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超訳『スラムダンク』を英語で再現したら2度泣ける【連載】トイアンナの超人気マンガ英語塾

トイアンナ トイアンナ


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アニメ好きに、90年代を無視できる人はそういません。ドラゴンボール、幽☆遊☆白書、美少女戦士セーラームーンに新世紀エヴァンゲリオン・・・ひとつひとつの作品が他の追随を許さない名作です。もはやタイトルを並べるだけでストーリーを思い出して泣きそうです。まだ1段落目なのに。

これらのアニメは現在のアラサー・アラフォーをオタク世界へ引きずり込んだへ青春を与えただけではありません。名作アニメは世界へ日本のアニメが海外へ進出する大きな原動力でもありました。90年代以降は、MANGAやANIMEが英語として定着。海外でも大型書店なら日本と同じように漫画の最新刊が並んでいることも珍しくありません。

そこで今回からアニメ、漫画の名作をせっかくなら英語にしてみよう! ついでに英語文法も説明しちゃいます。あの名作を英語でもう一度。感動を世界に発信しませんか。というわけで記念すべき初回は『SLAM DUNK』の名言を英語でどうぞ!

安西先生・・・・・・!! バスケがしたいです・・・・・・

まずは誰もが知っている名言「安西先生・・・・・・!! バスケがしたいです・・・・・・」から。

安西先生・・・・・・!! バスケがしたいです・・・・・・
引用:井上雄彦(1990年)『スラムダンク』集英社

この文章、直訳するだけならとてもシンプルです。

Mr. Anzai……!! I want to play basketball…
直訳:安西先生・・・・・・!! バスケがしたいです・・・・・・

でも、これだけでは三井の思いは籠もっていない、そう思いませんか。この名言はいまやストーリーも知られないまま一人歩きしていますが、もともとは登場人物のひとり、三井のエピソード。三井はかつてバスケに燃えていたにも関わらず、膝の怪我が原因で断念。不良チームに入り、バスケ部の活動を邪魔していました。しかし喧嘩しながらも恩人である安西先生を見たことで感動して「バスケがしたい」という本音が漏れるシーン。

英語では日本語のように察する文化がないので、このままだと「あーバスケしたいわ、普通に」といったニュアンスになる恐れがあります。そこで超訳では少し補足して「安西先生・・・”本当は俺も”バスケがしたいんです・・・・・・」と書いたほうが伝わりやすいでしょう。

Mr. Anzai……!! Actually, I also wanna play basketball…
超訳:安西先生・・・・・・!! 本当は俺も、バスケがしたいです・・・・・・

★ 超訳英語のポイント

○ Mr. Anzai(安西先生)
Mr/Mrsをつけるのは先生を尊敬しているときや、フォーマルな場面にいまや限られています。だからこそ三井が安西先生を尊敬していることがわかるこのシーンでは「Mr.」をつけておきたいところ。

○ wanna(~したい)
「~したい」を表す want to の省略で、あえてカタカナで書くなら”ワナ”と発音。不良の三井なら、ややくだけた物言いをしたほうが自然です。

○ also (~も)
俺も参加したい、という気持ちを入れるためにalsoを追加し、桜木たちがバスケを楽しんでいることに羨望の意味を含めます。

あきらめたらそこで試合終了ですよ・・・?

スラムダンク最大の名言として並ぶのが、先ほども出てきた安西先生の台詞。もうスラムダンクはANZAI DUNKかよってくらい、先生が有名になっています。

あきらめたらそこで試合終了ですよ・・・?
引用:井上雄彦(1990年)『スラムダンク』集英社

こちらも直訳サイトなどを見ていると、こんな風に翻訳されています。

If you give up, that’s the end of the game.
直訳:あきらめたらそこで試合終了ですよ・・・?

しかし、この名言も前後のシーンを見ると、もう少し熱意を込めたくなります。このシーンは最強の敵、山王との決戦で20点以上の大差をつけられた湘北高校でのシーン。安西先生は一度桜木をベンチへ戻します。正直、湘北高校のチーム全員が負けを意識している中で、安西先生は衝撃の言葉を桜木へ伝えます。

「私だけかね・・・? まだ勝てると思ってるのは・・・」と。

主人公、桜木は驚いて先生へこう返します。

「あきらめたんじゃなかったのかオヤジ・・・・・・」

そこで安西先生が返す言葉が「あきらめたらそこで試合終了ですよ・・・?」なのです。

この安西先生の台詞では、最後の「・・・?」がとても重要な鍵を握っています。というのも、安西先生がこの台詞を言ったのは連載史上2回目。1回目は先ほど挙げた三井が膝を壊す前、試合で勝ちを諦めかけたときに「あきらめたらそこで試合終了だよ」と伝えているのです。三井はそこから心を入れ替えて大活躍し、県大会優勝を果たしたのでした。

三井のエピソードに心打たれた読者はこの台詞を強烈に覚えていたはず。つまり2回目に繰り返されるこの台詞の意味は

「あきらめたらそこで試合終了ですよ・・・(彼がそうだったように、君も勝てるはずだよ?)」

という、三井の過去を踏まえた上での桜木に対する激励なのです。だからこそ思いを込めて、超訳ではこうしてみました。

If you give up, that’s when the game is over…But do you?
超訳:あきらめたらそこで試合終了ですよ・・・でも、君は諦めるんですか?

★ 超訳英語のポイント

○ the game is over (試合終了だよ)
よくゲームで負けると「ゲームオーバー」と表示されるように、直訳に比べて「負け」を強く意識させる言葉です。

○ But do you?(でも、君は諦めるんですか?)
doの部分に力を込めて発音することで「まさか君がそうするの?」というニュアンスを入れることができます。このときの安西先生は桜木の勝ちへ向かうモチベーションを作るために、あえて三井へ放った言葉と同じことを繰り返しています。「三井もあのとき勝ったはずだ、では君は勝たないのかね?」という隠されたメッセージは、桜木の心へ火をつけました。

おわりに

全ての名言をただ直訳するだけでも、文字通りの内容は伝わります。しかしその漫画に込められた登場人物たちの「思い」を表すためには、同じくらい熱意を込めた翻訳が欠かせません。この記事をご覧になったみなさまが、久しぶりにスラムダンクの名シーンを思い出して布教さらに良さを広める契機になれば幸いです!

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