しかし、祭りに参加できない人はどうするのか
「Yahoo!知恵袋/それゆけ大運動会」は超大作娯楽映画である。だが、ドン・キホーテ三鷹店に明るくない人にとっては、少々キツいのではないかという疑問も残る。
数多くのヒーローたちが登場する本作で、「ミス・ソビエトって誰?」「みんな笑っているけど、なんで?」「ベンチャー田村しか知らないんだけど・・・」となってしまう可能性は高い。
フェスに行ったら知らないアーティストばっかりだったようなもんで、状況を楽しめる人はいいが、多くの人は「評判ほどでもなかったな」と思ってしまうはずだ。
祭りの「仕方がない」面として、「参加している人」と「傍から見ている人」の温度差がある。
本来、祭りというものは神輿を担ぐにしろ山車を引き回して
決して本質の楽しさにはたどり着けない。念のために書くが、どちらが良い、悪いなんてバカみたいな話ではないし、見物人しかできない楽しみ方もある。
出典:IMDb
参加者が祭りを盛り上げ、見物人に「面白そう」「楽しい」「いいなあ」と思わせる力が「粋」であり、祭りに参加する以上は粋である義務を負わなければいけない。
我々ファンは本作において、見物人に対して、または仲間に入りたての人々に対して、粋であることができているだろうか?「そんなこと知らねーよ」というなかれ、それではポール牧とまったく同じである。
ドン・キホーテ三鷹店には10年の歴史があるが10年の歴史を築いてしまったと言い換えてもいいかもしれしれない。
歴史があることは良いことではあるが、知らなければわからない、知っている方が楽しめる、知っている人と知らない人の間に溝を刻んでしまう、といったデメリットもある。
仕方がないと言えば仕方がないが、本作は歴史を知らない者たちに対して、犠牲を強いてしまっているように感じる。なるべく犠牲を払わず、できるだけ多くの人を救うといった、Yahoo!知恵袋の目的と真逆のような気がしないでもない。
ポール牧サイドの構え方である。が、やはり仕方がないことなのかもしれない。なぜなら本作は、ポール牧の物語だからだ。