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歴代の長編「ルパン三世」を彩ってきた愛しき名曲たち

加藤広大 加藤広大


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先日自転車を盗まれました。ライターの加藤です。
ルパン三世の楽曲といえば、いわゆる「ルパン三世のテーマ」が有名ですが、映画版、長編アニメ版の主題歌・挿入歌にも、メインテーマに負けず劣らず素晴らしいものがたくさんあります。10月より新しいテレビシリーズも開始されたということで、今それを観た勢いでこの記事を書き始めてみました。記憶をたどりたどり、長編ルパンを彩る名曲たちをご紹介させていただきます。

ルパン音頭(ルパン三世 ルパンVS複製人間)

記念すべき劇場映画第1作、コブシを効かせるは歌藝を極めし昭和の大歌手、三波春夫。映画の方は全体を通してクローン技術、不老不死、賢者の石、コピーを重ねると劣化するゲノムなど、比較的子どもが観るにはやや難解で、大人向けのハードボイルドなSF作品であるにも関わらず、最後にこの曲をぶち込んでくるセンスに脱帽です。しかも、全く映画に合わないと思いきや、これが非常にぴったりくるんです。エンドロールに入りイントロが流れた瞬間、ああ、この楽しい映画が終わってしまったのだなあという気持ちが音頭のビートと共に盛り上がり、明日からまたいつもの生活を送らなければいけないのか……と思うと不思議と涙が溢れて来てしまいます。

「ルパン音頭」(テイチク・レコード)作詞 – モンキー・パンチ / 補作詞 – 中山大三郎 / 作曲・編曲 – 大野雄二 / 唄 – 三波春夫

Reference:YouTube

炎のたからもの(ルパン三世カリオストロの城)

国営カジノの大金庫からかっぱらった紙幣を偽札だと見抜き、車からパァーッと札束をばら撒いたところでイントロが「ふぅうー、ううううううー」と流れ、もうこのオープニングだけで「完」と画面に表示され、徐々にフェイドアウトしながらこの映画が終わっても全く問題ありません。ルパンと次元がカリオストロ公国に向かう道中のカットは、まさに男2人旅と言った映像で、何度観ても今度のルパンは一体どんな冒険が待っているんだろうと胸が弾みます。
正直、セリフを暗記するほど観ているのでオチも何もないのですが未だにカリオストロの城のオープニングが始まると、そんなことはおかまいなしに心のどこかで炎が燃え盛るのです。
余談ですが、ルパンシリーズを通して私が一番好きな楽曲は、本作で使われている「サンバ・テンペラード」です。

「炎のたからもの」(コロムビア・レコード)作詞 – 橋本淳 / 作曲・編曲 – 大野雄二 / 唄 – ボビー

Reference:YouTube

セラヴィと言わないで(ルパン三世風魔一族の陰謀)

大人の事情で声優の総入れ替えが行われ、ルパンファンの記憶からは「念力珍作戦」と同様に若干無かったことにされているこの映画、さらには大野雄二も降板、音響スタッフも軒並み交代したため、主題歌の制作もそれに合わせて全く別のスタッフによって制作されています。しかしながら、当時のアニメ主題歌の勘所を抑えた高い水準での仕上がりとなっているのは、プレッシャーがかかる中、音楽を制作したスタッフの努力の賜物でしょう。映画自体も今見直してみれば、カリオストロのオマージュや、よく考えたら超貴重な坊主頭の銭形が拝めるなど、案外趣のある作りとなっています。

「セラヴィと言わないで」作詞 – 有川正沙子 / 作曲 – 南申午 / 編曲 – 矢野立美 / 唄 – 麻倉未稀

Reference:YouTube

HE’S GONE(ルパン三世ヘミングウェイペーパーの謎)

地中海に浮かぶコルカカ島に、ヘミングウェイのお宝を探しに来たルパンは、ひょんなことからヒロインのマリアと知り合います。彼女が経営する、島でただひとつの酒場にあるたったひとつのジューク・ボックスから、要所要所でこの曲が流れます。
映画の最後、マリアの店でルパンはジュークボックスを少しだけ振り返り、出口に向かおうとするのですが、そこでマリアが「かけるわ、聴いていきなさいよ」とジュークボックスに近づきます。しかしルパンは「いや、いい。楽しみにしとくよ、今度きた時の」と断ります「今度?」悲しそうな声でマリアが尋ねます「またこの島に向かって風が吹いたら、なぁんてなと」とルパンが答えると「待ってるかも……しれない」と言う非常に高度な大人のやりとりをしたあと、ルパンはタイトル通りHE’S GONEしてしまいます。
自分なら絶対「じゃあせっかくだしお願いします」とか言ってあと2、3杯飲んで4、5泊してくなあと毎回思うのですが、きっと、こういう振る舞いの違いで男はモテるかモテないかが決まるんですね。

