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絶対に聴くべき「クリスマス・ソング」の名曲・名盤特集

加藤広大 加藤広大


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日本では12月に入ると、クリスマスに向けて街の人々は樹木を電飾で緊縛し、キラキラと流行りのLEDで光らせる。人々はそれぞれの欲望に塗れ、揚げた鶏肉で手を脂塗れにさせながら、シャンパンを飲み、ケーキを食らう。ちょっとお金を持っている人は、毎月の家賃ほど高いレストランへと洒落こみ、これまた家賃2ヶ月分くらいのワインを頼み、そのあとは、ともすれば家賃3ヶ月分ほどもするホテルへしけこみ「今日は楽しかったねお前さん」などと小粋な会話をしているように見えても、とどのつまりやることはひとつ。


緊縛される樹木(出典:Wikipedia

翌日から、街の樹木は緊縛から開放されてクリスマスから一転、家々には門松などが飾られ、正月へ向けての準備でおおあらわ。御節の材料を買い占めたり鏡餅を調達するなどして、大晦日になれば除夜の鐘を聴き、クリスマスで貯めこんだ煩悩を払い、神社で振る舞われる甘酒を飲んで「明けましておめでとうございます」と友人知人にスマートフォンでご挨拶、しようと思ったら「電波が混雑しています」

というのが、日本におけるクリスマスから向こうの、年始にかけての一般的な流れかと存じます。

その“流れ”の中で常に寄り添っているのが、街中やテレビで流れ聞こえてくる「クリスマス・ソング」でしょう(お正月ソングは、また別の機会にご紹介します)。世の中にはたくさんのクリスマス・ソングが存在しますが、今回は、「これを聴けば間違いない」という音楽的にもクリスマス的にも正しい名曲・名盤をご紹介しますが、その前に少しだけ「クリスマスとは一体何なのか?」というおさらいをしてみましょう。

クリスマスとは

そもそも、クリスマスとは、そのものズバリ「イエス・キリストの降誕を祝うミサ」であります。毎年12月25日に行われる行事ですが、正教会のうちユリウス暦を使用するものは、グレゴリオ暦の1月7日に該当する日にクリスマスを祝います。


キリストの降誕(出典:Wikipedia

日本ではよく、クリスマスはキリストの誕生日であると言われていますが、実はキリストが“降誕”しただけなので、厳密には誕生日ではありません。キリスト教内でも、「いつ降誕したのか」については諸説あるようです。

クリスマスツリーとは

クリスマスツリーの元ネタは、中世ドイツの、キリストの生誕・受難・復活の物語を主題とした「神秘劇」にて、アダムとイブの物語が演じられた際に使用された樹木に由来しています。このツリーに星のオモチャを飾ったり、電飾で緊縛したりする伝統というのは意外にも新しく、19世紀に米国ではじまり、世界に広がったそうです。


クリスマスツリー(出典:Wikipedia

サンタクロースとは

サンタクロースとは、日本では「クリスマスの日にプレゼントをくれるおっさん」として有名ですが、Wikipediaのサンタクロースの項目を見てみると、こう記載されています。

サンタクロース(英: Santa Claus)は、クリスマスの前の夜に良い子のもとへプレゼントを持って訪れるとされている伝説の人物。
Wikipediaより引用

伝説の人物だったんですね。知りませんでした。いきなり純粋な少年少女の「サンタクロースはいまあす!」という気持ちを打ち砕いてくれる内容となっておりますので、世のお父さん、お母さんは、決して子どもにはWikipediaのサンタクロースの項目は見せないようにしてあげてください。

サンタクロースの由来は4世紀頃の東ローマ帝国・小アジアのミラの司教である「教父聖ニコラオス」の伝説が起源です。


『ミラの聖ニコライ、無実の三人を死刑から救う』(出典:Wikipedia

彼にはいくつかの伝説がありますが、その中のひとつを簡単に要約すると、

割と昔、ニコラウスという偉い人がいました。ある日、ニコラウスが街を散歩していると、とても貧乏な家に住んでいる3人の娘に会いました。
「ニコラウスさん、ニコラウスさん、うちは貧乏なもんで、わたしたちは売られてしまうんです」
その話を聞いて、粋なことで有名だったニコラウスは、「ゲンナマじゃ野暮だしなあ」と一計を案じます。
その日の真夜中、ニコラウスはその貧乏屋敷に出掛け、家の外から金貨を投げ入れました。すると、その金貨は暖炉に下げられていた靴下にホールインワン。翌日金貨を見つけた家人は大喜び。
「これがあれば娘を売らなくてオッケー」
3人の娘は間一髪、身売りを避けられ、幸せにくらしましたとさ。めでたしめでたし

という伝説なのですが、これが「夜中に家屋に侵入し、靴下の中にプレゼントを入れる」という、サンタクロース伝説の由来です。

サンタクロースの種類

さて、サンタクロースには、さまざまな亜種が存在します。
英国では緑の服を来ていたり、イタリアでは良い子にはお菓子を、悪い子には石炭を配るという伝説があるそうです。ドイツでは、悪い子のもとには黒いサンタが現れ、さらわれてしまうという言い伝えもあります。

