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もしも三人のアホが地球温暖化問題を解決しようとしたら

上田啓太 上田啓太


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三兄弟は自首する

三人は河原を出ると、近くの交番に出頭した。うちの弟は地球温暖化の原因だった。弟は、口から二酸化炭素を出してしまう病気なのだ。もちろん責任は取ると言っている。死刑なのは間違いないだろう。しかし、それならばわれわれ二人の兄も死刑になる。死ぬときはいっしょだと誓いあったからだ。警察官のみなさん、どうか、地球温暖化罪でわれわれを逮捕してください。

「春だなあ」と警察官は思う。

「春はこういうのが多いんだ。しかし三人も同時に来るのはめずらしいぞ」

そして警官はあくびまじりに言う。

「逮捕しないから帰りなさい。あと、二酸化炭素は弟さんだけじゃなく、お兄さんたち二人も吐いてるよ」

「じゃあどちらにしろ、僕たちは全員死刑なんですか」と長男が真剣な顔で言う。

「ていうか僕も吐いてるしね」と警察官が言う。

「みんな吐いてるよ、二酸化炭素くらい」

三人は交番を出ると、ふたたび街を歩きはじめる。その顔は思い詰めている。こうしているあいだにも、自分たちは二酸化炭素を吐いている。どんどん地球は温暖化している。考えてみれば、このあいだまで寒かったのに、いまはものすごくあたたかい。桜まで咲いてしまった。なぜ気づかなったのだろう。すでに地球は温暖化していたのだ。その証拠がこの桜だ!

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