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【新年】意外と知らないお正月の豆知識と年始に聴くべき名曲『1選』

加藤広大 加藤広大


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正月もしくは年明けに聴くべき1曲としては、これ以上のモノを思い付きません。大瀧詠一が1977年12月25日に発表した『NIAGARA CALENDAR』に収録された『Rock’n'Roll お年玉』です。

Reference:YouTube

紹介した音源はラジオのエアチェックになります。元音源では冒頭、近づいてくる足音、そしてカレンダーを破く音と共に「あけまして、おめでとうございます」のご挨拶、新年を告げる軽快なロックン・ロールが始まります。昨年はそこかしこで“パクリ”なんて言葉が飛び交っていましたが、パクリっていうのは本来こうやってやるもんです

次から次へと飛び出す往年のロックン・ローラーへのオマージュは、まるで御節料理のごとく海老、エルビス・プレスリー、ブリ照り、ジーン・ヴィンセントと言った具合に、色とりどりに展開していきます。

かつてある人が大滝詠一に

「あの曲は3つの曲からの剽窃ですよね」

と尋ねたところ、彼は

「その3つとあと2曲の、5曲からできてるんだけど、君は3曲しか分からなかったんだね」

と返したというジョークが有名になるほどユーモアに溢れ、曲の中で随所に効かせる洒落や小ネタの雨霰、それらをまとめてひとつの曲に、それも素晴らしい楽曲に仕上げることなど、大瀧詠一以外、誰が成し遂げられるでしょうか。

この『Rock’n'Roll お年玉』のクレジットには、「Dedication」として、以下の名前が列挙されています。

Elvis Presley(Forever!)、Gene Vincent、Buddy Holly、Jerry Lee Lewis、Richie Valens、J.P.Richardson、Eddie Cochran、Poul Anka、Neil Sedaka、Johnny Tillotson、Bobby Vee、Tommy Roe、Freddie Cannon、Ricky Nelson、Fats Domino、Shirley and Lee、NHK、宇崎竜童、ハナ肇、松本隆、永島慎二、財津一郎

わたくし、英語がてんで解らないもので調べてみたところ、Dedicationとは「奉納」という意味もあるんですね。なるほど、まるで大滝詠一がロックン・ロール神社に祀られている神様たちに(存命中の方もいるので、この場合殿堂と言った方が正しいような気もしますが、お正月なので『神社』ということで)奉納したのが、この『Rock’n'Roll お年玉』なのかもしれません。

そう思ってあらためてDedicationを参照してみると、洋邦問わず、ロックン・ロールの歴史博覧会、思わず手を合わせて拝みたくなってしまうような面子です。

御神酒あげて、凧をあげて、羽根をついて
加留多、重刃竹、福笑い、鬼泣ゃ
独楽の遊び最近 ちょっと すたれたが
何はともあれ お正月
だから きみにあげよう Rock’n'Roll お年玉
Maybe Baby I’ll have you
C’mon honey whole lotta shakin’
goin’on
Rock’n'Roll お年玉/大瀧詠一

畳み掛けるように出てくる、テンポのよい大滝詠一の言葉選びの数々。今や一部の趣味人以外の人々の心から忘れ去られそうになっているお正月の風景と、懐かしのロックン・ロールが幸運にも交わった風景と音楽をコラージュしたこの作品。まさにロックの温故知新。1年のはじめ、まだ何も音楽を聴いていないその耳に叩き込みたい名曲です。

前置きでも紹介しましたが、正月とは、御節料理や門松、年賀状、新年の空気感など、さまざまな要素が集まって年始の雰囲気を演出しています。その雰囲気を古今東西のロックン・ロールの要素を切り口に、音楽に置き換えて見事に表現してみせた、まるで正月のようにめでたい『Rock’n'Roll お年玉』、ぜひ、一家に1枚、いかがでしょうか。

大瀧詠一関連作品はコチラ【大瀧詠一/Sony Music

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