タカマツペアは、2人揃って苦悶の表情を浮かべていた。
遠征先のイギリスでジカ熱が流行し、「イギリス、EU離脱」のニュースが流れたからだ。
高橋は歩きスマホでポケモンGOのレアものをゲットしながら
「わたし、神ってる」
と呟き、
「斎藤さんだぞ」
松友は、忘年会の出し物の練習に余念がなかった。
そう、アスリートファーストという観点で考えれば、今夜はロンドンで民泊しかない。
しかし、民泊という選択肢を取れば、ゲス不倫をすっぱ抜き、文春砲で2016年大きな存在感を示した週間文春の記者が盛り土をして待っているだろう。
いくら「センテンススプリングゥ〜」とエドはるみのモノマネをしても乗り切れないし、シン・ゴジラの顔真似も人間がすることだ、限界があるに違いない。顔を見られれば「君の名は。」と聞かれることは必至だ。
「・・・そうだ」
松友が忘年会の2番目の出し物であるPPAPの練習を中断し、愛読書であるパナマ文書をそっと本棚にしまいながら、続けた。
「保育園落ちた日本死ね・・・」
「え?」
あまりにレガシーすぎる発言にびっくりぽんした高橋が聞き返す。
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