「HE’S GONE」作詞 – 三浦徳子、Linda Hennrick / 作曲 – 大野雄二 / 唄 – 木原美智子

Reference:YouTube

Golden Game(ルパン三世ロシアより愛をこめて)

ラスプーチン、アナスタシア、ロマノフ王朝と、オカルト好きにはたまらない要素が散りばめられた「ロシアより愛をこめて」で流れる、しばたはつみが歌うGolden Gameは、往年の角川映画音楽を感じさせる哀愁溢れるナンバーとなっています。本編の方は本作最大の敵、ラスプートンの部下であるラッキーとビッグマウス・ジョーの凸凹コンビが最高で、特に相棒を失ったラッキーがラスプートンと相対するシーンや次元がラッキーを好敵手として認める過程は、もうベタ過ぎて心が燃え上がると共に、哀しみを背負った男の生き様に胸が苦しくなります。
ラスプートンの前に、無残にも散るラッキーを観た後にこの曲を聴くと、Golden Gameはまさにラッキーのためにあると言っても過言ではないとすら思えます。

「想い出があなたを離さない」作詞 – 加藤健 / 作曲・編曲 – 大野雄二 / 歌 – 平井菜水

Reference:YouTube

月と太陽のめぐり(ルパン三世トワイライト☆ジェミニの秘密)

砂漠の民、ゲルト族の末裔の伝承や歌、そして財宝。街の実験を握るイゴ族との戦いや、黒幕がバレバレの秘密結社とまさに冒険活劇に相応しい内容になっています。
その中でも特に、ヒロインのララが可愛くて仕方ありません。可愛くて気立てが良くて健康的で実はゲルトの英雄の末裔と、隙のないステータスを持っているうえに、何より乳がキレイです。
そしてそのララちゃんが歌う主題歌が月と太陽の巡りです。中東風味のオリエンタルな旋律で音数が多く、起伏の少ない展開ながらも飽きが来にくい絶妙なアレンジを施されています。
ちなみに、本作ではルパンが劇中で古畑任三郎、鳳啓介などのモノマネをするのですが、ルパンのモノマネをしていたクリカンが、ルパンで誰かのモノマネをするという、ある意味クリカンルパンのひとつの到達点とも言える作品です。

「月と太陽のめぐり」作詞 – 長谷川純 / 作曲・編曲 – 内田光一 / 歌 – 久川綾

Reference:YouTube

瞳を忘れないで(ルパン三世ワルサーP38)

他のテレビスペシャルと違い、全体的に重く暗い雰囲気に覆われたシリアスな展開のワルサーP38。イケイケ暗殺集団を軸に繰り広げられる物語に通奏低音として流れるのが「自由」というテーマです。熟練の殺し屋が「おれ、自由になっても何をすればいいのかな?」というまるで「経理しかやったことなくて、今更他のことなんて」と、定年後に年金が足りず働かなければいけない高齢者のような悩みが、自由とは何なのかということを視聴者に問いかけます。最後、やっとこさ自由を獲得したヒロインとこの曲を重ねると、非常に感慨深いものがあります。

「瞳を忘れないで」作詞 – 渡辺なつみ / 作曲・編曲 – 大野雄二 / 唄 – 篠原恵美

Reference:YouTube

あこがれ(ルパン三世炎の記憶〜TOKYO CRISIS〜)

メロディがまさにエンドロール、エピローグにぴったりのこの曲は、本作ヒロインでもある一色まりやの声優、林原めぐみが歌っています。徳川埋蔵金の鍵をめぐる徳川慶喜の肖像画を巡って繰り広げられる攻防戦は、子どもの頃にワクワクしながら見た糸井重里氏の徳川埋蔵金を発掘しようとする番組と妙にシンクロし「ルパンで初めてお宝が見つからないまま終わるんじゃないだろうか」と心配になった記憶があります。銭形の住んでいるアパートなど、貴重な私生活を垣間見れるのも見所のひとつで、鑑賞した後はこの曲を口ずさみながら味噌汁を作って、冷蔵庫の中に入れておきたくなることでしょう。

