ねーねー、今年のM-1見たぁ?
と、まるで友達のような入り方をしてみてすいません。
で、見たの?
胸が熱くなりましたよね?
舞台の上で何回も死にそうなりながら、それでもなお笑わせることだけを考えて生きています。自分が売れるんだ! 全員すべれ! という空間にいながら、笑顔振りまき笑いを生みだすんです。今一度、心から芸人さんを尊敬するばかりなのですが、しかし、あの漫才という形式の不思議さは一体なんなんだろうかと思うのも、また事実。
「ちょっとやってみようや」と、コンビニの店員やったり、銀行強盗やったりするが、いやいややれてないだろうと。そこにはつっこまないの。そもそも「なんでやねん!」「ちゃんとやれや!」って、つっこむけれど、ちゃんとやらないことを稽古してきたはずで、ちゃんとやったら漫才として成立しない。つまりそもそも矛盾を抱えているのが漫才なのです。「それを言っちゃあ、おしまいだよ」と言われかねませんが、なんにせよそういうものとして愉しむことができる「お約束」が見る側に刷り込まれているのです。
違う文化圏の人が見たら「ホワイジャパニーズピーポー」なわけです。文化とはお約束をつくることなんですね。その辺の壁の具合をつっこむのが、さらば青春の光だったり、ジャルジャルだったりするのですが、彼らの批評的な漫才では優勝できないのが今のお笑い界なんです。
さて、そんなお笑いの話はラリー遠田先生に任せるとして、今回取り上げるのはお笑い界の物語。
前々回のコラムでは、芸人たけしが撮る映画「アウトレイジ 最終章」を、前回は、芸人萩本欽一を追った映画「We Love Television?」を取り上げました。そして今回は、芸人が芸人の世界を撮った「火花」をやり玉にあげようと思います。いわゆるお笑い三部作というやつですね。すいません、いわゆりませんでしたね。ただ、三回連続でお笑い色が強かった事実をなんとか意味づけできないかと思った矢先の狼藉です。
原作はピースの又吉直樹。大ヒットした同名小説です。
出典:Amazon
装画の赤い布的なものは一体なんなのか気になり調べてみると西川美穂の「イマスカ」という作品らしいです。なるほど、スカジャンだったのか。
そして、監督はなんと板尾創路というから、観にいくしかありません!
しかも脚本には、豊田利晃のクレジットが!
豊田利晃といえば、板尾創路を役者で起用しまくる監督です。監督が豊田に「一緒にやらへんか、ええやん」と声をかけたのかわかりませんが、きっと息のあったコンビなのでしょう。