大人が書く税の作文『税金を払ってでも守りたい、この地球(ほし)』

加藤広大 加藤広大


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先日ふと「税の作文」という単語を目にしまして、「うわぁ、なっつかしいなあ」と思いながら、ふとした考えが頭をよぎりました。

税金の税の字も知らなかった中高生時代より、すっかりおとなになってしまった今の方がよりリアルな、悲しみに満ち溢れた「税の作文」を書けるのではないのかと。

そんなわけで、思い立ったが吉日と、実際に「税の作文」を書いてみました。

募集要項も吹っ飛ぶこの衝撃。「税の学習コーナー」

そういえば「税の作文」って、どんなことを何文字以内で書けばよいのでしょうか? すっかり忘れていたので調べてみました。

国税庁のウェブサイトにある『平成27年度「税に関する高校生の作文」募集』を参照してみますと、

「税の意義と役割について考えたこと」
税の意義とその役割について、
自分で考えたことや体験を通じて考えたこと、
問題意識を持ったことなど、
自らの言葉で表現しているものであれば、何でも結構です。
国税庁 平成27年度「税に関する高校生の作文」募集

と書かれています。また、作文の題名は自由で、本人が創作したもので未発表のものに限るそうです。文字数は800字以上1,200文字以内。子供の頃は長いなあと思っていましたが、意外と短いですね。

ちょっと話が飛びますが、国税庁のウェブサイトをじっくり読んだことがある方って意外と少ないのではないでしょうか? 私も確定申告関連や税の調べ物をするときには使うのですが、「税の学習コーナー」は完全にノーマークだったんです。このコーナー、いざ掘り進んでみると、最高に味わい深いことが分かりました。

たとえば、「よくある質問と答え」のページを見てみますと、初っ端から

「Q1:脱税とは何ですか?」

「Q2:脱税した人はどうなるのですか?」

「Q3:「マルサ」とは何ですか?」

などの強烈なパンチラインが繰り出され、よくある質問がこれなのか、みんな脱税したいのだけれどもちょっと心配だから国税庁に質問したのかと、国の行く末が若干心配になります。

が、これはまだジャブ程度でして、クイズコーナーに設置された「Zei君の税金クイズ」は、クイズに挑戦しようとボタンを押すと、なぜか強制的に.auファイルがダウンロードされる仕様となっており、さらに用意された選択肢を選びOKボタンを押すと、再び.auファイルがダウンロードされるという完全に、もう狂っているとしか言いようがない設計です。

まだあります。カニ博士とお買い物をしたり、縄で縛られたカニ博士を救出したりしながら税金のあれこれを学べる「税金カニ博士のゲームDE TAX」や、シム・シティも真っ青な街づくりシュミレーションゲーム「みんなで話し合って街を作ろう!」などなど、ほぼ正気ではないゲームも取り揃えられています。

たぶん、もう一生「カニ博士」という言葉をタイプすることはないと思いますので、記念にもう少し打っておきます。カニ博士、カニ博士、カニ博士。

もう打鍵してるだけで面白いんですが、これは警視庁のウェブサイト上に存在する「ピーポくんタウン」と双璧を成す、素晴らしいコンテンツだと言っても言い過ぎではないでしょう。

そして何より、税金と言えば、子供の頃に授業で観せられた「税金ビデオ」も、もちろん無料で楽しむことが可能です。お待たせしました。「これが観たかったんだよ!」と仰る方も多いのではないでしょうか。私も見つけたとき、ガッツポーズしましたからね。

実写、アニメ共に用意されており、特にアニメは、

いきなり家が燃えるハードコアなカマしからはじまる「マリンとヤマト 不思議な日曜日」

かつて豪族を滅ぼしたといわれる伝説の巨大猫が登場する「千年の約束」

やっぱり最後に家が燃える「ご案内します アナザーワールドへ」

など、あらすじだけでは内容の読めない豪華ミステリー3本立てとなっており、クレジットを見れば分かるんですが、割とガチな作りになっております。

もうこの、「いろいろあってこんなことになってしまった」という愛すべき、愛でるべき、愛嬌たっぷりのコンテンツがたくさん存在し、それらがすべて無料で楽しめるだけでも、「ああ、税金払っておいてよかったなあ」と、皮肉ではなく思えるのですが(笑)。 

