• MV_1120x330
  • MV_1120x330

他人の目になったことがある【連載】広告代理店の現役アートディレクターが語る

中村征士 中村征士


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

10年以上前に目を手術した

ある日の土曜。草野球をしていた時に、左の目が急に見えなくなっていることに気づいた。もやっとした「すりガラス」が左目の前に一枚あって、それを通してバッターを見ているような感覚だった。片方の目だけでは距離感がつかめない。打球が飛んできたらひとたまりもない。とにかく、何の前触れもなく突然気がついたので本当にあせってしまった。

片方の目だけだったけれども、アートディレクターはグラフィックデザインという“目”に頼る仕事なので、そのときは将来のことを想像して頭がクラっとしてしまった。結論から言うと、わりと簡単な手術で入院の必要もなく無事に視力を取り戻すことができた。

どうやらアレルギー性の白内障というものだったらしい。ずっとアトピーと付き合い続けていたから、まあそんなこともあるのかと受け入れてしまった。だから僕の左の目には、いま眼内レンズが入っている。

白内障は、目の中にあるレンズである水晶体が濁って「すりガラス」のようになってしまう病気。濁った水晶体は透明に戻すことができないので、濁った水晶体を吸い出して、新品の人工レンズを入れる手術をすれば一応視力は戻る。おかげでアートディレクターという仕事をあきらめずに済んだ。

手術が終わって3日は眼帯をして生活しなければならなかったけれど、順調に回復して元の生活にもどることができた。ただ、眼帯を取った僕の目には恐るべき変化が起こっていたのだ。

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP