【徹底分析】親の心を掴んで離さない。「劇場版 名探偵コナンが」毎年大ヒットする秘密

高桑のり子 高桑のり子


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出典:ytv

昨今の、名探偵コナンの人気ぶりには目を見張るものがあります。日本国民であれば、一度くらい

ドッカーン!

コナン「らぁぁぁぁぁん!」
蘭「しん・・い・・・ち?」

のくだりを映画館で観た人も、多いのではないでしょうか?

もう御家芸なんじゃないかと私は勘ぐっているんですけど、デジャブ感もすごいんですけど、2017年の映画「名探偵コナン から紅の恋歌」では、まさかのキャスト入れ替え

平次「かずはぁぁぁ」
和葉「へいじぃぃぃ」

が出ました。私もかつては高校生時代を過ごしてきた現在如実におばさんですが、過去、こんなに誰かの名前を叫んだか? 叫ばれたか? と聞かれればオールなし。そもそも高校生の頃、名前を呼び合うような彼氏なんていません。小声ですら呼ばれたことありません。

しかし、この「らぁぁぁん!」「しん・・い・・・ち?」「かずはぁぁぁ!」「へいじぃぃぃ!」の為だけに、コンスタントに人が殺されていくのが、劇場版名探偵コナンです。「らぁぁぁん!」「しん・・い・・・ち?」の為だけに、ビルは爆発するし船も爆発します。それが、名探偵コナンです。

そんな名探偵コナンですが、今年2018年に公開された映画「名探偵コナン ゼロの執行人」では興行収入85億円を突破(2018年8月13日時点)
同作でのメインキャラクターとなった、安室透を主人公としたスピンオフ漫画『名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム)』第1巻は8月8日に発売され一週間もたたないうちに重版決定。累計発行部数は60万部を超えました。

少年サンデーで連載がはじまって25年。日本テレビ系列でアニメ放送が開始してから23年。人気は衰えるばかりか、右肩上がりです。「劇場版名探偵コナン」の、過去の興行収入をグラフにしてみました。

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20作目となる、2016年「名探偵コナン 漆黒の悪夢(ナイトメア)」では60億円を突破、続く21作目「から紅の恋歌(ラブレター)」、22作目「ゼロの執行人」と一気に伸びているのが分かります。

ドラえもんやちびまる子ちゃん、サザエさんと並ぶ国民的アニメの仲間入りを立派に果たしている名探偵コナンですが、人気の秘密は一体何なのか?

私は「親世代」を巻き込むことで、その人気を博しているのではないか? と感じています。

名探偵コナンの人気について調べてみると、子供よりも大人に人気があることが徐々に見えてきました。

というわけで今回は、名探偵コナンの人気の秘密について、どんどん紐解いていこうと思います。調べれば調べるほど、人気の秘密がありすぎて文字数がすごいことになりそうなので、3つに焦点を絞りリサーチしてみることにしました。

真実はいつも一つ! デデン! キリッ!(ドヤ顔)

歌が子供に媚びてない

コナンは主題歌が、潔いくらい子供に媚びていません。

子供が好きな歌といえば
『ゲラゲラポー』『ピーヒャラピーヒャラ』と、なんのこっちゃ分からない言葉が羅列される妖怪ウォッチやちびまる子ちゃんだったり、

『ドラえもん♪ そのポケットで叶えさせてね』という完全、他力本願な歌だったりします。

その中で名探偵コナンは、映画もアニメも、倉木麻衣やZARD、B‘zなどの大物アーティストが主題歌を盛り上げていますが、子供目線を完全スルー。ガン無視です。「子供に媚びてたまるか!」という、見た目は子供、頭脳は大人、名探偵コナンの意地のような気すらしてきます。昨年2017年の映画では、倉木麻衣さんが十二単を羽織り披露する主題歌が話題を呼びましたが、今年2018年は福山雅治さんを起用するなど、歌でも映画を盛り上げていますね。

過去5年の劇場版主題歌及び、歌手を挙げてみます。

「異次元の狙撃手」・・・『ラブサーチライト/柴咲コウ』
「業火の向日葵」・・・『オー!リバル/ポルノグラフティ』
「純黒の悪夢」・・・『世界はあなたの色になる/B‘z』
「から紅の恋歌」・・・『渡月橋〜君思ふ〜/倉木麻衣』
「ゼロの執行人」・・・『零―ZERO―/福山雅治』

完全に、ミュージックステーションです。

アニメ版名探偵コナンでも、親世代が慣れ親しんでいる歌手が起用されています。最近であればランドセルのCMなどにも起用され、親世代の好感度が高いDAIGO率いるBREAKERZなど、親世代にターゲティングされているのがわかります。

子供ウケを狙わない潔さと、大人に媚びまくる主題歌の数々。

そういえば過去(2000年8月28日〜2001年4月16日まで)コナンがパラパラを踊るという、いま振り返ると「完全黒歴史だね」「パラパラって、死語だよね」という感想しか出ないオープニングテーマがありました。

Reference:YouTube

超ドヤ顔でパラパラを披露するコナンに、もう苦笑いするしかなくて、子供達は一体どんな気持ちで踊り狂うコナンを観ていたのか・・・と思うと・・・

同時期に、渋谷や六本木などのディスコでユーロブームが巻き起こり、若者を中心にパラパラダンスがブームとなっていましたが、名探偵コナンは時代の流れをしっかりキャッチしていることも伺えますね。

親世代は一度、コナン離れをして戻ってくる

名探偵コナンのアニメが23年目を迎えたことから、初期から見ていた視聴者たちは全員大人になっています。私は現在35歳なのですが、アニメは12歳の頃はじまりました。視聴者である私はどんどん歳食ってるのに、コナンは寝ても覚めても、待てど暮らせど、見た目は子供、頭脳は大人です。

じゃあ12歳から35歳までの23年間、ずっとコナンを観てきたか? と聞かれたら、答えはNO。そもそも輝き盛りの20代をコナンに捧げるだなんて、干物女子もいいところです。

20代といえば、完全勝ち組枠に入っている女子は彼氏との約束に忙しいし、彼氏のいない女子たちは合コンやらで大忙しです。土曜18時にコナンを見る暇がないんです。
アニメのコナンは見る暇がないけど、毎年春に公開される映画は自然と目に入ってきます。

名探偵コナンのすごいところは、一話完結(時々2〜3話完結のものもありますが)でありながら、大元の本編は初期から変わらず継続しているところ。黒の組織という、長期的な謎は未解決のままです。小学生の頃、「黒の組織を捕まえることが出来るのか?!」とドキドキワクワクしながら観ていた気持ちのまま、その過程でコナン離れしてしまったとしても、映画の予告などで何らかの展開があると「え?! 次回作はついに黒ずくめの男たちと対決?! 何かあったの?」と気になってしまうのです。そして自分に子供が出来ると、子供につられてまたコナンに戻ってきます。

アニメというのは基本的に子供を市場としています。しかし実際にお金を払い購買するのは親。名探偵コナンといえば、学習教材にも使用されるなど親が子供に安心して提供できるという信頼関係を築けているのでは? と親であるわたしは感じています。実際わたしも、人が殺される探偵ものでありながら「名探偵コナン」は子供に見せても安心感があります。
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出典:Amazon

それはきっと、映画が公開される前から書店やテレビなど常に目に触れるものが広告となることで、コナンに対するブランディングを作り出していること。既存客である親をリピーターとして子供を巻き込んでいるからかも知れません。

それを裏付けるかのように、同じ日本テレビ系列・同じ探偵ものでありながら、金田一少年の事件簿はコナンと同時期にアニメ放送される期間もありますが(1997年4月7日〜2000年9月11日)、約2年半で放送が打ち切りになっています。

金田一少年の事件簿と名探偵コナンの違いは明白で、金田一少年の事件簿は推理小説としても成り立つクオリティの高さにあり、名探偵コナンは少年漫画として気軽に楽しめる要素が強いものです。

「親を巻き込んだマーケティング戦略がコナンにはある」というのに対し、金田一少年の事件簿は「子供に見せたくない」と感じてしまいます。作り込まれたクオリティの高さから、完全大人向けであり、殺害シーンや死体の描写がエグいものが多いのです。また、殺害の動機なども非常に作り込まれていて、子供では少し難しく感じてしまうのでしょう。マガジン掲載ということで、完全に大人がターゲットなのが頷けます。推理好きの大人に刺さる、アニメでありながら濃いファン層を獲得できる、実はニッチなアニメなのかもしれません。

反対にコナンは
「いやいや・・・毛利小五郎、いっこく堂じゃないんだからさ、皆いい加減気付こうよ」とか「警察って、子供相手にあんな事件のことをペラペラ喋っちゃうんだ」みたいなツッコミどころがあったり、少年探偵団が活躍する、思わず応援したくなるような回があったり、人が死なない回も割とあります。
また死体の描写や殺害シーンもマイルドなものが多く、作者や製作者の方が子供が見ても大丈夫なよう配慮しているのが伺えます。

名探偵コナンは推理ものでありながら、悪の組織との対決もあり、子供の好きなヒーロー要素が絶妙に交じり合うアニメです。コナンと一緒に、気づけば自分も探偵となり謎を解決していくワクワク感。
コナン(新一)と蘭の恋愛はどうなっていくのか? コナンが実は「新一」という秘密は、いつ明かされるのか?

一度コナンから離れてしまっても、ちゃんと戻ってこられる伏線がある。それこそが、親世代を巻き込んで離さない、決定的な理由ではないでしょうか?

新たな層を視聴者に!コナンの顧客戦略とは?

過去、日本テレビで放送されたアニメ「名探偵コナン」について調べていると、ある事実に気がつきました。アニメに芸能人が本人役として登場するのは、珍しいことではありませんが、名探偵コナンはとても戦略的に芸能人とコラボされています。

例えばサザエさんには過去、タモリや森三中、上地遊助など様々な芸能人が出演していますが、27時間テレビの特別バージョンとして、27時間テレビの出演者が参加するという形のコラボ共演です。

ちびまる子ちゃんには、西城秀樹や山口百恵、天地真理など、いずれも作者自身が体験した小学生時代の実話を基に、ご本人役として登場されています。(中にはフィクションのものもありますが)。

まるちゃんのお姉ちゃんが「ヒデキィィィィィ!」と理性崩壊寸前で叫ぶ、あのシーンです。

では名探偵コナンは、どのような芸能人とコラボされているのでしょうか?

直近の話を挙げると、2016年に市川海老蔵さんがスペシャル企画「コナンと海老蔵 歌舞伎十八番ミステリー」に出演されました。
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出典:Amazon

他にも

1996年 松尾貴史『テレビ局殺人事件』
1997年 麻生久美子/中山秀征/日テレアナウンサー藤井恒久/角田久美子『おじゃマンボウ殺陣事件』
1997年 高山みなみ(コナンの声優)『人気アーティスト誘拐事件』
2001年 倉木麻衣/小松未歩『大阪“3つのK”事件』
2006年 上戸彩「上戸彩と新一 4年前の約束』
2007年 桜塚やっくん(故)/井上和香/山本梓『テレビ局の悪魔』
2011年 堺正章/くりいむしちゅー「世界一受けたい授業事件』
2012年 三浦知良/遠藤保仁/楢崎正剛/中村憲剛/今野 泰幸『11年目のストライカー』(映画)
2011年 優木まおみ(ウェブ限定コンテンツ)『名探偵コナン vs Wooo~タレント優木まおみの苦悩~』

もちろん名探偵コナンは日本テレビ系列ということで、関係性のある芸能人が出演しているのですが、

  • アナウンサー
  • 声優
  • タレント
  • お笑い芸人
  • 女優
  • サッカー選手
  • 歌舞伎役者

など肩書きは多種多様です。

いずれも共通して言えるのは、旬の芸能人・テレビ番組とのコラボを取り入れているところ。そして、ジャンルに統一性がないのです。
「これは、既存の視聴者以外の層を狙う、新たな顧客戦略なのではないか?」と感じます。

また、名探偵コナンは20年以上続く国民的アニメでありながら、一見さんを大切にしています。劇場版名探偵コナンや、テレビアニメのスペシャルの時なんかには、必ず「なぜコナンが小さくなったのか?」「黒ずくめの男について」「コナンという名前の由来」など・・・について毎回説明がされます。

例えばドラえもんは、映画の冒頭に
「ぼくドラえもん。ぼくの体がなぜ青いか知りたいかい? それはね・・・ネズミに耳をかじられて大泣きしたことが原因なんだよぉぉぉ」

とは言いません。ポケットから不思議な道具が出てくることは、国民全員知っている程でお話が進みます。

例えばワンピースは、映画の冒頭に
「俺はルフィー! うっかりゴムゴムの実を食べたら体がゴム人間になったんだ! いつも被っている麦わら帽子は、シャンクスからもらったんだ」
という説明はありません。

2018年現在、公開映画22作目となる名探偵コナンですが、一見さんでも楽しめるよう考えられているのが伺えます。
また初期のファンが観た時に「そうそう。コナンって、こんな感じで探偵としてのお話が始まったのよね」と、一瞬で過去へタイムスリップできてしまう。そんな感情的な要素も用意されているのではないかと思います。

さらに日本テレビのプロデューサー、諏訪道彦さんのインタビュー記事から、以下のようなことが見えてきました。

10作目『探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』の時には、初期のファンに向けてカムバックキャンペーンをやったくらいです。人気の探偵たちをたくさん出すことで、また観たいと思ってもらおうと。
引用元:https://cinema.ne.jp/recommend/conan2017061906/

「探偵たちの鎮魂歌」ではファンの多い服部平次や怪盗キッド、子供達も活躍する少年探偵団など、初期からコナンを盛り上げているスタメン達が総出演しています。

初期のファンを、「もうコナンを観る適齢期は過ぎたから」と切り捨てるわけではなく、戻ってこられる場所を用意するというのは、他のアニメでは例を見ない取り組みではないでしょうか?

人気が衰えず、それどころか右肩上がりに伸びていく名探偵コナン。
初期のファンだけでなく新たな顧客層の心もキャッチし、映画では一見さんでも楽しめる一手間を忘れない、そして親も子供も一緒に謎解きで盛り上がれる楽しさ。年々右肩上がりになっている人気の秘密は、ここにあるのかも知れないと、今回名探偵コナンをリサーチしてみて強く感じました。

という訳で来春2019年の公開の映画では、
「らぁぁぁん!」
「しん・・い・・・ち?」

は出るのか? その言葉を登場させるためだけに、何人の尊い命がコンスタントに殺されていくのか? 事件のトリックとかそういうのはこの際もう、どうでもいいので、とにかくそこに注目して今後も名探偵コナンをご覧頂きたいと思います!

おしまい

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