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【祝アニメ化】「ジョジョの奇妙な冒険/第4部」に登場するスタンドの元ネタ音楽を全曲解説

加藤広大 加藤広大


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キラー・クイーン、シアー・ハート・アタック、バイツァ・ダスト/吉良吉影(きら よしかげ)

Reference:YouTube

今作最大の敵である杜王町を脅かす無敵のサイコ野郎・吉良吉影は、そのラスボスっぷりを発揮し、ほぼ反則と言っていい3種類の能力で丈助たちを苦しめます。

スタンドの由来はすべて「Queen(クイーン)」の楽曲から取られており「Killer Queen(キラー・クイーン)」、「Sheer Heart Attack(シアー・ハート・アタック)」はアルバム「Sheer Heart Attack」より、「Another One Bites the Dust(アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダスト)」「The Game(ザ・ゲーム)」というアルバムから引用されています。

曲は吉良吉影が絶望した時に発動するスタンド、バイツァ・ダストの元ネタ「Another One Bites The Dust」です。しかし、この映像を観て、吉良吉影がフレディ・マーキュリーのような姿形ではなくて本当に良かったと、しみじみ思いました。

アトム・ハート・ファーザー/吉良吉廣(きら よしひろ)

Reference:YouTube

吉良吉影の父親である彼は、写真を利用したスタンド能力を発動します。能力名はアトム・ハート・ファーザー、これは、「Pink Floyd(ピンク・フロイド)」が1970年に発表したアルバム「Atom Heart Mother(アトム・ハート・マザー)」のもじりであり、これもヒプノシスがデザインした牛をドカンとレイアウトしたジャケットが印象的です。邦題は「原始心母」と言います。

ちなみに吉良吉廣は、過去に吉良吉影が母から虐待のようなものを受けており、それを知りつつも止められなかった葛藤から、息子が殺人鬼だと知っても守ろうとする。という裏設定があります。だからこその「写真」という、思い出が出力されたものにまつわるスタンドなのかも知れませんね。

曲はアルバムの最後を飾るメンバー共作の隠れた傑作「Alan’s Psychedelic Breakfast(邦題:アランのサイケデリック・ブレックファスト )」です。

ボーイ・II・マン/大柳賢(おおやなぎ けん)

Reference:YouTube

じゃんけんに全てをかける小学6年生大柳賢。岸辺露伴に対して勝負を挑み追い詰めるも、イカサマによって破れてしまいます。さすが岸辺露伴、汚い。スタンド名の由来はアメリカのボーカル・グループ「Boyz II Men(ボーイズIIメン)」です。

ものすごい悪役顔で有名なベリー・ゴーディ・ジュニアが創業したモータウン・レーベルも陰りが見えはじめ、彼が権利をMCAなどに手放したその少し後、同レーベルから、1991年にリリースされた「Cooleyhighharmony(クーリーハイハーモニー)」は大成功を収めます。
ボーカルグループが不遇を迎えていた時代に、信念を持ち人生に「勝ち越した」彼らと、じゃんけんという勝負に並々ならぬ信念を持っていた大柳をリンクさせたのでしょう。ただ単純にboyつながりという可能性もありますが……

曲は彼らのファーストシングル、ダラス・オースティンがプロデュースした「Motown Philly(モータウンフィリー)」です。今まで、荒木飛呂彦先生が元ネタとして使用したアーティスト、楽曲とはまた違う曲調なのが興味深いですね。

ストレイ・キャット/タマ

Reference:YouTube

猫として、猫らしく、「本能と欲望のままに」生きていた生粋の猫であるタマは、仮死状態に陥った際にスタンド能力が発動し、草と一体化したかのような「猫草」となって蘇ります。

そのタマが使う、ストレイ・キャットというスタンドは、ネオ・ロカビリー、パンカビリーバンドの雄「Stray Cats(ストレイ・キャッツ)」から取られています。バンドのアルバムやアートワークにもよくネコが登場するので、元ネタにはピッタリだと言えるでしょう。ドラムのスリムジム・ファントムも猫がしゃんとするような姿勢で、スタンディングドラムをビシバシ叩いています。

