公開されてからだいぶ経ってしまい、このコラムが上がる頃には、今回取り上げる映画「DESTINY 鎌倉ものがり」のDESTINY はいかに? という感じかと思いますが、めげずに文と章を綴ります。どうぞお付き合いください。
まずは予告編をご覧ください。
Reference:YouTube
いかがでしたでしょうか? この予告編をそのまま長くしたものが本編だと思っていただいて結構です。
しかしながら、一色正和(堺雅人)が、目の前をカッパが通り過ぎ驚く愛妻・亜紀子(高畑充希)に「ここは鎌倉だぜ」と「鎌倉では幽霊も魔物も普通の人のように仲良く暮らしている」と、当然のように言いなだめていますが、ここまで鎌倉をフリースタイルでdisって大丈夫なのでしょうか?
炎上商法だと思うのですが「寿司がまずい? ここはすたみな太郎だぜ?」と言われたら、いくら味を売りにはしていないすたみな太郎だって怒るはずです。鎌倉市民の皆さま、さぞご立腹のことでしょう。ちなみにすたみな太郎は大好きです。
しかし当然のように「ここは鎌倉だぜ」言われると「自分が間違っているのかもしれない」と思ってしまうのもまた事実。ガリレオが当然のごとく「地球は回ってるぜ」と発言し、本当に回っていたという歴史的背景も手伝って、鎌倉には本当に幽霊や魔物などの
「夏休みの自由研究で<研究をしない>という自由を勝ち取り続けた幼少期を過ごしたせいで、ろくに調べ物をしない自分をこれを機に変える作戦」がまたの名です。
いざ鎌倉へ!
鎌倉駅へ到着。
どこか世界遺産に認定されないルサンチマンが、源頼朝の残虐性と呼応するかのように渦巻いているような気がするのは完全に思い過ごしです。
もののけが出る気配はとりあえずありませんが、幽霊の場合は普通の人に紛れ込んでいる可能性もありますので判断つかず。
劇中で「東京との時間の速度が違う」と言っておりましたが、確かになんかそんな気もしますね。
さて、もしあなたが鎌倉に行った暁には、いきなり大きな選択に迫られることになるでしょう。
行くなら
鶴岡八幡宮 or 鎌倉大仏
出典:オリコンニュース
どっち?
迷った挙句、中央の壁に激突しそうになったので、とりあえずここはベタに小町通りを通り抜け鶴岡八幡宮に向かうことにしました。
昔風情と現代的ストリートフードが入り乱れる小町通りの風景に、どこか血塗られた鎌倉の勢力争いの歴史が重なるようで、なんとなく魔物の匂いがしてこないでもありません。
作中でも、車や服装は昭和でありながら、江ノ電は現代風で、しかも100円ショップがあったりと今と昔が入り乱れていました。その時代設定のあやふやさを小町通りにも感じることができました。
実は様々なレイヤーがフラットにプレスされ、同時に存在するというのが本作最大の見所でもあります。あの世とこの世、人間と幽霊、今と昔が線引きなく、実写とVFXを織り交ぜながら恣意的に表現されているのです。人によっては「はっきりして!」と戸惑う人もいるかもしれませんが、自分にはその状態がとても心地よく感じました。はっきりしないグレーな男ですいません。
しかしここにきて実際に、鎌倉が本当に異世界とつながっていたかもしれないという、決定的な写真を撮ってしまったのでご覧ください。
完全なる時空超え
ちょうどあっちの世界から出てくる瞬間のように見えます。ここまで露骨だとさすがに戸惑います。カッパどころの騒ぎではありません。映画で言っていた妖との並存は本当だったのでしょうか。ただ魔物かどうかといえば微妙なところで、どちらかというと円谷です。