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英作家ジェイン・オースティンに学ぶ恋愛トリセツ

篠原徹子 篠原徹子


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ジェイン・オースティン(Jane Austin)は、18世紀〜19世紀のイギリス女性作家です。当時の女性の私生活や結婚、愛、そして皮肉、ユーモアを交えながら描いた長編小説を6作品残しました。「分別と多感」「プライドと偏見」「エマ」「マンスフィールド・パーク」「ノーサンガー大邸宅」「説得」の6作品です。日本ではあまり知られていませんが、シェクスピア、オリバー・ストーンに並ぶほど有名な作家なのです。女性たちを中心にベストセラーになった書籍は、今でも多くの人々に愛されており映画やドラマになっています。

世紀をまたいで愛され続ける理由には、時代背景や価値観を超えた愛や結婚というテーマを深く降り起こし、多くの人が共感できる物語が隠させれているからかもしれません。今回は幾つかの作品を簡単に振り返り、その中に結婚や恋愛のヒントを見つけていきたいと思います。

プライドと偏見(Pride and Prejudice)

ただでさえ人生は複雑なのだから、恋愛では素直で馬鹿になりましょう。
プライドに邪魔されず、偏見をもたず相手を受け入れてみましょう。

主人公はベネット家の次女エリザベス。5人姉妹の次女で中流階級でもさほど裕福な家庭ではありませんでした。18世紀イギリスでは、女性が自立した職業を持つことはできませんでした。特に相続財産や持参金がない女性にとっては、結婚は生きるか死ぬかの切実な選択だったのです。ベネット家も父親亡き後、家や財産は全て男性である従兄弟に相続され、母親と姉妹全員が路頭に迷ってしまいます。16歳から舞踏会デビューがあり、25歳前後までが結婚適齢期。当時の女性は、ほんの10年弱たらずで人生の全てを決断しなければなりません。

結婚適齢期を迎えたエリザベスは、大きな資産を持つミスター・ダーシーと出逢います。ミスター・ダーシーは話しベタ。第一印象が悪かったために、2人の間に誤解とすれ違いが起こります。ミスター・ダーシーはエリザベスに一目惚れするものの、彼のプライドが邪魔して素直な気持を伝えられません。頭でっかちなエリザベスは彼の態度を取り違え、ミスター・ダーシーを偏見の目で見ます。お互い惹かれつつも、勘違いとすれ違いで物語が展開していきます。

説得(Persuasion)

諦めきれないのであれば、
全てを投げ打って相手を説得しましょう。

主人公は28歳のアン・エリオット。彼女にはかつてフレデリック・ウェントワース大佐という恋人がいました。結婚を申し込んだものの、当時彼はまだ貧しく、アンの父親は結婚を承諾しませんでした。財産で結婚の是非を決めるのは、18世紀当時珍しくはなかったようです。8年の歳月がすぎウェントワースは出世して経済的に恵まれた状態で、長い海軍生活からイギリスに戻ってきます。

物語は8年ぶりの歳月を経て、アンとウェントワースが再会するところから始まります。ウェントワースは海軍生活を引退し、家庭をもって落ち着きたいと、ある晩餐会で打ち明けます。アンは8年前に彼女が行った彼に対する酷い仕打ちに苛まされ思いを告げられません。さらに8年の歳月がすぎて容姿に衰えを感じています。ウェントワースは、アンの気持が自分にないものだと思い込んでいます。お互いまだ惹かれ合っているにも関わらず、後ろめたさや誤解でなかなか気持を伝えられないまま噂に翻弄されていきます。

ジェイン・オースティン小説の特徴は、主人公2人の恋愛が主軸におかれているものの、家族関係や姉妹の結婚・恋愛事情も深く物語の中に絡ませており、単なる恋愛小説にとどまっていません。『説得』でも、恋のライバルが姪っ子だったり、裕福でジェントルマンでもある従兄弟がアンに近づいたり、馬鹿で可笑しい父親や姉など、今の時代でも共感できる入り組んだ人間模様が詳細に描かれています。

分別と多感(Sense and Sensibility)


感情ばかり任せても、理性だけに頼っても上手くいかない。
感情と理性、心と頭の両方のバランスが幸せを生む。

主人公はダッシュウッド夫人と3人の娘。長女はエリナーは賢く責任感が強いが、感情を上手く表に出せない。まだ幼い三女と年老いた母親の面倒をみる頼りになる女性。次女のマリアンは長女とは正反対で詩と小説が大好きで感情にまかせて、思うがままに行動する天真爛漫な女性。父親の死後、様々な手違いや意地悪により財産をなくし、家族は小さなコテージで生活することになります。

同時期に、エリナーとマリアンは夫々に好きな人と出逢います。エリナーは責任感と身分の違いを気にして、恋相手エドワードを遠ざけてしまいます。方や、次女のマリアンはある晩、雨の中捻挫をして動けなくなった彼女の前に現れた王子様のようなウィロビーに恋をします。ただ2人の姉妹の幸せの狭間に、財産の身分違いの壁が立ちはだかります。この壁を乗り越えるためには、恋心だけでは打ち勝てません。そこから物語が展開していきます。さて、結婚までこぎつけられるのでしょうか。

今回ご紹介するのはこの3作品です。「マンスフィールド・パーク」も「ノーサンガー・アビー」も素晴らしい小説です。ジェイン・オースティンの作品の主人公は女性となっています。必ず自分自身を重ねられる主人公が見つかるでしょう。あなたのヒロインを探してみるのは、いかがでしょうか?

おまけ

恋愛作家としては一流ではあったものの、彼女は生涯独身で亡くなりました。ただ、ここまで素晴らしい小説を書くには、周囲に対する観察眼も優れていたのはもちろんこと、彼女自身も大恋愛をしたからなのでないかと思います。ジェーン・オースティン自身の恋愛を描いた映画がこちら「Becoming Jane(ジェイン・オースティンに秘められた恋)」。

Reference:YouTube

18世紀、女性が本を読み過ぎたり、小説を書いたりすることは非常に稀でした。ジェインは社会のはみ出し者だったのでしょう。社会や家族からのプレッシャーと、自分の心に従って生きる葛藤が映画の中で描かれています。

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