スーパードライが市場に出た時、業界の間では「あの作り方は昔から理論的には分かっていた」という声も聞かれました。しかし実際にやらなければ何の意味も持たない。スーパードライはまさしくコロンブスの卵だったわけです。前例がないから「やらない」のか、前例がないから「やる」のかここで大きな差が出たわけです。(アサヒビール元社長 樋口廣太郎)
漢字がお洒落な感じ?
店内は若者受けしそうな雰囲気
日本でスーパードライと言えば、アサヒのビール。ロンドンでSuperdryと言えば、お洒落なファッションブランド。近年、ロンドンの街の中では英語と漢字とカタカナがプリントされた洋服やバックを身にまとう若者が増加している。そのブランドとは、新興アパレルメーカーのSuperGroupが展開する「Superdry 極度乾燥(しなさい)」。
創業は1985年。
2003年からSuperdryブランドを立ち上げて急成長。急成長の要因は、やはりこの「Superdry 極度乾燥(しなさい)」のデザイン。英語と漢字と平仮名の組み合わせがウケているという。このデザインは日本語の字体に惹かれたデザイナーが日本のビール「Superdryスーパードライ」を翻訳サイトで日本語に変換したところ「極度乾燥しなさい」が出たという。日本人からしたら、何とも格好悪いネーミングで特に(しなさい)という部分に対して、何故命令形なのか? 何故格好にしてるのか? というツッコミをせずにはいられない。更に店の中で商品を見渡すと、他にも変な翻訳のオンパレードである。
面白いメッセージ
極度乾燥(しなさい)だけでなく、他にも様々なメッセージがプリントされています。
上記写真のように、「選手権」「陸上競技」などスポーティーなメッセージ! 日本野生猫、、、、プリントされている漢字と動物が微妙にマッチしていない気がする。そして、OSAKAの下には「会員証な」が蛍光のオレンジで! 深読みしたくなるデザインです。
服だけでなく、時計・鞄・サンダルなど様々なライナップ。でも、トランクスが「Super dry」は何かちょっとキツイかな、、、。
「S」だけ。漢字はどこかにいってしまった。Super dryの頭文字だけになってしまった。
しかし考えて見ると、日本製のTシャツや帽子に書かれている英語もイギリス人から見たら同じなのかも知れない。むしろ日本人である私たちより先に外国人のデザイナーが日本語を使ったブランドを作り出した。そしてファッショナブルな若者に評価されているという事こそ本質なんだろう。日本ファッションの海外進出には日本人としての拘りや視点も大切だけれど、柔軟性と海外からの客観的な視点を持っていかなければ成功は難しいのだ。「Superdry 極度乾燥(しなさい)」を見て笑って終るのではなく、そこから学んでいく姿勢が大切だと結んでおきたい。