一番の簡単な馬鹿の仕方は、二者択一の場面で正常の思考なら選択しない方を選ぶことだ。その選択はいつだって非効率かつ非生産的である場合が多いのだけれども、その選択の先には今までとは少し違う結果が必ず待っている。
そこで、馬鹿のプロである僕が、分かりやすく大人の馬鹿のやり方をレクチャーしたいと思う。
例えば、女の子とのデートの日に寝坊をしてしまったとする。急がなければならない。何を思ったか、パジャマ姿のままで家から飛び出してデートの待ち合わせ場所に向かってみる。日中にパジャマで外を歩き回る事はないし、電車にパジャマで乗っている人もいない。待ち合わせ場所で待っている彼女もきっと驚くだろうし、もしかしたら怒って帰ろうとするかもしれない。でも、もし怒ったとしたらそのままユニクロに行って服を買えばいいし、「パジャマ姿でもいいよ」と言えばそのままデートを続ければいい。いつもと違う1日になるだろう。
また例えば、まんまる満月の真夜中に誰もいない原っぱで男友達を集めて全裸になって鬼ごっこをしてみるのも良い。大人は普通、夜中に裸で鬼ごっこはしない。考えただけでも楽しそうだ。「うっひょーぉおお」と言いながら野を駆ける男達。きっと忘れられない夜になるだろう（くれぐれも人里離れた原っぱで人知れずやりましょう。大人の馬鹿は誰にも迷惑を掛けてはいけません。SNSなどに動画を上げてもいけません。本物の馬鹿になってしまいます）。
そして例えば、お泊まり女子会をやる事になったとしよう。布団を一式、車に詰め込んで星の見える丘に行き、布団を並べて夜空を見上げながら恋話をするのも良い。枕投げをしても良い。布団は土で汚れて朝露で湿ってしまうけれども、あの夜の星空を忘れる事はないでしょう。
