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「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」を観た

シーズン野田 シーズン野田


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おはようございます。シーズン野田と名乗るものです。

妹には「お兄ちゃん」、姪っ子には「叔父ちゃん」、弟には「テメー」、母親には「長男の甚六」、父親には「マイサン」、猫には「ニャー」と呼ばれております。みんなの求めるシーズン野田を演じ続けておりますが、ようやく最近になって人格が崩壊し始めました。もう無理です。

さて、記事のタイトルは32文字以内と決まっています。

今回観に行った映画のタイトルを書くだけでほとんど埋まってしまったので、改めてここに本当のタイトルを記したいと思います。

 

「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」を見ると蕎麦屋が儲かーる!!!

 

改めて書く必要があったのかどうかは未知数ですが、読み進めて判断していただければ幸いです。

さて、勘の良いあなたはもうお分かりだと思いますが、今回のは映画は渋谷直角先生原作の漫画「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」の実写化です。

 

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51YViuPlCAL.jpg出典:Amazon

 

奥田民生に憧れを抱いている編集者が、出会う男すべて狂わせるガールに出会い、すべてを狂わされるという内容です。割とタイトルでどんな内容かがわかってしまうのが、渋谷先生の漫画の特徴でもあります。

初めて渋谷先生の漫画に出会ったのが4年前。

『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』という作品でした。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51XPVdFmHLL.jpg出典:Amazon

当時「この星の一等賞になりたいの俺はっ! ・・・何かで!」と、いい歳こいてイキっていた自分に、とても深く刺さりました。なぜならこの作品は、なんでもいいから何者かになりたいイタイタしさを鋭く描写していたからです。つまり「現実」が描かれていたのです。ルームシェアをしながら「今日のお前サイコーだな!」と、仲間と褒めあいながら過ごす日々の中で、まさにその本との出会いが僕ら転機となりました。手にした者は次々と黙り込み、やがて部屋に引きこもったかと思うと、荷物をまとめてルームシェアハウスから出て行きました。「なんでみんな出てくんだよ!! 俺たちは何かで一等賞をとるんだろ!! 卓球とか何かで!」と説得するもむなしく、当初は50人いたメンバーが、気がつけば3人になっていました。

最高にイタい3人です。そのくらい僕らにとっては威力のある内容で「お前のその感じ、こう見えてるよ? やばくね?」と、自分をカフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生になぞらえて、チクチクとズシズシと攻撃してくるのです。

それでもあの時、出て行かなかったのは、そこに残った仲間が好きだったから。そしてなにより、自分のイタさと勘違いぶりがあまりにも強大だったからでしょう。

いや〜すぐに出て行くべきでしたね。

まぁでも、もしこの本に出会わなければ今頃ユーチューバーを名乗り「鼻をつまみながら食べたら、本当に味がしないのか検証します〜」とかやってたかと思うとぞっとします。今も似たようなもんだって? やかましいわ。

 

そのような衝撃的な漫画体験は後にも先にもなく、渋谷先生の作品は僕にトラウマを残しました。

どこかのお母さんが子供に「痛いの痛いの飛んでいけ!」と言うのが聞こえるたびに、思わず振り向いてしまいます。

そして今回映画の原作になった「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」もまた、タイトルからしてイタイタしい連中がわんさかでることが約束されています。

 

漫画の冒頭で「※この作品はものすごいフィクションです! 実際の人物、場所、団体などとは一切関係ありません! 一切!!」と、アナウンスされておりますが、この半ばやけくそな強調具合。

おそらく一切関係あります。むしろ一切しか関係ありません。

ほとんどが本当のことなのでしょう。自分の周りに実際にいた痛々しい人たちを、惜しげもなく描き切る痛快さサイコー! の裏で、「あれ。でもこれ自分のことじゃない?」とふと思い当たってしまう。渋谷先生の周囲の人間たちならなおさらです。「いやいや、違いますよぉぉぉぉ〜」と、何度も否定する渋谷先生が脳裏をよぎります。その経験がこの冒頭の注意喚起に切実に現れています。

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