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好きな人にプレゼントしたら嫌われそうな小説5選

岡田麻沙 岡田麻沙


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クリスマスまで1ヶ月を切った。プレゼントを準備したり、レストランやケーキの予約をしたりと、心浮き立つ日々を過ごしている人も多いのではないだろうか。本が好きな人ならば、『ノルウェイの森』や『クリスマス・キャロル』など、聖夜にふさわしい小説を見繕って恋人に贈る予定もあるかもしれない。
そんなキラキラした皆さんのプレゼント・リストに加えていただこうと、今回は、「好きな人にプレゼントしたら嫌われそうな小説」を5冊選んでみたので、ぜひ参考にして欲しい。くらえ。
※著者50音順

飴村行『粘膜人間』(2008)角川書店

身長195cm、体重105kgという巨大な肉体を持つ小学生の雷太に、2人の兄は怯える日々を送っていた。ある日、弟の暴虐に耐えかねた長兄の利一は、次兄の祐二に「雷太を殺そう」と持ちかける。

第15回日本ホラー小説大賞受賞作。恐るべきことに、これがデビュー作である。飴村行は『粘膜人間』刊行から間を置かず、『粘膜蜥蜴』『粘膜兄弟』と恐怖の粘膜シリーズを世に送り出し、善良な読者らを震撼させた。

利一と祐二は、村のはずれに棲む河童を訪ね、弟の殺害を依頼する。お世辞に弱い河童のモモ太は2人の言葉にほだされて雷太殺しを引き受ける。交換条件は、「村の女とグッチャネ」すること。グッチャネ、とは何か? 多分、いま想像した意味で合っているが、モモ太はこれを「(自粛)に(自粛)を入れてソクソクすることだっ」と説明している。

飴村作品の醍醐味は、この、起爆力の高い語感にある。二転三転するストーリーの随所にしたたる、独特のワードたち。もはや本作品は小説と言うより、ほとばしりだ。デビュー作とは本来、取り扱い注意の危険物だったのだ、と、思い知らせてくれる逸品である。
どの登場人物に「共感する」と言っても間違いなく人格を疑われる、純度100%の粘膜小説。クリスマスが来る前に、急いで手に入れて欲しい。

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