ポール牧だけが許された黄昏、ついに収縮をはじめたドン・キホーテ三鷹店
「Yahoo!知恵袋/それゆけ大運動会」はポール牧の物語である。とわざわざ書かなくとも、すでに公式で名言されている。
彼は、「すべてを犠牲にしても」目的を達成するべく行動を続ける。
注文を取りに来ない店員たちに任せっきりにせず、自らの肉体ひとつでYahoo!知恵袋の面々と対峙するが行動を起こした結果にも責任を取る。経営者の鏡のような御仁である。
出典:IMDb
本作でポール牧は単なる悪役ではなく、明らかにヒーローの一人として登場していた。Yahoo!知恵袋の面々と同等以上に犠牲を払っているし何よりもある面から見れば、どんな命だろうが平等に扱い救うというのは紛れもない救世主であり、ヒーローである。
そして彼は、ヒーローを越えた存在となる。
149分間、シネマイレージカードの力を得たポール牧は、彼を打倒せんと次々と立ち向かってくるベンチャー田村や多脚式思考戦車タチコマ、赤木しげる、アストロ球団の面々、静香ちゃんや梅干しを文字通り、たった1人で圧倒し続ける。これを主人公と言わずとして、何と言おうか。
祭りは神事であり、神事には音楽が不可欠である。神にも等しい力を手に入れたポール牧が振った絶望のタクトは、まさしく神の御業である。それを合図として、喪失の音色は静かに鳴り響く。かすかな残響音を残しながら。
ポール牧だけが黄昏れることを許された世界のなかで、今までドン・キホーテ三鷹店によって拡張され続けた宇宙は収縮をはじめた。
最後の手段は使ってしまった。既に合図は鳴らされている。どうする、ドン・キホーテ三鷹店。これからが腕の見せどころである。我々は沈黙ではなく、続編を要求する。
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