こんにちは、加藤広大と申します。グラフィックデザイナーのかたわら、ライターとしても音楽や映画、オカルトから競馬まで、主に酒の席くらいでしか役に立たないあれこれを紹介しています。
世界的に有名なパンクスであるジョー・ストラマーは「Punk is attitude, not style. 」と言いました。今回は、姿勢の悪さでは相当なパンクスであると自他共に認める私が、長年聴き込んだパンクと、時折垣間見たパンクの世界をお届けし、「これだけ読めば通ぶれる!」を目標にパンクのアレコレをご紹介します。
突然ですが、皆さんは「パンク」と聞いてどんなイメージを持ちますか?
パンクな方々(パンクスと言います)はその風貌から「怖い」と良く言われたりしますが、そんなことはありません。すごく怖いです。新宿の某ライブハウスの便所で個室に入っていると
「ウォラァァァ! テメェ! パンクスのクセに鍵なんかかけてんじゃネェよコゥラァァ!」
とか咆哮しながら身長2メートルほどもあるフランケンシュタイン然としたギリギリ半分人間の男性が、個室のドアをスチール・トゥのドクター・マーチンまたはワークマンで購入した安全靴で蹴り回してくるなど日常茶飯事です。「シド・ヴィシャスだって南京錠のネックレスしてるのに・・・」などと言い訳をしようが無駄です。伝説のパンクスが鍵をかけていたことすら、すっかり忘れてしまうほど何かに怒っている。それがパンクスなのです。
シド・ヴィシャスだって鍵かけてるのに・・・(出典:wikipedia)
「自分あれっす! パンクっす! パンクスだけに!」とか気軽に言ったらぶっ殺されます。
さて、一口に「パンク」と言っても、現在は非常に広義な意味で用いられていますが、今回は1976年(または77年)〜1983年くらいまでのいわゆるイギリスの初期パン(初期パンク)、中でも最初期の77年〜80年あたりにスポットを当て、重点的にご紹介します。
よって、イギリス以前に始まっていたアメリカのパンク(というと若干語弊がありますが・・・)や、海外の要素を取り入れながらも、独自の素晴らしき発展を遂げる日本のパンクの系譜には触れません。なので「ウォラァァァ! テメェ! パンクの話だと思ったらMC5入ってネェじゃねえかコゥラァァ!」とか言って怒りながら私の家のドアをキック・アウト・ザ・ジャムスしないでください。
4つ覚えれば大丈夫、ロンドン三大パンクバンド
イギリスの初期パンクをそれっぽく語る上で、覚えるべきバンド名は3、ないし4つです。
いわゆる「ロンドン三大パンクバンド」というものがあります。三大温泉、三大湖、三大葱、日本人は三大○○が大好きですから、得てしてこういう話になることが多いのではないでしょうか。巷で良く言われる三大パンクバンドは以下の通り、
「Sex Pistols(セックス・ピストルズ)」
「The Clash(ザ・クラッシュ)」
「The Damned(ザ・ダムド)」
です。人によっては「The Stranglers(ザ・ストラングラーズ)」を入れる場合もあります。
一般的に行われる和やかな三大パンクバンドトークにおいて、相手がストラングラーズを入れた場合、どれかひとつのバンドが抜けることになるので、例えばダムドが抜けた場合「ダムドこそパンクだろうが! ファッキュー!」などと詰めれば話に花が咲きますし、ガーゼシャツが血に染まります。
覚えるべきバンドは以上なのですが、稀に三大パンクバンドの範疇を超えて話が盛り上がることがあります。その際には以下のバンド名と共にコメントを言い放ってください。
出典:amazon
Eater(イーター)
「アルバムの邦題がパンクでぶっ飛ばせだったんだよねぇ〜」
出典:amazon
Buzzcocks(バズコックス)
「ピートシェリー若干禿げたよねぇ〜」
出典:amazon
The Ruts(ザ・ラッツ)
「バビロンもバーニングしてるんだよねぇ〜」
出典:amazon
X-Ray Spex(エックスレイ・スペックス)
「サックス! サックス!」
出典:amazon
The Slits(ザ・スリッツ)
「おっぱい! おっぱい!」
恐らくこれで、ちょっとパンクをかじった相手程度ならば、遠い目をしながら「いやー、でもやっぱりパンクよりオアシスだよね! 正しくはオエイシスだね!」とか言い出して話題を変えようとするはずです。
もし、上記のバンド名すら覚えるのが面倒臭い、または思った以上に話が合ってしまった場合は、最終手段として、
「初期パンクの名曲中の名曲と言えばAlberto y Lost Trios ParanoiasのFuck Youだよね!」
と言い放ってください。絶対に大丈夫です。もしこれでも話が合ったら、私がその人と友達になりたいのでぜひ紹介してください。