『いぬやしき』で木梨憲武が起用された本当の理由。

シーズン野田 シーズン野田


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わからなさが足りない本作のものたりなさ。

ここまでノリさんとダメおやじの話ばかりだが、犬屋敷壱郎の適役、獅子神皓を演じる佐藤健もまたいい仕事をしていた。
母を捨て女と別の家庭を築いた実父を撃ち殺すか迷うシーンには緊張感が漂っていたし、神の理論をふりかざし人を殺しまくるその様は、『ザ・ワールド・イズ・マイン』のトシや『DEATH NOTE』のキラ(藤原竜也)を彷彿とさせながらも、より不気味に立体的に演じることに成功していたように思う。

全体の中でいえば誰よりも徹底してキャラクターを肉体に落とし込んでいたのではないだろうか。しかし、このように木梨憲武や佐藤健の好演が光るものの、この映画には何かが足りない。

前半はノリさんの演技で興味を引くのだが中盤で異様な退屈に襲われるのだ。別に眠くはないのだがはっきりとした意識で「退屈だ」と自覚している自分がいる。「退屈」は「TAIKUTSU」になり「タイクツ」を経て「タイソウフク」になっていた。
脚本なのか演出なのか、とにかくただただ何のひねりもアイデアもないシーンが続くのだ。

空き缶を使った射撃の練習風景や都心のジャンボトロンをジャックして世の中に警告する悪者。数値がピコピコするベタな機械の目線表現。都庁周辺という、撮影の許可が降りそうなロケーション。日本には渋谷のスクランブル交差点か新宿都庁しかないのか?とツッコミたくなるほど知っているシーンがあまりにも多い。

テンプレートの組み合わせが散見され、わかりやすいが本作には「わからなさ」があまりに少ないのだ。登場人物が何をし、何を考えているのか全てわかってしまうからだ。


出典:映画『いぬやしき』公式サイト

CGはハリウッドを意識したとのことで確かに頑張っていたように思う。体に異変がおこり変態するという一見しょぼくなりそうなシーンをここまでしっかりと成立させたのはなかなかすごい。ノリさんが機械化された体に初めて気がつくシーンは、普通にやると寒くなりそうなのにもかかわらず見事に笑ってしまった!

ただ、ハリウッドだというのなら「アントマン」のような節々に詰め込まれた不意打ちのアイデアに感嘆としたかったし「ダークナイト」のようなわけのわからなさでもっと深く考えたかった。なにもCGを凄くすることだけがハリウッドではないだろう。

逆に言えばものすごく素直に、真っ当に仕上げられているので好感を持てなくもないが、それこそ「ダメおやじ」のいじめのバリエーションを見習ってもっと軽やかなコメディ映画にするくらいでも良かったのではないだろうか。

遊び心やギャグの少なさは監督の作家性なのかもしれないが、もっともっと笑かしてほしかった・・・というのはとても個人的な意見なのかもしれない。しかし、ジジイがロボットになって戦うという原作のフックや木梨憲武を起用するというエッジで、どうしても異色さ際立つ作品を期待してしまうのもまた仕方ないのではないか。

コントに見えなくていいところでふとコントに見えてしまったりと、若干ちぐはぐな部分が気になったのはそのせいかもしれない。正直もっとしょぼくても井口昇が撮ったらどうなったんだろう?と思ってしまった。

スクリーンショット 2018-05-07 7.17.34

木梨憲武大抜擢に対してあまり遊び心がない本編ではあったが、だからこそノリさんへのオファーが成功したなら余りあるのかもしれない。

見たことのないダメな木梨憲武を観るだけでも本作には十分に価値があるし、最後の戦いで佐藤健にぼこられるノリさんはなかなかの見応えで、そこは本家「ダメおやじ」のいじめ具合と見事に張り合えるほどに可哀想な気持ちになった。

とここまで書いといて「ダメおやじ」と似ていたから一体なんなのだろう?と思わないでもないが、ちゃんとした実写版「ダメおやじ」をノリさんで観たい自分にびっくりしている。誰か企画通してください。

スタッフのみなさん、お疲れ様です!!ちょっと偉そうに書いてみましたが、面白かったよ!!

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