「お前のためを思って言っているんだぞ」
このデスワードもまた悪気がなく発せられることが多い。お前のためだと言いながら、主客が転倒してしまって「なんでわからないんだ」とキレてくる上位互換バージョンも存在するので、見かけたらそっと立ち去るか、手近にあるそれなりに固い物体でぶん殴って正気に戻してあげて欲しい。
と、殴るのは冗談として、思わず「余計なお世話だぞ」と反射的に返してしまいそうになるが、ぐっとこらえるのが大人の対応である。あなたのためを思って言っているんだぞ。
「お前にだから言うんだけどさ」
こう言われて「俺は特別なんだ、嬉しいなあ」と思ってしまうあなたは、たぶん幸せ者なのでそのまま生きていって欲しい。上司や部下、友人など、関係問わず「お前だから言うんだけどさ」とか「ここだけの話なんだけど」といった言葉を発する人は信用してはいけない。あと、「こんなことを言えるのはお前だけだよ」とか「他の人には言えないんだけどさ」も同様である。
例えば上司に「ここだけの話なんだけど、加藤って腹立つよな」と言われて「そうっすよね! 俺もそう思っていました!」などとバカ正直に反応しようものなら、翌日には確実に上司の口から加藤の耳へ「あいつが腹立つって言っていたぞ」と伝わっているはずだ。
ここまで読んでくれたあなただからこそ言うのだが、こういった人生の先輩みたいなアドバイスする奴って、腹立ちますよね。
「お気持ちで」
社会人になると「お気持ちで」金を払わねばならぬ場面が増える。その最たるものは戒名だが小さなものでは飲み会の割り勘からちょっとしたお祝いまで多岐に渡る。
ここで、本当にお気持ちだけ渡してしまうとどうなるか。「あいつはケチだ」などと噂を流されるなど、えげつないことになるのである。
社会で使う「お気持ち」には相場がある。気をつけよう。ところで、お気持ちでいいんで誰か金貸してくれませんかね。