中でもしっかりとキャラ付けされているのが、アイスランドのサンタクロースです。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/lads.png
妖精というよりは泥棒なユールラッズ(出典:Wikipedia

厳密にはサンタクロースの位置付けに近い、13人の「ユールラッズ」と言われる妖精なのですが、12月12日からひとりずつ現れ、24日に全員揃い、25日からひとりずつ山に帰っていくという異色の設定です。さらに、その所業もサンタとはかけ離れたもので、主に悪さをして人々に迷惑をかけるそうです。いくつか見繕ってみましょう。

1日目にやってくるサンタ
名前:ステキャルストゥイル
農家の羊小屋に侵入して羊のミルクを盗み飲もうとする。足が悪い。

3日目にやってくるサンタ
名前:ストゥーフル
背が小さい。フライパンにこびりついている料理の残りを食べるために、フライパンを盗む。

5日目にやってくるサンタ
名前:ポッタスケフィル
ドアを叩き子供達がやってくるのを待っていて、子供達がやってくると、鍋のあるところまで急いで移動し、鍋の残りを食べてしまう。

9日目にやってくるサンタ
名前:ビューグナクライキル
屋根の梁に登り、そこから食べ物を盗む。特にソーセージが好み。盗むチャンスをうかがっている。

このように、アイスランドのサンタクロース(のようなもの)は、「微妙に嫌なことを」をしながら、毎日増えていくという非常に面倒くさい妖精です。

サンタクロースのトナカイとは

サンタクロースはトナカイが引く空飛ぶソリに乗り、子どものいる家にやってくると言われていますが、「A Visit from St. Nicholas(邦題:サンタクロースが来た)」という詩によれば、空飛ぶソリを引くトナカイは8頭いると言われています。その名前は以下のとおり

ダッシャー (Dasher)
ダンサー (Dancer)
プランサー (Prancer)
ヴィクセン (Vixen)
ダンナー (Donner)
ブリッツェン (Blitzen)
キューピッド (Cupid)
コメット (Comet)

となっています。


かっこいいトナカイ(出典:Wikipedia

トナカイと鹿の違いとは

そういえば、以前クリスマス前にとある肉屋の前を通ったら「サンタの乗り物」と題された鹿肉が売られていたことがあります。


かわいい鹿(出典:Wikipedia

サンタの乗り物はソリですし、鹿とトナカイは違います。二重に勘違いされて売られていた鹿の、死んでも死にきれない無念を晴らすとともに、これ以上悲しみの連鎖が起きないことを願って、全国民は鹿とトナカイの違いを知っておくべきでしょう。

鹿とトナカイの明確な違いはひとつです。

シカ科の動物はオスだけに角が生えますが、トナカイだけはオス・メス共々、角が生えます。覚えておいて損はありません。

クリスマスプレゼントとは

クリスマスと言えば、真っ先に思い浮かぶのが「プレゼント」という方もいるでしょう。日本でのクリスマスプレゼントの習慣は、明治時代に端を発しています。これは、救世軍が食料やちょっとしたオモチャを貧しい人に手渡した、という今とは少し毛色の違う形態でした。


クリスマスギフト(出典:Wikipedia

その後大正時代になると、一般的に文房具やチョコレート、レターセットなどを子どもにプレゼントするようになり、昭和時代には現代のような形に定着し、お菓子がたくさん入ったクリスマスブーツなどが流行しました。そして平成の現在では、主に男性が女性に、高額なバッグやアクセサリーを贈与するのが常識とされています。

クリスマスの経済効果

せっかくですので、クリスマスにはどのくらいの経済効果があるのかも見ておきましょう。

「株式会社第一生命経済研究所」が2005年に調査した『クリスマスの生産波及効果』というレポートによれば、生産波及効果はなんと11,179億円。いちまんおくえん。つまり、クリスマスには、約1兆1,179億円という生産波及効果があるのです。

その内訳は、男性の贈り物が約6,531億円、女性の贈り物が約4,647億円と、女性のほうが約1,884億円得をしている計算となります。愛と打算を感じます。

クリスマスの恩恵を受ける企業・産業は

同資料によれば、クリスマスに恩恵を受ける企業は商業だけではなく、多岐に渡るそうです。外食や旅行などの商品以外を提供するサービス業、プレゼントを作る製造業、それを送る運輸業、プレゼントをクレジットカードで購入したり、ローンを組んだときの金融・保険業……まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」と言った具合に、クリスマスの際には日本経済全体が大きく循環しているようです。


桶屋参考画像(出典:Wikipedia

「クリスマスなんて無くなっちまえ!」と思っているアンチクリスマス主義者も、このような多大なる経済への影響を見ると、考えを改めなければいけないのではないでしょうか。

クリスマスに聴くべき間違いない名曲・名盤

簡単にクリスマスについてのアレコレをご紹介させていただきました。クリスマスとは何なのか? どういうことなのか? 世の中一体どうなってるのか? おぼろげながら感じていただけたことかと存じます。このうえ、クリスマスにピッタリの音楽を知れば、さらにクリスマスに対する造詣が深まることでしょう。

