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(1)転職エージェントに相談したら、100万要求された【連載】外資系OLの大人社会科見学

トイアンナ トイアンナ


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「もうだめだ、転職しよう」

20XX年、秋。トイアンナは転職を決意した。新卒数年目、特に実績なし。彼女の転職活動を見て、人はこう言ったものだ。「あいつ、やっぱ社会人向いてなかったんだな」と。

それでもトイアンナには最後の矜持があった。「転職先、決まるまでは辞めらんねえ」大きな決意だった。なぜなら彼女は関西在住で、東京転職を目指していたからである。

だが、息巻いて門戸を叩こうにも、転職をしたことがないのでどこをどう尋ねたものか判らない・・・。

と、まあ転職の経緯は多々あれど、大抵の方は転職をする際に「どうしたらいいか判らない」んじゃないかと思います。ひとまずマイナビ? リクナビ? と新卒の頃を思い出して登録してみるものの、大量の求人案件に「何がなにやら」と余計困惑するはめに陥ります。

ひとまず3時間ほどネットを漂い判ったのは、転職サイトには『求人をリストアップして、自分で応募するもの』と『アドバイザーがついて、お勧め案件をピックアップしてくれるもの』の2種類がある、ということでした。

自分のキャリアを幅広く見つめてみたいならば自分で応募するタイプ、時間がないのでとにかく効率的に転職したい! という方にはアドバイザーがつくタイプがよさそうです。当時月に150時間を超える残業でヒイヒイ言っていた私は、問答無用でアドバイザーのいるサービスを選びました。

すぐに先方から連絡が入り、早速転職エージェントと面談することになりました。

ミリオンエンベイビー!? 転職にかかる意外なコスト

「とりあえず、100万用意してもらいましょう」

私、娘でも誘拐されたっけ? ぽかんとする私に、アドバイザーが丁寧な説明をしてくれました。

100万円は 『地方の人間が、東京転職をするために必要な』お金。転職エージェント代でしょうか? いいえ、実は転職エージェント代は無料。転職エージェントは採用をする企業側からお金を得ています。

転職活動にお金がかかるわけは、新卒の就活では考えられない意外なところにありました。

まず学生時代と違って、われわれは転職活動に避ける時間と体力がありません。深夜バスの移動でコストカットしようものなら、腰がぶっ壊れて治療費でグリーン車乗れちゃうわい。会社を休職して転職活動するわけでもありませんから、代休をやりくりしての自転車操業も覚悟せねばなりません。

途中の計算は省きますが「そうすると、5社受けるだけで約60万円必要です」。どっぴぇーっ!!! 中古車買えちゃう!

「さらに、受ける会社の情報収集にお金がかかります」

新卒と違い、説明会もインターンもない中途採用ではOBG訪問しか生きた人間相手の情報収集ができません。しかも、新卒のOBG訪問といえば「先輩社員のおごり」がデフォルトです。

しかし、社会人ともなれば話は別。あちらに何のメリットもないのに、同じ年齢の相手に自分の仕事の話をせねばなりません。となれば、こちらがご飯代くらい支払うのが筋というもの。

いい大人のご飯なので1回で1.5万円/2名と考えると・・・10人にお話を聞くだけで15万円かぁぁぁ。今すぐMカップに生まれ変わって男が財布を喜んで観音開きする女ニ、私ハナリタイ。

「なるべく私たちも情報をご提供できるよう最善を尽くしますが・・・」というエージェントの声が、カフェのBGMに混ざってわずかなマイナスイオンを発していました。

「最後に、衣料費です」

「衣料費? スーツなら、持ってますけど?」

「まさか、リクルートスーツじゃないですよね?」

ぎくっ。

一部の職種を除き、女性は新卒就活以降スーツを着る機会がめっきりと減ります。なおかつ私の前職は「靴にかかとさえあれば他は大体オッケー」という社風。アメカジ、ギャル系どんと来い! というわけで、私は萎びたリクルートスーツしか持っていませんでした。

「年収を上げるには、マネージャー職を受ける必要があります。マネージャーにふさわしいスーツをご購入いただかなければ・・・」

「マネージャーにふさわしい、スーツとは」

「ブランド物です」

「スーツにブランドってあるんですか」

「お前もう帰っていいよ」 

!? 確かにそう聞こえた気がして二度見しましたが、エージェントは笑顔を携えていました。こいつ、心の声を飛ばしてきやがった。

「確かに女性用スーツですと、ブランドは限られますが・・・次の週末にでも、ご覧になってはいかがでしょうか?」

転職決戦、ハイファッションに死す

決戦は週末。エージェントにリストアップしてもらったスーツブランドのメモを片手に、下見に出かけました。アルマーニ、20万円。セオリーリュクス、10万円。どれもパンチが効くお値段だなあ! 激務を言い訳に日頃は高校生ブランドで濁していたツケを、感じる。

結局、某ブランドのスーツを一式そろえました。男性なら毎日着るからスーツにお金をかける気持ちも判ります。もう、日常的にスーツを着る業界に転職しようか・・・。

と、いうわけで転職を始める方への遺言だ。お前の内定は預かった。まずは100万円用意しろ。そしてエージェントの心の声を、聞くのだ。

☆次回は別の転職エージェントで間逆のことを言われ、困惑? の続編です。
☆個人情報保護のため、一部事実を改変しております。予めご容赦ください。

街角のクリエイティブ ロゴ


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