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夏の甲子園名場面ランキングTOP10(1990年代以降)

街クリ編集部 街クリ編集部


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1位 1996年(決勝)松山商業(愛媛)×熊本工業(熊本)

奇跡のバックホーム

堂々の1位は、高校野球のみならず、日本の野球史上最高のバックホームと言える奇跡が起こったこの試合。序盤から3-1と松山商業が先制する展開、しかし熊本工業は8回裏に1点、9回裏に1点を返し、ついに追いつきます。試合は延長へ、3-3のまま迎えた延長10回裏熊本工業の攻撃。ヒットと送りバントで1アウトランナー3塁という場面で松山商業は満塁策を取ります。松山商業絶体絶命の大ピンチ。1打でても、犠牲フライでも熊本工業の勝利、熊本工業アルプススタンドはサヨナラ勝ちを確信し、盛り上がります。ここで松山商業はライトを守っていた先発ピッチャーの新田をベンチに下げ、強肩の1年生矢野を投入します。後に「天の声が聞こえた」という松山商業澤田監督のこの作戦が功を奏すとはこの時、誰も考ていませんでした。熊本工業本田の打球。痛烈な当たりは実況のアナウンサーに「行ったー! これは文句なし」と言わせたほど。しかし打球は甲子園特有の浜風に押し戻されます。それでも犠牲フライには十分な距離。球審の田中美一は「犠牲フライ成立」と思い、熊本工業のサードランナー星子も「行ける」と思った。松山商業澤田も「終わった」と思ったそうです。しかし、交代したばかりの矢野は捕球するなり、豪球のバックホーム。練習で何度も矢野が大暴投していたのを頭に浮かべたキャッチャー石丸は「またやったか」と思った。距離にして80mを超える矢野の返球はホームランを阻止した甲子園の浜風に乗って加速し、石丸のミットへ。球場は静まり返ります。「アウトォォォォォ!」との審判の声とともに歓喜が蘇ります。負けを確信した松山商業のベンチ、スタンドからは割れんばかりの歓声。その後11回表で、波に乗った松山商業が3点を奪い、6-3で松山商業が勝利を得ました。試合後、矢野選手は「もう一度やれと言われてもできない」と話したそうです。これこそ甲子園の魔物が顔を覗かせた瞬間。奇跡としか言いようが無いバックホームでした。

Reference:YouTube

「一戦という青春」

甲子園の試合は負けたら終わり。どんな強豪でも、どんな怪物を擁していても、一瞬の判断の迷い、一瞬のミスが全てを決定づけてしまうことがあります。しかし、それこそに球児たちは「一度きりの夏」「一度きりの青春」「一度きりの怖さ」を感じ、経験し、人生の宝物として大切に記憶に残しながら、それぞれの人生を歩んでいくのではないでしょうか。そして私たちも。「一度きりの人生を謳歌する若きナイン」の姿に、あの頃の自分を重ね、歓喜の声をあげ、涙し、拳を握りしめるのかもしれません。

100年目の甲子園、また今年も感動の名場面が数多く生まれるのではないでしょうか。1野球ファンとして、この夏をしっかりと見届けていきたいと思います。

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