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クリスマス気分真っ最中のカップルへ大音量でプレゼントしたい名曲たち

加藤広大 加藤広大


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猫も杓子もすっかりクリスマス、イルミネーションに彩られた街中のあちこちで繰り広げられるカップルたちの(多くの場合は打算的な)愛の囁きにより、気分も滅入る今日この頃、独り身にはだいぶ堪える季節になって参りました。

今回は、クリスマス気分満々のカップルたちにプレゼントしたい、珠玉の名曲たちをご紹介します。

面影ラッキーホール『あんなに反対してたお義父さんにビールをつがれて』

全曲タイアップ狙い、ワーグナーの総合芸術論を理論的背景として活動を行う、あのPerfumeですら前座扱いの伝説のバンド、面影ラッキーホール(現Only Love Hurts)。彼らがインディーズ時代にリリースしたアルバム、『メロ』で世に放った名曲、『あんなに反対してたお義父さんにビールをつがれて』は、後世に残すべき素晴らしき歌謡曲であると共に、明るい未来を夢見るカップルに現実を突き付けるために聴かせてやりたい曲の筆頭でもあります。

Reference:YouTube

俺足りない頭で考えた できることといやあ駆け落ちだ
パクったカローラ2のエンジン ついついふかしちまったんだ
見知らぬ街でたった2人の同棲ごっこがはじまって
俺設備屋に就職し みちこスーパーでパートしはじめた
面影ラッキーホール『あんなに反対してたお義父さんにビールをつがれて』

確かな演奏と説得力のある、まるで1本の短編小説のような歌詞は、きっと「クリスマスにこんなことをしてる場合じゃない!」と浮かれ気分なカップルの目を覚まさせてくれるはずです。

三上寛『あなたもスターになれる』

青森県北津軽郡小泊村出身、人間の感情をすべて一緒くたにして撹拌し、ちょっぴりの混沌を加えて用水路にぶちまけたような「怨歌」を歌い続けるフォークシンガー、三上寛の『あなたもスターになれる』は、上京してこのかた、すっかり東京に染まってしまってハイカラ気分、まるで映画の登場人物のように振る舞う幸せと下心一杯のカップルに「お前ら所詮田舎モノだろう!」と喝を入れてくれる素晴らしい楽曲です。

Reference:YouTube

月賦で買ったテレビに誘われ
幸せだからと手をたたき
悪の季節と恋の季節をすりかえられて
また会う日まで 空に太陽のある限り
三上寛『あなたもスターになれる』

寺山修司がかつて「故郷の訛りなくせし友と居てモカ珈琲はかくまで苦し」と詠ったように、都会に出て月日が経っても、故郷のことを忘れたり、都会者ぶって卑下しちゃいけないよという思いを込めて、カップルだけでなく、全地方出身者は1ヶ月に1度、この曲を聴くべきです。

ジョン・ケージ『Organ2/ASLSP』

米国の音楽家、詩人、キノコ研究家、そして思想家でもあるジョン・ケージ大先生がドロップした、総演奏時間639年の超大作、『Organ2/ASLSP』も外せない一曲です。この曲は、ドイツのハルバーシュタットにある聖ブキャルディ教会で今も演奏され続け、演奏終了の予定は2640年9月5日となっており、そのコンセプトの壮大さから相対的に「こいつ(この人)と付き合ってる場合じゃない」と相手が妙に小物に見えてしまう必殺の1曲となっています。

肝心の音ですが、現地では以下の動画のような状態で演奏され続けているようです。

Reference:YouTube

ちなみにこの楽曲、残念ながら我々は終わりを聴くことは叶いませんが、お手軽なピアノ版もありますので、気になる方はぜひチェックしてください。それでも20分から70分くらいはありますが……

余談ですが、長期間演奏される楽曲と言えば、『Organ2/ASLSP』の他にも『LongPlayer』という曲があります。こちらの演奏時間はなんと1,000年。2000年の1月1日に演奏は始まっており、2999年12月31日まで演奏される予定です。