曲は1981年のファーストアルバム、「STRAY CATS(邦題:涙のラナウェイ・ボーイ)」より、「Stray Cat Strut(邦題:気取り屋キャット)」です。他にも同アルバム内では「悩殺ストッキング」、「嵐の大使館」、「ロック・タウンは恋の街」など、めくるめく邦題センスを発揮している名盤です。

スーパー・フライ/鋼田一豊大(かねだいち とよひろ)

Reference:YouTube

鉄塔で自給自足の生活を送る鋼田一豊大が操るスタンドは、鉄塔がまるごとスタンドという、スケールが大きいのか、そうでないのか分かりにくいスタンドとなっています。

スタンド名であるスーパー・フライの由来は、1972年に同名映画のサントラとして作成された、「Curtis Mayfield(カーティス・メイフィールド)」のアルバム「Super Fly(スーパー・フライ)」より取られています。彼は惜しくも1999年のクリスマスの翌日、21世紀を見ることなくこの世を去ってしまいましたが、今でも彼のソウルは古今東西のミュージシャンの中で生き続けています。

最終的には鉄塔の中で生涯を過ごすことを決めた鋼田一の姿はまさに、この曲中の「The only game you know is Do or Die」という歌詞に重なるのではないでしょうか。

エニグマ/宮本輝之輔(みやもと てるのすけ)

Reference:YouTube

人間観察が好きな謎の少年宮本輝之輔は、最後、自身が本になってしまい杜王町の図書館に寄贈されるという、読んだことがなければ何のことだかさっぱり分からない末路を迎えてしまいます。

私、てっきりこのエニグマの由来はピンク・フロイドのアルバムだと思っていたんですが、よく見たらそれは「ウマグマ」でした。もしくは、ナチスドイツの暗号機のことかと思っていました。

正解は、「Enigma(エニグマ)」という民族音楽や聖歌などとダンスビートを融合した音楽が特徴の、ドイツを活動拠点とするヨーロッパの音楽プロジェクトの名前だそうです。またひとつ、無駄な知識が増えてしまいました。調べてみたら、メンバーのマイケル・クレトゥは、マイク・オールドフィールドのプロデュースもやっているそうで、楽曲に漂う浮遊感に納得です。

曲は1994年にリリースされたシングルより「Age of Loneliness(エイジ・オブ・ロンリネス)」です。

チープ・トリック/乙雅三(きのと まさぞう)

Reference:YouTube

本体の背中に張り付き、自意識を持ちながら宿主に寄生して耳元でささやき、精神的なダメージを負わせてくるというわりと嫌な能力を持ったスタンドが、乙雅三が操る(というより本人は自覚がないので寄生されている)チープ・トリックです。

取り憑かれた状態で背中を見られた人間は死んでしまい、見た人間に再び乗り移るという文字通り「チープ・トリック」なこのスタンドの名前は、アメリカのバンド「Cheap Trick(チープ・トリック)」に由来しています。

今でこそ、世界的に有名ですが、バンドはデビュー当初、鳴かず飛ばずの状態でした。しかし、1978年の日本武道館公演を契機に風向きが変わり始めます。その日本公演のライブ・アルバムが逆輸入され、本国でも人気が出始め、ついには成功を収めた、スタンド同様に珍しい存在です。

紹介させていただいた曲は、その武道館ライブの翌年に発表されるアルバム、「Dream Police(ドリーム・ポリス)」に収録されることとなる「Need Your Love(ニード・ユア・ラヴ)」です。

以上、これでおそらくジョジョ4部に登場する、元ネタが音楽関係のスタンド使いはすべてご紹介できたかと思います。

足りないものがあったらぜひ教えてください。追記させていただきます。いやはやしかし、正直疲れました。左まぶたも痙攣してきました。字数もすでに1万文字を軽く超えています。

最後に、この書き続けたテンションを維持したままオチをつけたいのですが、眠気により何も思い付きません。しかし、このまま寝てしまえば明日のオチはきっと今日出てくるものとは違うものになってしまいます。1枚のCDを聞き終わったら、キチッとケースにしまってから次のCDを聞くように、今、しっかりと記事にケリをつけてから寝るべきでしょう。そして、何よりオチをつけた方が、正月元旦の朝のように爽やかな気分を称えながら寝ることができるはずです。だから今、必死になって無理やりジョジョ名言集を交えながら考え……

いいや!「限界」だッ! 寝るねッ!

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