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マキシマム ザ ホルモン 世界で一番遅いライブレポート【連載】田中泰延のエンタメ新党 特別編

田中泰延 田中泰延


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そして亮君はステージの上にいた

 

ライブが始まりました。2階席から見ると、1階スタンディングエリアの観衆の熱狂はもう、台風時の海面よりも凄まじいうねりを見せています。そして亮君が・・・いました。
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/0011DS1_4908rsz.jpgPhoto by Kazushi Hamano

 

2年前、市ヶ谷の居酒屋で別れて以来の男は、ステージの上にいました。2階席から見下ろしているはずなのに、ステージ上の彼は、雲の彼方、虹の向こうにいるようでした。
 

一曲目は『握れっっっっっっっっ!!』。47歳無職の僕もいきなり右手を振り上げて絶叫するしかありません。2年前のあの日、僕たちは男性のどの部分がどうダメなのか、激しく語り合ったのです。その記憶が鮮明に蘇ります。
 

そしてこの曲といえば、これでしょう。
 

【MAD】マキシマム ザ ホルモン 新録版 “握れっっっっっっっっ!!!!”
 

Reference:YouTube

 

さらにその後の経緯を記したこの動画を思い出して、僕、いきなり泣いてしまいました。
 

【MAD】マキシマム ザ ホルモン 新録版 “握れっっっっっっっっ!!!!”その後のご報告と御礼

 

Reference:YouTube

 

いや、そういうバンドなんですよ。まだの方はぜひ両方、見てもらえませんか。
 

とことんヘヴィー、しかし正確

 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/0016DS1_5361rsz.jpgPhoto by Kazushi Hamano

 

ライブは走り出しました。演奏はとことんソリッドで、サウンドは重く爆発しています。この復活ライブは「耳噛じる真打TOUR」、つまり『Deka Vs Deka~デカ対デカ~』に同梱のCD『耳噛じる 真打』の楽曲を中心に構成されているのですが、ファーストアルバムである『耳噛じる』を徹底的にリアレンジしたそれらの曲、僕は2年前、亮君本人からくどいくらいに「どのような意図でリアレンジしたか」を一曲ずつ説明され、聴き比べをさせられたのですが、あれから2年を経て、実際にステージから聴こえてくる音は、何百回も聴いているCDも、そして想像もはるかに超えて緻密でした。いや、『耳噛じる 真打』のさらに真打といっていい。
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/0012DS1_5192rsz.jpgPhoto by Kazushi Hamano

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/0020DS3_5085rsz.jpgPhoto by Kazushi Hamano

 

ナヲちゃんの第二子出産のため2年間ライブ活動を封印していたはずなのに、ドラムのキレは2階席でもはっきりとわかり、上ちゃんの4弦も極めて正確、2年のブランクがあったとは到底思えない。そもそも「ラウド」そのものであり、スラッシュメタルでもあり、カオティック・ハードコアな一面もあるはずなのに、その熱狂を支えるのは「正確さ」だという事実に気づかされました。これが随所に出てくる「グダグダしてない、ちゃんとした転調」そして「記憶の中にある、あのメロディー感」に心を揺さぶられる土台になっているんじゃないかと思うんです。
 

亮君の変貌

 

そのソリッドな音像形成は、亮君の肉体の変化によるところも大きいのではないでしょうか。2年前すでに、健康のために肉体改造を始めていて、いまではすっかり肥満とおさらばした亮君は、より正確な演奏、緻密なステージとは何かを2年間考え抜いたんだと思います。実際、終演後に亮君と話したところ、「この2年は、スタジオでちゃんと練習していました。久しぶりにステージに立ってヘタになったとか言われたくないんで。いや・・・、もっというと、変わらないね、とも言われたくないんで」
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/0026DS1_6388rsz.jpgPhoto by Kazushi Hamano

その言葉は、ライブのちょうど真ん中あたり、『アバラ・ボブ〈アバラ・カプセル・マーケッボブ〉』そして『ハイヤニ・スペイン』を思い出せばよく理解できます。
 

『アバラ・ボブ〈アバラ・カプセル・マーケッボブ〉』は、THE MAD CAPSULE MARKETSの上田剛士(AA=)のリアレンジによって正確を通り越した正確さ、つまりデジタルビートに支えられているのですが、その無機質さによって有機的な音が浮かび上がる新しさこそ、2017年のホルモン、進化したホルモンではないでしょうか。僕は、めちゃくちゃノレましたね。ヘドバンせざるを得ません。いや、Zepp Osaka Bayside の2階席でヘドバンは、わりと難易度高いんですよ
 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/0025DS2_8780rsz.jpgPhoto by Kazushi Hamano

 

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/08/0022DS1_5996rsz.jpgPhoto by Kazushi Hamano

 

『ハイヤニ・スペイン』はアルバム『ロッキンポ殺し』から。亮君の6弦はもちろん、歌にもソリッド感がある。これはライブで観て、ビジュアル面からより感じることでしょうね。だって痩せてるんだもん
 

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