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(前編)ゲルインキボールペン「ハイテックC」はなぜ廃れたのか

原田真帆 原田真帆


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マックとスタバの如く

しばらくはそれでも従来のキャップ式ハイテックCの方が優勢だった。なぜなら、コレトシリーズは2色ないしは3色で1つのペンができる(現在は5色まで対応している)ため、最低でもボディ代(2色用¥100)+インクレフィル代(¥100×2=200)=¥300(+税)が必要なのだ。3色版なら¥450(+税)だ。そのユーザーの半数を占めていたであろう当時の学生からすれば、1回の買い物で¥210か¥315を選べと言われたら前者を選ぶだろう。

なぜ「当時の学生は」と書いたか。それは、いわゆるゼロ年代(2000〜2009年)と10年代(2010年以降)には大きな違いがあるからだ。ゼロ年代のキーワードは「とりあえず安価」「量産」、そして10年代のキーワードは「カスタマイズ」「断捨離」と筆者は定義づけたい。

キャップ式ハイテックは確かに1色で200円で一見損のように思う。しかしこちらに見慣れてしまうと、コレトの100円の替え芯は細くて、ケチられたように見えてしまう。毎回レフィルを買うよりも、単色を買った方がお得な気がする(実際は分からない、気がするだけか?)。そして単色ペンをたくさん取り揃えることで、ある種の豊かさも感じていたように思う。あの頃人々が持つペンケースはおしなべて大きいものだった。またコレトよりもキャップ式の方がカラーバリエーションが豊富だったという側面も、ひとりが何本も持つ風潮を後押しした。

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