やや中二病的な精神状態になったりもしますが、まあ、若干ナルシストな部分がないと何も作れないかな、とも思います。
ちなみに構成を作るときは、「あたしゃ今“ネーム”を作っているんだ!!」と思い込みます。そうするとだんだん気持ちが高ぶってテンションブチアゲになります。
同様にデザインをしているときは「あたしゃ今キャラクターに演技をさせているんだ!! 現場監督だぜ、フゥ〜☆」とか、そういう感じになります。そりゃもうアゲアゲです。だって尊敬してやまない、憧れの漫画家たちと同じことをやっている(と錯覚したい)のですから。