早速、本題ですが、クリスマスに聴くべき曲の筆頭と言えばやはりこちらです。

The Ronettes/I Saw Mommy Kissing Santa Claus

Reference:YouTube

1965年にフィル・スペクターのプロデュースによって世に出された「The Ronettes(ロネッツ)」が歌う『I Saw Mommy Kissing Santa Claus』は、Phillesレーベルのアーティストが一同に会したクリスマス・アルバムである、「A Christmas Gift for You」の中の1曲です。

「ウォール・オブ・サウンド」と呼ばれたフィル・スペクター独自の音作りも堪能できつつ、非常に正統派な、楽しいクリスマス・ソングとなっております。

余談ですが、ロネッツは2004年に「Vocal Group Hall of Fame」というヴォーカル・グループの殿堂に入ります。長らく待ち望まれていた殿堂入りでしたが、この栄誉を邪魔していたのが当のプロデューサーであり、ロックの殿堂理事会員でもあったフィル・スペクターその人でした。メンバーの一人であるヴェロニカ・ヴェネットとの離婚や未払いの著作権で揉めていたのが主な原因でしょうが、フィルが殺人事件で起訴されている間に滑り込みで殿堂入りを果たしたという、曲調とは真逆の苦労をされています。

このあたりの、当時のヴォーカル・グループと、フィルの所業に関しては、映画「バックコーラスの歌姫たち」に詳しいので、ぜひともご覧ください。素晴らしい映画です。

The Beach Boys/Little Saint Nick

Reference:YouTube

お次は、1964年に発売された「The Beach Boys」のクリスマス・アルバムから『Little Saint Nick』です。ビーチボーイズと聞くと、夏や海、サーフィンのイメージがありますが、この「The Beach Boys’ Christmas Album」も最高です。

そもそも、『Surfin’』、『Surfin’ Safari 』、『Surfin’ U.S.A. 』、『Surfer Girl 』など、サーフィン関連の楽曲を連発していたビーチボーイズでサーフィンができるのはデニス・ウィルソンだけですので、ある意味インドアなこのアルバムは、彼らの本質が覗けるアルバムだと言っても過言ではないでしょう。

ちなみに、プロデュースはブライアン・ウィルソン、クリスマス・ナンバーのアレンジはディック・レイノルズ大先生。まさに“クリスマス・アルバムの定番”として、50年以上経っても、今なお聴き継がれる大名盤です。

さて、そろそろ記事も佳境に入るのですが、長々と書いてきて曲の紹介がたった2曲とは、もしかしたらネタが無かったのかと勘ぐられても仕方ありません。が、そんなことはありません。世の中に数多存在するクリスマス・ソングより、厳選に厳選を重ねてご紹介しております。

というわけで、最後にもう1曲だけ、おすすめの曲を。

大滝詠一/クリスマス音頭

Reference:YouTube

大滝詠一が1977年にドロップしたアルバム「NIAGARA CALENDAR」より、『クリスマス音頭』です。アルバムには、1月の歌、2月の歌と、1年を通したテーマ曲が12曲に分けて収められ、ジュリー・ロンドンの「カレンダー・ガール」をもじった日本で最初の「カレンダー・アルバム」となっています。その中の12月を飾るのがこの『クリスマス音頭』です。『ホワイトクリスマス』からの引用や、時折入る三味線リフなど、まさに和洋折衷、クリスマスを祝った1週間後には神社にお参りする日本の特異な文化を象徴しているかのようです。

アルバムの最後には「もういーくつねーるーとー」と『お正月』が収録されていますので、ふたたび頭から聴けばまた1年と、リピートでも楽しめるようになっています。一家に1枚、1ヶ月に1度、月初めに聴きたいアルバムです。

以上、クリスマスに関連したものや曲を簡単にですが紹介させていただきました。

ところで、途中からうすうす気付いてはいたのですが、別にクリスマスに聴きたい曲くらい自分で決めりゃあいいのではないでしょうか。思い出の曲は誰しも持っています。「あの曲が流れて来たらクリスマスを感じる」そういう曲、ありますよね? コンビニで流れる有線だって、スーパーで流れるオルゴール調の音楽だって、自分がクリスマス気分になれれば、それは最高のクリスマス・ソングなのではないでしょうか。

ですから、12月24日、25日と、異性と過ごす予定がおありの方におきましては、クリスマスはそういう曲を聴いて、チキンでも喰らいながら彼女や気になる相手と愛を語らって、良く冷えたグラスでシャンパンを飲みながら、どうぞどうぞ、しっぽりやってくださいませ。

ちなみに、揚げた鶏を食し、飲酒をしながら「お前だけだよ」と嘘をつき、仏教の考えとは相容れないクリスマスを楽しみ、その後上手くいけば淫らな行為にふけるという、殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語、邪見をすべて満たした一般的なクリスマスは、仏教で言えば確実に八大地獄の上から3番目、「焦熱地獄」に落とされる所業であり、極熱で焼かれ焦がれる苦痛が5京4568兆9600億年も続きますのでご注意ください。

それでは、メリークリスマス!

街角のクリエイティブ ロゴ


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