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ものまね界に激震!!「アイ, トーニャ」 に会いたいにゃ!

シーズン野田 シーズン野田


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芸術的な人生

トリプルアクセルが決まるまで、ハーディングは、どんなに良い演技をしても点数がなかなか上がりませんでした。審査員につめよれば「芸術点が低い」などと反撃される始末。

スクリーンショット 2018-06-09 12.52.38

親の虐待や旦那のDVなど、はたから見たら歪んでも当然であるような人生の中で、だからこそ偉大なスケート選手になれた一方で歪んだ彼女は「芸術点」の名の下に受け入れられないまま、やがてホワイトトラッシュ丸出しなジェフやショーンを巻き込んで、あのような事件を起こさせた。

やってしまったことはいけないことかもしれないが、それが元手となり今まさに映画となって再び注目を浴びる彼女の人生はなんというか芸術的だ。

この映画は彼女のスケート人生の芸術点。「お前にこれができるのか? 審査してるお前は誰だ? 何がすごいんだ? でてこいや! 」と、バカになった当事者だけが口にできる、口にしてはいけない本音みたいなものが、その演出の中に垣間見ることができました。

ラスト、ハーディングが出場前に鏡に向かって化粧をするシーン。鏡の先にいるのはカメラであり観客です。噛み締めながら、涙をこらえながら笑うハーディング。その視線はこちらの胸に突き刺さる。笑っている他者と、泣いている当事者。言わばつっこみと、ボケ。それがいつ反転するかわからないような切迫感が襲い、思わず落涙しました。

ぐるぐると回るカメラの中で、その静かな固定カメラは、つっこみとボケを同化させる合わせ鏡のよう。その瞬間、ああ映画だなぁと思いました。

出典:IMDb

映画って、あるいは表現って、当事者と他者との壁をギリギリまで薄くさせる装置じゃないかと思うのです。当然のように自分一人の人生しか歩めない中で、世間的にはただの悪者だったかもしれない彼女の内面の複雑さに作品を通して擬似的に触れることができるという。

人の人生を想像することで、人に優しくなれる自分がいる。ああ、これが映画だ!

そして、これはハーディングの芸術点であるのと同時に、プロデューサーであり、主役のマーゴット・ロビーさんの芸術点でもある。

彼女が主演するために彼女が企画し、彼女が金を集めた。責任を背負い、自ら圧倒的な当事者になることで、彼女の人生は芸術的な輝きを帯びる。図らずもバカになったハーディングのように。

Reference:YouTube

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