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(1)【閲覧注意】読むとトラウマになる漫画「聖ロザリンド」【連載】トイアンナの大人読書レビュー

トイアンナ トイアンナ


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こんにちは、トイアンナです。突然ですが、あなたがトラウマを植え付けられた漫画は何ですか? 

gooのランキングでは『はだしのゲン』や『地獄先生ぬ~べ~』、最近の作品では『闇金ウシジマくん』など、往年の名作が上位へランクインしています。 私も漫画を数1000冊は読んできたマニアとして名作をこよなく愛しますが、世の中にはまだ知られていない名作がまだまだあるぞーッ!

というわけで、今回は「トラウマになる」でも「感動できる」要素を備えた名作漫画を紹介していきたいと思います。

※ この記事にはグロテスクな表現が含まれます。ご覧になられる方は自己責任にて体調管理を行っていただきますようお願い申し上げます。

なんといっても少女漫画です!

トラウマになる漫画のジャンルで見過ごされがちなのが「少女マンガ」。先ほどご紹介したランキングでもトップ10にある少女マンガは、すえのぶけいこ先生作『ライフ』のみ。

こちらも学校という地獄を味わえるハードな物語ではありますが、はだしのゲンのような3歳児に悪夢を見せるような効果はないのが惜しいところ。トラウマって、もっと直感的恐怖でしょう!

というわけで、今回はとっておきの恐怖を味わえ、かつ感動できる傑作『聖ロザリンド』をご紹介できればと思います。

16ページに1回人が死ぬ

まずは独断によるあらすじのご紹介から。
ロザリンドは8歳の女の子。その天使のように愛らしい微笑みは、誰もを魅了せずにはいられませんでした。

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引用:『聖ロザリンド(わたなべまさこ)』ぶんか社

しかしその実態は、簡単な理由で人を殺してしまう恐ろしい殺人鬼だったのです。

通常連続殺人犯には殺す自分なりの正義感や復讐など、動機があることが特徴です。しかしこのロザリンドちゃんは一味違います。友達の指輪がほしいから、死にたいと言った人がいたから、早くおうちに帰りたいから……という今日の晩御飯を選ぶような軽いノリで人がどんどん死んでいきます。動機のない殺人がここまで恐怖を煽るだなんて、この漫画を読むまで知りませんでした。

今数えたら、なんと平均16ページに1回人が死んでいました。380ページの文庫1冊で、総死者24人。ロザリンドが直接手を下さない死もありますが、ここまで死なれるともうよく分からない。最初の殺人は冒頭12ページ、ロザリンドが家においてある置時計ほしさに知らない女性を殺害。

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引用:『聖ロザリンド(わたなべまさこ)』ぶんか社

この後、無事置時計をゲットしたロザリンドちゃんの「とうとうあたしのものになったわ ありがとう!」という台詞が戦慄を誘います。

次の殺人は友人のダリア。ダイヤの指輪を欲しがり「もし指に触れることなく取れたらあげるわよ」という冗談を真に受けて殺して指ごと奪い取ります。なにそれ?

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引用:『聖ロザリンド(わたなべまさこ)』ぶんか社

苦渋の決断のせいで死者が増えることに

このように次々とカジュアルな殺人を起こしてしまうロザリンドですが、周囲も何かがおかしいことに気付きます。最初は執事、ついに愛する母親がその事実に気づくことに。執事と母親は苦渋の決断を経てロザリンドの殺害を決意するのですが、彼らが「苦渋の決断」なんておちおちやっている間に、どんどん被害者は増えてゆきます。

こちらは先ほど犠牲者として登場したダリアちゃんのお母様。ロザリンドはダリアちゃんのお母様を訪れ、娘を失ってショックのあまり寝込むそばへ、食いちぎったダリアの指を届けます。ダリアのお母様は恐怖のあまり逃げ出そうとするものの、ロザリンドに追いかけられて首を吊らされ死亡……。

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引用:『聖ロザリンド(わたなべまさこ)』ぶんか社

閲覧注意のハイライト

その中でも、私が読んでいて一番のトラウマになったシーンがこちら。親の手を逃れて逃げ出したロザリンドは、親にかまってもらえない可愛そうな女の子、リザと出会います。リザの母親はパーティに忙しく、家に帰ってくる時は泥酔して眠るだけ。そんなリザを哀れんだロザリンドは「よし、お母さんがリザと一緒にいられるようにしてあげよう!」と思いついてしまいます

その殺人方法は、なんと泥酔する母親にバターを塗りつけて、ねずみを誘い出して体を食べさせるというもの。

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引用:『聖ロザリンド(わたなべまさこ)』ぶんか社

この後リザの母親がどうなってしまったか、その光景は漫画でバッチリと写っていますので、グロ耐性がある方だけご覧ください。これを読んだとき私は10歳前後。あまりのショッキングな殺害シーンに、しばらくバターが食べられなくなりました。

追われるロザリンドと親の愛

その後、親に追われたロザリンドは色々な家でかくまわれながらも、家の人間を殺しては別の家を探し……という殺人リレーを始めます。普通の大人であれば、かくまってくれる家くらいは大事にして他の家で殺人を犯しそうなものですが、そこは8歳の殺人鬼、思慮が足りていません。

しかし、この漫画のハイライトはグロではありません。実は要所で親の愛とは何か、子殺しとは何かを考えさせるシーンが多く登場します。たとえば、この漫画で親からまっとうに愛されているのはロザリンドくらいじゃないか? と思わせるほど、愛情に苦しむ親子が登場します。

こちらは子供を亡くし、ロザリンドをかつての子供のように愛してしまう女性。

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引用:『聖ロザリンド(わたなべまさこ)』ぶんか社

そしてさきほど母親が犠牲となったリザも「代わりの母親」としてクッションを椅子に腰掛けさせるような悲しい生育環境にいます。

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引用:『聖ロザリンド(わたなべまさこ)』ぶんか社

それでいて、ロザリンドは母親に深く愛されています。これはロザリンドが殺人犯であることを知ってしまった母親が苦しむシーン。

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引用:『聖ロザリンド(わたなべまさこ)』ぶんか社

皮肉にも、親から最も愛されており、家庭に何の不和もないロザリンドだけが殺人鬼なのです。

ロザリンドの最後

ここまで隠れた名作である『聖ロザリンド』をご紹介してまいりました。この物語の焦点は、ロザリンドを誰よりも愛していた母親が子殺しを決断する場面。ですが、ロザリンドは簡単に人殺しをしてしまう点を除けば、母に愛されたいだけの純粋無垢な子です。

果たして親は正義のために愛する子供を殺せるでしょうか。その続きは、ぜひ漫画本編でご覧いただければと思います。

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