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妻に言われた一言で愛は死んだ【連載】神様がボクを無職にした

フミコフミオ フミコフミオ


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「ホワイトデーのお返しは何がいいかな?」
「ホワイトデーはこの際どうでもいいので、どうか、一刻も早く、どうか、どうか、どうか、ホワイトカラーになってください」

この非人道的で悲しいやり取りは、去る平成29年3月14日火曜日、ホワイトデーというフザけたイベントがあった日の夕刻に、僕と妻のあいだで交わされたものである。妻の容赦ない言葉は、パートタイム労働者である僕の心を激しく揺り動かした。ショッピングモールの中心で立ち尽くした僕は、封印したはずだった黒い記憶に頭を抱えてしまう。
 

あれは中学1年の2月上旬。正義漢のワダ君から「ホームルームの時間に正義の提案をするので賛同して欲しい」と要請された。その提案とは「バレンタインのチョコ廃止」であった。ワダ君はモテなかった。徹底的にモテなかった。モテないのなら皆も巻き添えにしてやる! 陰湿で、たちの悪い情念が彼を衝き動かしていた。

正直な感想をいえば、ただただ迷惑だった。僕がワダ君に接近したのは、徹底的にモテない彼の隣にいれば、相対的に僕の方が良く見えるのではないか、という汚い打算があっただけで、親しみや友情という類の気持ちはまったくなかったからだ。僕にとってワダ君はただの踏み台にすぎなかったが、ワダ君の方では僕のことを親しい友人ととらえていたようで、その結果がテロへの参加要請であった。割に合わない。

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