本当に趣深い古き良きインターネットが楽しめますので、その手のモノがお好きな方はぜひどうぞ。

さて、肝心の税の作文ですが、ウェブサイト上では平成21年度から27年度までの受賞作品を読むことも可能です。

これが読み応えがあって面白い。もう、中高生なのにすんごい文章力なんですよ。ホームステイ先の国と日本の税率を比較して論じたり、エッセイ仕立てだったりと、読ませる文章に仕上げて来てるんですね。

そんなわけで、年に換算すれば高校18年生くらいの私も負けていられません。毎年確定申告をし、住民税や消費税はもちろん、酒税やたばこ税も払っています。若者よりは税金が身近にあります。

前置きが長くなってしまいましたが、応募要項にしたがって、一丁書いてみようと思います。頑張るぞ。

『税金を払ってでも守りたい、この地球(ほし)。』加藤広大 

税金を払うのは辛い。

しかし、辛いからと言って、払わないとどえらいことになる。

まず、手紙が来る。最初は穏やかな口調だけれども、だんだんキレ気味の手紙が届く。最後には「もう、お宅の口座から引き落としましたんで」と事後報告がやってくる。

ときには税吏がやってくることもある。

「国税局の者なのですが」

数年前のある日、寝ぼけ眼で玄関のドアを開けると、安物のスーツを着た男が私に告げた。

数秒、さまざまな思考が頭を駆け巡る。

払っていない税金があるのか。いや、住民税は払っているし、何かを相続したわけでもない。特に思い当たる節はない。それともコイツはアレか。詐欺師で「市役所の方から来ました」的に怪しい確定申告ソフトでも売りつけようとしているのか。はたまた新手の宗教か。

男は続けて尋ねてきた。

「スティーブンさんでしょうか?」

私の名前は加藤である。一文字も合っていない。念のために聞いた。

「私、外人に見えます?」

「いえ、見えません。この家の家主はスティーブン・◯◯さんですよね? 実は、スティーブンさんが税金を滞納したまま連絡が取れなくなりまして・・・・・・」

なるほど、大家が税金滞納していたのだ。

その後、スティーブンの連絡先や、家賃の振込先を教えたりと、かなりの手間がかかった。

このように、税金は払わないと他人にも迷惑をかけることになるのだ。

近しい人間だけではない。

想像してみよう。たとえば、私が税金を滞納した場合、ちょっぴり税収が不足し、インフラ予算を削るわけにはいかないので、森林を守る活動にしわ寄せがいき、結果日本国内の森林が減少、そのため水が括弧し、井戸は枯れ、作物は育たなくなり、あっという間に砂漠化が進み、人々は水を求めて争い、国は分裂し、国家としての体裁を成さなくなり、ほんの一握りの資源を専有している者が、砦に居座り太鼓を叩いたり、ギターを弾いたりしながら持たざるものを
蹂躙じゅうりんする。そう遠くない未来、かつて緑多き国であった日本は滅亡を迎えることとなるだろう。

風が吹けば桶屋が儲かる。税金を滞納するとイモータン・ジョーが出てくる。私の滞納で日本がヤバい。

税金を払うのは嫌だが、日本が荒野と化し、マッドに塗れてしまうのはもっと嫌である。私が少し我慢をして、しっかりと税金を払うことにより、少しは世の中が平和になると思えば、払う甲斐もあるというものだ。そして、私のような心持ちの人が少しでも増えれば、税収も増え、人々が一滴の水のために争うこともないカインドネスに溢れた世界が創られるのだ。

私は緑を守りたい、水を守りたい、そして、生きとし生けるすべてのものを守りたい。

日本のために、地球のためにも頑張って働いて、税金を納めようと思う。

ラブ・アンド・ピース。

YES!納税、NO!滞納

真面目なことを書こうと思ったら無理でした。辛かった納税の思い出や、ひいひい言いながら毎年済ませる確定申告、見て見ぬふりをした督促状のことを思い出してしまって、なぜだか画面が滲み、書くことができなかったからです。

しかし、中高生のときにやったことを、再びやってみる、追体験してみるのは意外と面白いものですね。卒業してから十数年、自分がまったく変わっていないことがよく分かりました。

ちなみに、中高生に限り、もし今年の「税の作文」を書くときに何を書けばいいか迷ったり、書くのが面倒くさいという方は、ご自由にコピペ、改変してお使いください。

もちろん、提出後に職員室に呼び出されたり、三者面談を設定されたりしてしまった場合、当方は何の責任も負いません。無料より高いものはない。世の中とはそういうものなのです。

街角のクリエイティブ ロゴ



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