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殺されるかもしれないが好きな本を聞いてみよう【連載】嫁公認コラム

5歳【嫁公認アカウント】 5歳【嫁公認アカウント】


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【僕が人と出会った時にまず聞く事】

 

 

僕は初めて会う人には、自己紹介もそこそこにその人の好きな本について聞きます。

 

もちろん「もしかしたら殺されるかもしれない」という覚悟の上で質問します。

 

限られた人生の中での今日という日に、偶然としか思えないその人との出会い。

僕はどうしたってその人の事を知りたくなってしまいます。

しかしだからと言って「あなたはどんな事を考えている人間なのですか? 何を思って生きていますか?」と突然聞いたら間違いなく新興宗教の勧誘だと思われます。気持ちが悪いだけです。

 

その人の人間性を知る為にする最善の質問方法が「あなたはどんな本が好きなんですか?」なのです。要するに「あなたの心をちょっと見せて下さい」という気持ちなんです。

もちろん土足で相手の心に入り込む事は犯罪行為であり、もしそのような行為に及んだ場合は正当防衛が認められるので殺されたとしても文句は言えないのですが、西尾維新の作中に出てくる読書少女ほど敏感な人はなかなかいないので、余程運が悪くない限り殺されはしないと思います。

 

好きな本の事を聞いた時、その人の考え方や趣向、どういった感受性の持ち主なのかがわかってきて、その人の輪郭が段々とはっきり見えてきます。誰にだって好きな本の一冊や二冊あります。それだけではなく思い入れのある本の事を話す時、人はすごく楽しそうにその本がどんな風に面白くて、その作家さんはどんな作品を書くのかそれこそ生き生きと語ってくれます。このコミュニケーション方法は本好きの人だった場合は本当に盛り上がるので是非試して貰いたいです。少しの時間で相手との距離もぐっと縮まると思います。

 

先日も編集者の方とお話しする機会があって、その時に好きな本について聞いたのですが、そうしたらバッグから読み込み過ぎて擦り切れた文庫本を取り出して「この本が私のバイブルなんです! 是非読んでみてください!」と北九州連続監禁殺人事件をテーマにした「消された一家」という犯罪ルポを勧められたのですが、読んでみたら日本犯罪史稀に見る残虐な方法でマインドコントロールをして家族に殺し合いをさせた様子がかなりしっかりと書かれていて、確かにグイグイ引き込まれる本ではあったのですが「この本が私のバイブル!」と一点の曇りのない瞳で勧めていたその編集者の心の中のカオスの部分に少し触れたような気持ちになりました。これだから人の好きな本の話を聞くのはやめられません。

 

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