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「パシフィック・リム:アップライジング」。量産化される「ひとこと言わせろ」

加藤広大 加藤広大


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我々は認めなければいけない。特撮も、怪獣も、ロボット物も、何ならアニメも、今やすべて海外に抜かれていて、海外が日本に抱いている憧れみたいなもんは、過去作へのリスペクトだけであると。そして、貯金は尽きかけている。

海外の映画人やミュージシャンなどのインタビューを読んでみればいい。今、このアニメにハマっている、今年はこの日本映画が素晴らしかった、先月デビューしたジャパンのアーティストに注目している。なんて、リップサービスだとしても言うか? 言っているかもしれないが、おそらくかなり少数であると思う。

一方の私たちは、すべてに答えられるはずだ。彼らは私たちを見ていない。私たちが彼らに恋い焦がれ、見つめているだけだ。もしくは鏡に映った自分を見続けているだけである。決して叶わぬ片思いは、黒船や文明開化の頃から何も変わっていない。

我々は認めるとともに、そろそろ意味のない比較を辞めなければいけない。ほとんどパンクな日本語で感想を書くのを辞めなければいけない。「パフィシック・リム」シリーズが教えてくれたように、違いを乗り越えて、恐ろしいモンスターを倒さなければいけない。しかし、辞められないだろう。私もそのひとりだ。

ギレルモ・デル・トロと「パシフィック・リム:アップライジング」は、「俺にもひとこと言わせろ」という力を原動力として、大きな裂け目を開いてしまった。というよりは、もともと開いていた裂け目を刺激し、更に拡大させてしまった。

裂け目から湧いて出る言葉は合体して、グロテスクなキメラとなる。そのKAIJUを生み出しているのはプリカーサーではない。私たちである。

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