「あこがれ」作詞 – 戸沢暢美 / 作曲/編曲 – 大野雄二 / 唄 – まりや(林原めぐみ)

Reference:YouTube

愛のダ・カーポ(ルパン三世 愛のダ・カーポ〜FUJIKO’S Unlucky Days〜)

ソニア・ローザが日本語で歌うちょっと舌ったらずなところが、今では若干無かったことにされている増山江威子が歌うラブ・スコールを思い出させます。物語はコロンブスが発見した財宝のありかが記された「コロンブス・ファイル」に記載されている「コロンブスの卵」を巡るお話ですが、本当のところは「峰不二子」というお宝を巡り三つ巴の争奪戦が繰り広げられるという方がしっくり来ます。ルパンは不二子のことを心の芯ではどう思っているのか? ということが少し垣間見える、スピンオフ的な側面も持った作品になっています。

主題歌「愛のダ・カーポ」作詞 – 渡辺なつみ / 作曲 – 大野雄二 / 歌 – ソニア・ローザ

Reference:YouTube

Life’s a Flame(ルパン三世 1$マネーウォーズ)

長編ルパンの主題歌には珍しく、正統派のジャズに仕上がっています。持っているだけで世界の王になれるという幸運のブローチを軸に物語は繰り広げられていきます。ルパンと敵役のシンシア、その部下の凄腕の傭兵ナビコフ達がそれぞれの立場で自分の「夢」を叶えようと奮闘する姿は、良いやつ、悪いやつにも立場がある。というこれまた王道の設定・展開で、安定して楽しめる一作となっています。良いやつ、悪いやつと言っても、ルパン一味も泥棒なので、ほとんど悪いやつしか出てこないな、と今思いました。時はITバブル崩壊寸前の2000年に放映された作品ということもあり、ルパンの使っている道具がどんどん進化しているのも興味深く、世相を反映しているところもポイントです。

「Life’s a Flame」歌 – ユー&エクスプロージョンバンド with リレット

Reference:YouTube

LUPIN THE THIRD(ルパン三世 アルカトラズコネクション)

ルパン三世のテーマの別バージョンですが、タワー・オブ・パワーよろしくファンキーなリズムが印象的なナンバーです。アルカトラズ島にアル・カポネやマシンガン・ケリーの子孫が作った秘密結社が存在しているという非常に夢のある設定が特徴的で、トミーガンやデリンジャーなど、マフィア映画に欠かせない銃器が出てくるのも魅力的です。劇中では、ケネディ暗殺の真実が大きな役割を果たしますが、現実世界でもジョン・F・ケネディと言えば、2039年にウォーレン委員会が暗殺について調査した記録のすべて公表する予定となっています。公開が残っている2%の中に、実はシークレットセブンのような組織が存在していると記載されていたらと考えると夜も眠れません。

「LUPIN THE THIRD」作詞 – 千家和也(英語訳:奈良橋陽子) / 作曲 – 大野雄二 / 歌 – 大野雄二トリオ・フィーチャリング・akiko

Reference:YouTube

夜想曲(ルパン三世 sweet lost night 〜魔法のランプは悪夢の予感〜)

近年、あーだこーだと言われてしまうことが多いルパン三世テレビスペシャルですが、意外にも評価が高かった本作品。記憶を奪ってしまう「魔法のランプ」という、使い方次第では物語がだいぶアレになってしまうという設定は、盗み以上に危険だと思ったのですがいかがなものでしょうか。ルパンシリーズにありがちな過去作のオマージュの中では、カリオストロの城でも使われた対戦車ライフル、シモノフPTRS1941が登場したのが個人的にはツボでした。肝心の曲はと言うと、そこはかとなくEarth, Wind & Fireを感じさせるダンサブルなナンバーながらも、懐の深い展開で大野節を上手にミックスしています。これがまたヴォーカルをつとめる原田知世の歌声と非常にマッチし、極上のポップスに仕上がっています。

「夜想曲」作詞 – 山田稔明 / 作曲 – 大野雄二 / 歌 – 原田知世

Reference:YouTube

以上、駆け足で紹介させていただきました。書いているうちに観たくなってきてしまったので、久しぶりにVHSとビデオデッキ、ついでにコタツを引っ張り出し、酒とツマミを用意して、1時間半、3時間と、ルパンに時間を盗まれてこようと思います。それではまた。

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