• MV_1120x330
  • MV_1120x330

彼には彼の理由がある【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

秋は、運動会のシーズンである。息子の通う幼稚園でも、先日、雨のあとの良く晴れた日に、運動会が開かれた。子どもたちは普段、幼稚園でどんな顔をして過ごしているのだろう。運動会はそんなことがちらっと見える貴重な機会だ。
 

4人1組になって走る徒競走。スタートのピストルがなり、みんな走り出す。必死の形相で走る子、まわりを見ながらのんびり走る子、いろんな子がいる。自分が子どものころは、順番が回ってくるのを今か今かとドキドキして待ち、できるだけ速くゴールテープを切りたい、と思っていたものだが、親となると幼稚園児の徒競走は、順位よりもむしろ、子どもたちがどんな表情・態度で走っているかを見るほうが面白い。すると、自ずと個性が滲み出ているものなのだ。
 

さて、そんな徒競走。今年はどんな顔をして走るのだろう。我が子の姿を見ていると・・・息子は速くもなく、遅くもなく走っていた。一生懸命、とは見えず、かといって、緊張しているわけでも、つまらなそうなわけでもない。ポテポテ、という擬態語が合うような、まあ一言で言うと「覇気のない」走りだった。隣で見ていた夫も、どうやら同じような感想を抱いたらしい。苦笑いでこちらを見ながら「どうしたもんかな~」と呟いた。
 

というのも、随分前から息子は、運動会、なかでも徒競走をとても楽しみにしていたのだ。ちょっと外出したときも「うんどうかいのれんしゅうする~」と言ってはダッシュしてみたり、夕方の公園で、トラックを何周もしてみたり。もちろん私も、何度も練習に付き合った。普段、自分から「楽しみ」なんてめったに言わないのに「かけっこ、たのしみ~」「れんしゅうしたから、かてそうだね。」と言うこともあった。「はやくはしるから、おうえんしてね!」とあんなに言っていたのに・・・。
 

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP