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「レディ・バード」夢のような、つうか、思い出の空間

加藤広大 加藤広大


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「レディ・バード」もまた、この幸福の段階を丁寧に追っていく。
クリスティンは快楽と夢中を行ったり来たりするが、すぐに幸せに対しての免疫ができてしまい終始自分が幸せではないと思っている。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/06/bfb049eba56cfdcb3bdb99083cbb6992-e1528887687496.jpg出典:IMDb

何者かになれると思っているけれど、やりたいことは何もない。ただこの町から出たいだけという彼女が求めた幸せは、最後の意味に到達した瞬間、鮮やかに反転しクリスティンの顔から少女の面影が消え去る。

意味のある人生は、快楽や夢中と比べてより社会性や倫理性との関係が強い。
クリスティンは自分の世界から飛び立つことで社会性を獲得する。そこには家族を含め、多くの他者が存在する。そこで初めて「名前」について気付くのだ。

グレタ・ガーウィグはひとつひとつ、丁寧に洗濯物をたたむかのごとく、名前を通して少女の成長と、幸せの段階を描く。

とにかく丁寧に、誠実に作られた映画である。順序正しいといってもいい。何も新しいことはしていないのに、退屈せずいくらでも観ていられる作品だ。

ちなみに私が観たときはド平日の昼間、雨だというのに満卓だった。なのに、公開館が少ないのはどういうことか。と文句を言っても仕方がないが、人気なようなのでロングランしてくれると嬉しい。

「レディ・バード」、いい映画です。もちろん、「誰もが共感」「あなたの物語」っていうのは少々大げさですが、とくに30代の方ならばきっと共感できることでしょう。

機会があればぜひご覧ください。

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