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【銘柄別】やたらとウイスキーに合う音楽25選

加藤広大 加藤広大


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酒の肴にもいろいろありますが、何も口に入れるだけが肴じゃございません。お酒は五感で楽しめるものです。

たとえば、味覚はもちろんのこと、視覚ならボトルのラベルや、バーのカウンターの木目、ライティングなど、視覚情報はいろいろとあります。

触覚ならグラスやコースターの素材感、灰皿の重量、良く締まった氷を指でなぞったときの、あの冷たさ。

嗅覚ならばグラスのなかで開いていくウイスキーの香りはもちろん、店中の酒と、紫煙シエン、さらには棚に収納された膨大なヴァイナルコレクションが醸し出すポリ塩化ビニールの匂いが混ざりあった、どこか懐かしくもある香り。

そして聴覚、隣の人の会話やグラスをカウンターに置く音、バーテンダーが氷を削る音、消防車、パトカーのサイレンなどなどありますが、なかでも耳に入ってくるのは、やはり音楽でしょう。

私は音楽が大好きで、さらにお酒も好きなので、そういった酒を提供して音楽もしっかりかける店に行っては夜な夜な飲ませていただいているのですが、「いやー、この音楽、この酒に合うなー」という嬉しい出会いが何度もあります。

そんな出会いを何度も繰り返していましたら、どういうことか飲み代に事欠きはじめ、それなら好きなお酒と音楽のことを書いて小銭を貰おうと画期的な永久機関を閃き、今このコラムを書いています。

そんなわけでタイトルどおり、私が今まで音楽バーやラジオで、ふとした瞬間に出会ってしまった、ウイスキーに合う素晴らしい音楽たちを銘柄別でセレクトしていこうと思うのですが、その前に、ちょっとだけ注意書きとセレクトする際のルールを、以下に書き出しておきます。

まず、私はスコッチ党、それもアイラ主義者ですので、ちょっとセレクトが偏ってしまうのはごめんなさい。

メインの曲と、1曲だけでは味気ないので他にも数曲、寸評付きで紹介します。

セレクトルール

・簡単に購入、試聴できる音楽であること。
(手軽さを重視するため。そのため選曲はしますが選盤はなしということで)

・簡単に購入、または注文することができ、かつそこまで値が張らないもの。
(飲めないと意味がないため)

・同じ蒸留所の銘柄は入れない。
(ただでさえアイラ多めになってしまうため。)

・10年以上は確実に飲み続けている酒をセレクトする。
(何度も「合うなあ」と感じた音楽を選ぶため)

・その酒を飲んでいるとき、1,000時間以上「自分がセレクトしていない音楽」を聴いていること。
(自分が音楽をかけると好きな曲しかかけないため。時間は3(時間)×5(週)×52(週の通算)×10(年)=7,800時間、5銘柄で割ってだいたい1,000時間強として算出)

Laphroaig 10 Year Old/ラフロイグ10年

ラフロイグはスコットランド、アイラ島にあるラフロイグ蒸留所で製造された一本です。俗に言う「正露丸の匂いがする」ウイスキーで、スモーキーで少しのバニラと潮の香りが後から漂います。

 https://img.thewhiskyexchange.com/900/lrgob.10yov1.jpg
出典: the whiskyexchange.com

初っ端の紹介ですので補足として申し上げますと、スコッチ(スコッチ・ウイスキー)とは、スコットランドで製造されるウイスキーのことで、5大ウイスキー(スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本)のひとつに数えられます。

スコッチはおおまかに、ハイランド、スペイサイド、ローランド、キャンベルタウン、アイランズ、そしてアイラと製造地により区分されています。

 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fd/Scotch_regions.svg/220px-Scotch_regions.svg.png 出典:Wikipedia

サントリーのウェブサイトにあるラフロイグの項目では「好きになるか、嫌いになるかのどちらか」というキャッチコピーが付けられていますが、正確には「最初は嫌いだったけど、飲み続けると癖になって離れられなくなる人が一定量いる」が正しい表現かと思います。

癖が強いので最初はソーダ割りがいいでしょう。意外にクラマトジュースと割っても美味しいですよ。

ちなみに、ウイスキーには煙草と同じように、ラベルデザインが変更されるごとにダサくなっていくという悲しい現実があるのですが、ラフロイグはほぼ変わらないのが特徴で、近年鬼のように値上がりしていますが、安心して注文できる良い酒です。

そんなラフロイグに合う1曲といえばこちら。

Reference:YouTube

アイルランド出身のシンガーソングライターであり、たった1枚のアルバムを出しただけで世の中から忘れ去られてしまったアーニー・グレアムのアルバム「Ernie Graham」のなかの1曲。

聴けばわかる通り完全に演歌でして、彼のピート(泥炭)のような枯れた味わい深い歌声は潮の香りがどこからか漂うようで、行ったこともない都市であるはずなのに、なんだか懐かしいという、郷愁さえ抱いてしまいます。圧巻なのは最後の長過ぎると言って差し支えない上手い下手を超越したフィドルソロ。涙なしには聴けません。

彼の故郷であるベルファストについて歌ったこの曲は、「スコッチって言うよりアイリッシュウイスキーじゃない?」と言われれば返す言葉もないのですが、スコッチにも良く合いますのでセレクトさせていただきました。

【その他の曲】
Nick Drake/Five Leaves Left(1969)/Day Is Done

夭逝ヨウセイしてしまったイギリスのシンガーソングライター、ニック・ドレイクのファースト・アルバムより。哀愁あふれるメロディと憂いを帯びた声がラフロイグの深みを加速させるとかしないとか。

The City /Now That Everything’s Been Said(1968)SnowQueen

キャロル・キングがダニー・コーチマー、チャールズ・ラーキーと組んだ、夢のようなバンドが奏でる音楽はどこか涼しげながらも豊潤、シンプルながらも奥行きのあるそのままウイスキーの味のような名曲です。

Duke Jordan /Flight to Denmark(1974)/No Problem

「世界三大寒そうなジャケット」に数えられるジャズピアニスト、デューク・ジョーダンのアルバム「Flight to Denmark」より。とにかく頬を切り裂く冷たい風のような切れ味のある演奏が素晴らしい。なるべく客が少なめのバーで聞きたい。

ザ・ナンバーワン・バンド/もも(1991)港の女(ホンキートンク・ウィーメン)

酒を注ぐ音が妙にリアルなおかしみに溢れたナンバー。一見ふざけているけれど、聞けば聞くほど不思議とハマる、そう言えばラフロイグのような1曲です。

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