セルジュ・ゲンズブール『69, année érotique』

せっかくなので、愛についての曲もご紹介しておきましょう。ブリジット・バルドーと不倫して、ジェーン・バーキンを内縁の妻にした稀代のプレイボーイ、セルジュ・ゲンズブールが歌う『69, année érotique』は、邦題を「69はエロな年」と言います。

Reference:YouTube

数々の綺麗どころを的にかけ、ゲットし続けた性の骨伝導師、セルジュ・ゲンズブールの声を聴いたが最後、女性の心は完全に盗まれてしまいます。この曲でなくとも、セルジュ・ゲンズブールの曲であれば、大体は間違いありません。その狂った邦題も

・くたばれキャベツ野郎(原題:L’Homme à tête de chou)
・唇によだれ(原題:L’Eau à la bouche)
・海、セックスそして太陽(原題:Sea, Sex and Sun)

などなど、盛り沢山な品揃えでクリスマスのカップルを迎え撃ちます。好みに合わせてご使用ください。

ジョン・レノン&ヨーコ・オノ『Kiss Kiss Kiss』

クリスマスといえば、ジョン・レノンの『Happy Xmas』がそこかしこで流れますが、ロマンチックな気分に浸り、清純派を気取っているカップルも、夜になりゃあやることは皆同じ。ということで、夜の情事に先立ち、ぜひともこの曲、よりによってジョン・レノンの遺作となってしまった『ダブル・ファンタジー』のA面2曲目、『Kiss Kiss Kiss』を大音量で聴くことをお勧めいたします。

Reference:YouTube

軽快なニューウェイブを感じさせるイントロがはじまり、左右から迫り聴こえてくるオノ・ヨーコの

「抱いてぇ……」

「DA☆I☆TE☆」

という切ない声と、後半からの壮絶なオノ・ヨーコの喘ぎ声を聴いたが最後、カップルは「愛というものは一体何なのか」を考えた挙句、考えすぎてその場で卒倒、最悪の場合は爆散してしまうかも知れません。

少々真面目になりますと、賛否両論あるアルバムですが、個人的にはオノ・ヨーコの楽曲も含め、むしろ、彼女の楽曲が入っているからこその『ダブル・ファンタジー』であると感じます。特にこの『Kiss Kiss Kiss』は、イロモノ故に嫌厭されがちですが、トーキング・ヘッズなどを彷彿とさせるニュー・ウェイブ、ポスト・パンク的な味付けはさすがの一言です。

ちなみに、この手の喘ぎ声系では、全曲喘ぎまくる池玲子のアルバム『恍惚の世界』などがありますが、誰かに聴かせる場合、ジョン・レノン&ヨーコ・オノとアーティスト名に記載されていた方が、ネームバリューと安心感から、うっかり聴いてしまったカップルは気まずい雰囲気になる。というのがミソです。

さて、今回紹介させていただきました名曲たち、いずれも私が自信を持ってオススメできる、何度も聴いた(ジョン・ケージ以外)素晴らしい楽曲ばかりですが、知人や同僚が「クリスマスは彼氏(彼女)と過ごすんだあ(はあと)」と公言していたら、「クリスマスのプレイリストを作ったから、恋人と一緒に聴きなよグッドムードになるよ」とプレゼントするのも良いでしょう。もちろん、それにより人間関係に溝が生まれるにしろ、訴訟沙汰になるにしろ、昨今流行りの自己責任でお願い申し上げます。

ちなみに先日、絶対に聴くべき「クリスマス・ソング」の名曲・名盤特集という記事が公開されていますので、“クリスマスらしい”曲紹介をご所望の方はぜひそちらもご覧ください。

それでは、1人の人も、2人の人も、家族でお過ごしになる方も、よきクリスマスを!

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