締切を好きになるために擬人化してみたらどうなるのか

加藤広大 加藤広大


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昔から「締切」というものが嫌いである。

というか、締切が好きな人っているのだろうか? 締切が好きで好きでたまらないなんて人は見たことはないし、締切を抱きしめたい。溢れるほどに締切への思いが込み上げてくる的な話を聞いたこともない。

そもそも、基本的に締切は自身で設定することができない。先方から「今暇ですか? 手伝ってもらっていいですか?」と、まるでSNSアカウントが乗っ取られたような連絡が届き、私であればポスターの制作や原稿の執筆を依頼されるのである。そのやり取りの中で「明日まで」とか「明後日まで」とか「今日は金曜日なので週明けで大丈夫ですよ」と締切がキリング・ミー・ソフトリーな感じで設定されるのだ。

あれやこれやと請けていると、あっという間にスケジュールが埋まってしまう。特に映画のコラムなんて大変である。まず家から出る。これだけで一大事だ。映画館に行き、鑑賞中は暗闇の中でたくさんメモ書きをする。帰りにはパンフレットを買い、小腹が空いたから飯を食いに行く。すっかり夜も更けているので飲みに出かけ、飲みすぎて終電を逃しタクシーで帰る。翌日、完璧な二日酔いのなか、映画中に取ったメモを原稿へ書き起こそうとすると字が下手くそ過ぎて読めず、もう一度映画を観に行く羽目になる。これでは原稿料が幾らあっても足りない。大赤字である。そして、今やっている映画ならば、なるべく早く原稿を納品せねばならないため容赦ない締切が設定される。

さらに問題なのは、締切が差し迫っているのに何も書けないことである。これは辛い。しかも、無事納品したとしても、まるで沈んだ太陽が再び昇るように、新たなる締切が登場する。これは怖い。だから私は、締切が嫌いだ。

しかし、事あるごとに締切のことを嫌いだ嫌いだと言ったり思ったりしていては、心の健康に悪いような気もする。そのせいで心や身体を悪くしてしまっては仕事ができなくなり、仕事ができないと収入がないので、飯も食えなくなってしまう。これは何とかしたい。ではどうすればいいのか。

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